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韓国「ウォン急落」で防衛ライン突破間近 文在寅が払わされる反米・反日のツケ

2019-05-22 11:35:52 | 日記

韓国「ウォン急落」で防衛ライン突破間近 文在寅が払わされる反米・反日のツケ

韓国・北朝鮮2019年5

 

 

「日本の報復」に期待する保守

 韓国の通貨危機は国内の権力闘争の武器にもなる。韓国の保守派から「いつ、韓国に対し報復措置をとるのか」と聞かれる日本人が相次ぐ。それも「不安そうに」ではない。「期待感を込めて」である。

 日本の報復により韓国経済が混乱に陥れば、それをテコに左派政権を糾弾できる、との計算である。前の朴槿恵(パク・クネ)政権の大統領から大幹部に至るまで牢獄に送られた保守にとって「通貨危機」は最高の反撃材料となる。

 ちなみに、1997年の通貨危機により「保守の失政」への怒りが高まった結果、同年末の大統領選挙では史上初の左派政権、金大中(キム・デジュン)大統領が誕生した。

 では、文在寅政権は通貨危機を本気で阻止するのだろうか。ドルを借りるには米国や日本に頭を下げる必要がある。当然、米国は融和的な対北朝鮮政策の修正を求めるであろう。その際、文在寅大統領が自国経済のために盟友、金正恩(キム・ジョンウン)委員長を裏切るかは疑問だ。

 成長率がマイナスに落ち込むなど、あらゆる経済指標が悪化しているというのに5月9日、就任2周年の会見で大統領は「G20(20カ国・地域)やOECD(経済協力開発機構)加盟国の中で、韓国はかなりの高成長をした」と臆面もなく語っているのだ。

敗戦革命論も登場

 韓国の一部には「文在寅大統領は経済危機をチャンスと見て、敢えて放置するのではないか」との見方もある。戦争に負けたのを期に体制を変革する、という一種の「敗戦革命論」だ。

 通貨危機に陥った際、「これは米帝国主義の陰謀である。今こそ米国から独立し、同胞の北朝鮮と手を組もう。資本主義の元凶たる財閥も解体しよう」と国民に呼びかける絶好の機会となる、というのだ。

 確かに、文在寅大統領自身が「米帝国主義が諸悪の根源である」との考え方の持ち主だ。政権の中枢部も同じ考えの反米左派で固めている(拙著『米韓同盟消滅』(新潮新書)第1章第1節「米韓同盟を壊した米朝首脳会談」参照)。

 人口減少が始まり経済の規模が縮むとなれば、持てる者たる財閥から搾り取って持たざる者に与えるのが早道だ。支持層からさえも不満が高まる経済政策で人気を挽回するには、強者をやっつける「革命」しかないと、政権中枢部は考えるであろう。

通貨危機で「ベネズエラ化」に油

 いくらなんでもそこまではやらないだろう――と考える日本人が多いに違いない。だが、韓国の党争の激しさは日本人の想像を絶する。相手を倒すためなら何でもするのが韓国人だ。

 ちゃんと伏線も張られている。2018年11月28日に封切られた「国家不渡りの日」という題名の映画だ。初めの1週間で157万人が見たほどにヒットした。

 ひとことで言えば「米国のために通貨危機に陥り、財閥一人勝ちの時代が始まって庶民が今、苦しんでいる」と訴える映画だ。韓国では映画が世論を誘導する。政治勢力は国民の感情を揺さぶる映画を作って政敵を倒そうとする。

 もちろん親米保守は、この映画に対し反発。保守系紙の朝鮮日報は「内容のいい加減さ」を訴える記事を掲載した。最後の局面では米国は韓国にドルを貸してやらなかったが、そもそもの原因となった外貨管理に失敗したのは韓国自身なのである。

 韓国の「通貨危機」がどこまで発展するかはまだ分からない。だが、それが親米保守と親北左派の激突を誘うのは確実だ。それでなくとも、両派の最終戦争が始まろうとしていたのだから(デイリー新潮「文在寅で進む韓国の『ベネズエラ化』、反米派と親米派の対立で遂に始まる“最終戦争”」参照)。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ) 韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95〜96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

週刊新潮WEB取材班


亀裂深まった韓米同盟 韓国は米・中のどちらに立つか

2019-05-22 11:11:06 | 日記
亀裂深まった韓米同盟 韓国は米・中のどちらに立つか  統一日報

 韓米同盟の危機はまず、北の非核化をめぐる葛藤で明らかになってきた。

先週の16日に発表されたトランプ大統領の6月末の訪韓発表も、韓米で発表が異なった。

だが、韓米同盟の根源的な葛藤は米中戦争で決定的になる。

韓国は米中戦争において、同盟としての義務に忠実であるべきだ。

米国はこれまで文政権の裏切り行為にがまんしてきたが、韓米連合司令部不在の対北封鎖網を完成しながら、戦略的に南・北韓を圧迫している。

米国は文政権の対北密輸行為を公開し、北韓船舶を拿捕した。

米国の対北制裁に国務省、財務省、国防省に加え、裁判所まで加わった。

韓米間の対北政策共助は望めず 米国は文政権と韓国を分離
 

米国の対北海上遮断、封鎖が韓国軍を排除したまま進められている。

金正恩が弾道ミサイルを発射(5月4日)した後、米司法省は9日、国連安保理の対北制裁禁輸品目である北韓産石炭を不法出荷し重機を輸送した疑いで、北が保有している第二の貨物船、1万7000トン級「ワイズアーネスト」(wise honest)号の没収のため控訴状を公開した。

米司法省は「ワイズアーネスト」が北韓産石炭を海外に輸出し、海外から大型装備を輸入するのに使用され、船のメンテナンスなどの支払が米国の銀行を通じて米通貨で支払われたと指摘した。

平壌側は猛反発したが、北の貨物船押収は韓半島周辺に集結している有志連合海軍力による海上封鎖を意味する。

文在寅政権は北の弾道ミサイル発射にも、ミサイル挑発のときも開かなかったNSCを17日に開催し、食糧支援を強行すると鄭義溶安保室長が発表した。

北のチャンマダンで米の値段が上がらない統計が出ても、文政権は800万ドルの対北支援を推進し、開城工団への企業人の訪問も承認した。

安保室長は「食糧問題は安保事項(北のミサイル挑発)と関係なく、人道的観点から同じ同胞として検討すべきだと思う」と言い、「政府は対北食糧支援の原則をすでに確定し、これをどう推進するか具体的な方案について様々な準備をしている」と述べた。

トランプ大統領が就任後2度目の、6月末訪韓するとの発表(16日)も、ホワイトハウスと青瓦台の発表が違う。

青瓦台は「韓半島の完全な非核化による恒久的な平和体制の構築と韓米同盟の強化を議論」と発表したが、

ホワイトハウスは両首脳が「最終的で完全に検証された北の非核化」(FFVD)を達成するための努力について緊密な調整を続けると伝え、

韓米同盟と両国民間の友好関係を強化する方案を議論すると伝えた。

 一方、中国が米国に対抗して北韓やイランなどへの支援を放棄しないため、米法院は制裁違反の疑いがある中国の銀行3社に対し、資料提出と証人出席に応じなかったとして履行時点まで毎日5万ドルの罰金を課すことにしたとVOA放送が伝えた。

 対北制裁は、米財務省と国務省が主導してきた。

ところが最近、米司法省が北韓産石炭を不法輸送した北の貨物船を押収したのに続き、今度は法院まで対北圧迫に加わったのだ。

16日(現地時間)、米国の声(VOA)放送によると、ワシントンDCの連邦地方法院長は15日(現地時間)公開された命令文で、今年4月10日、「法院が3月18日に出した命令を中国の銀行が全く履行していない」とし、銀行側に毎日5万ドルの罰金を課すように命令した。

一カ月150万ドルに達する巨額の罰金だ。

米司法省は、ハウエル院長の命令文を15日公開した。

 法院はこの銀行の名前は明らかにしていないが、中国当局が3銀行の所有権を有し、特に二つは、米国に支店を置いているという。

米検察はこれらの銀行が不法マネーロンダリングに関与して対北制裁と米国の銀行の秘密維持法に違反したと見ており、調査のため関連資料の提出を要求したもの。

米法院は2017年12月データを出すよう行政命令を出したが、中国の銀行は、履行しなかった。

 これらの銀行は、北が制裁回避のため作った幽霊会社と合計1億6500万ドル規模の取引をした疑いを受けている。

 実際、中国の大手銀行が北の資金洗濯に関連しているという主張は、トランプ政権初期から出ていた。

制裁の専門家であるジョシュア・スタントン弁護士はVOAに「中国の銀行がこれほどの罰金を甘受してまで証拠を出さないなら、北の不法行為を知って金融取引をした可能性がある」という。

 トランプ大統領は文在寅と韓国を分離して対応している。

金正恩を支援する文在寅の密輸政権と韓国を分離するのは当然だ。 

 

韓国経済、坂を転がり落ちるような勢いで減速中のワケ

2019-05-22 10:40:40 | 日記

# 韓国経済          

     

 2019 2 04

       

韓国経済、坂を転がり落ちるような勢いで減速中のワケ

坂を転がり落ちるような勢いで、韓国の経済が減速している。

特に、半導体企業の業績悪化は深刻だ。

中国の減速に加え、世界的なスマートフォン販売台数の伸び悩みなどが、サムスン電子などを直撃し始めた。

中国経済の減速が鮮明となる中で、輸出依存度の高い韓国経済が持ち直す展開は想定しづらい。

減速懸念を払しょくするには、政策の役割が欠かせない。

しかし、韓国の文政権が長期の視点で経済の改革を進めるのは難しい。

なぜなら、経済の減速を受けて同政権の支持率が低迷しているからだ。

文政権は、目先の人気確保に注力せざるを得なくなっている。今後、韓国は一段と厳しい状況に直面する恐れがある。

 

世界の半導体市況と韓国経済

近年の韓国経済は、財閥系企業による半導体の輸出増加によって景気を支えてきた。それが、政治にも無視できない影響を与えてきた。

韓国にとって大きかったのが中国のIT投資だ。

2015年、中国の習近平国家主席はIT先端技術を通した産業振興策である“中国製造2025”を掲げ、IoT(モノのインターネット化)や工場の自動化などへの投資を増やした。

それに支えられ、サムスン電子やSKハイニックスは、“我が世の春”を謳歌したといえる。

具体的に、スマートフォン向けのNAND型フラッシュメモリやDRAM需要の高まりが、韓国半導体企業の収益増加を支えた。

その中で両社はさらなる需要獲得を目指して設備投資を増やし、生産能力の引き上げに取り組んだ。

この状況は、文在寅大統領にとっても追い風になった。

企業業績が上向いていたからこそ、韓国の企業は文大統領が求める最低賃金の引き上げに対応することができた。

同時に、景気が安定しているうちは有権者も、革新を目指す大統領に期待し、「何か新しいことがあるかもしれない」と期待することができたはずだ。

それが、大統領選挙直後の大統領支持率を支えた。まさに“あばたもえくぼ”だ。

景気が良かったからこそ、本来であれば疑義が高まりやすい政策への期待が生まれるだけの余地があった。

一転して昨年後半以降、中国経済の減速が鮮明化し、韓国半導体企業の業績懸念が高まった。それに合わせて文大統領の支持率は急速に低下した。

経済・政治の両面で行き詰まる文大統領

文大統領は袋小路に入ってしまったといえる。

まず、景気回復のけん引役であった半導体企業の業績が激減し始めた。

2018年10~12月期の営業利益を見ると、SKハイニックスは前期比32%の減益、サムスン電子は同39%減益だった。

韓国の企業や家計には、文政権が導入した増税ものしかかる。

文政権が支持率回復の切り札として扱ってきた北朝鮮との融和政策にも、限界が表れ始めた。

北朝鮮は中国との関係強化に動いている。

その上で、北朝鮮は米国と交渉を行い、体制維持のために有利な条件を引き出したい。

北朝鮮が韓国との関係を重視する必要性は大きく低下したと考えられる。

 

米国ではコーツ国家情報長官が「北朝鮮による核放棄の可能性は低い」との見解を示した。

加えて、国連は韓国が北朝鮮への制裁に違反していたとの指摘を行う方針をまとめた。

文政権が北朝鮮との融和政策を正当化することは難しくなっている。

文大統領は、わが国への強硬姿勢をとることでこの窮地を脱しようと必死だ。

韓国の対日強硬姿勢は今後も強まるだろう。

わが国は、そうした韓国を相手にする必要はない。

それよりも、国際世論を味方につけ、自国の主張が支持されやすい状況を目指したほうが良い。

同時に、近視眼的な発想で政策を進めてきた韓国の教訓を生かし、政府は長期の目線で構造改革などに取り組み、経済の実力を高めることに注力する必要がある。


韓国経済ますます悪化の兆し、ウォン相場急落、4月の失業率は19年ぶりの高水準

2019-05-22 10:20:31 | 日記

韓国経済ますます悪化の兆し、ウォン相場急落、4月の失業率は19年ぶりの高水準


蟻地獄に堕ちた韓国経済、「日本と通貨スワップを結ぼう」と言い出したご都合主義

2019-05-22 10:01:51 | 日記

蟻地獄に堕ちた韓国経済、「日本と通貨スワップを結ぼう」と言い出したご都合主義

韓国で「日本からドルを借りればいい」との声が上がる。

ウォン安が止まらず、通貨危機に陥る懸念が高まったからだ。

日本は今回も韓国を助けるのだろうか――。(鈴置高史/韓国観察者)

5月の上・中旬の貿易は赤字

 5月21日の韓国外為市場は1ドル=1190ウォン台前半でもみ合い結局、前日比0・20ウォン高の1194・00ウォンで引けた。

 韓国通貨当局は防衛ラインを1ドル=1200ウォンに敷いていると見なされている。

これを超えると、ウォン売りが雪崩を打ちかねないと市場は見ている。

ウォンは今、「危険水域」を目前に、ふらつく毎日だ。

 5月20日に洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官が「金融市場に行き過ぎた偏りがあれば適切な措置を通じ、市場の安定を維持していく」と口先介入したことがウォン売りを抑えた。

 半面、5月21日発表の5月上・中旬の通関統計はウォン売りの材料を提供した。

5月1~20日の輸出は前年同期比11・7%減の257億2000万ドルと低迷したからだ。

 輸出の2割を占めてきた半導体が同33・0%減と不振だったことが響いた。

仕向け地別でも、25%前後を担ってきた中国向けが15・9%減少したのが足を引っ張った。

 輸入は同0・1%減の276億6000万ドルで、貿易収支は19億6000万ドルの赤字だった。

 1月1日から5月20日まで累計の輸出は同7・5%減の2072億1000万ドル。

一方、輸入は同3・9%減の1959億4000万ドル。貿易黒字は112億7000万ドルに留まっており、2018年1年間の700億ドルにはるかに及ばない。

 韓国は貿易赤字に陥ったり黒字が急減した際に、通貨危機を起してきた(デイリー新潮「韓国、輸出急減で通貨危機の足音 日米に見放されたらジ・エンド」参照)。

財政赤字が新たな懸念に

 市場は財政赤字拡大も懸念材料として注目し始めた。

5月16日に開かれた国家戦略会議で文在寅(ムン・ジェイン)大統領が洪楠基副首相に「(政府債務比率の上限)を40%とする根拠は何か」と聞き、その撤廃を命じたからだ。

 韓国の財政当局は伝統的に政府債務の比率を40%以下に抑えてきた。

しかし今回の大統領の指示により、上限が破られることが確実になった。

 2020年4月の総選挙を控え、文在寅政権は全国で公共工事を大々的に実施する方針だ。

予算が足りなければ国債を増発して補うことになる。

 財政赤字の拡大には警鐘が鳴らされていた。

朝鮮日報のキム・ヨンジン経済部長は4月25日の「洪楠基副首相がせねばならぬこと」(韓国語版)で「格付け会社のムーディーズが韓国の財政赤字に注目している」と指摘した。

 韓国経済の原動力である輸出が急減したうえ、不動産価格も下がった。

2019年2月の税収が前年同月比1兆3000億ウォン(1995億円)も減るなど、今後は歳入の減少が予想される。

「というのに、財源対策もなしにバラマキ予算を編成しようとしているからだ」とキム・ヨンジン部長は書いた。

蟻地獄に堕ちた韓国経済、「日本と通貨スワップを結ぼう」と言い出したご都合主義

韓国・北朝鮮2019年5月21日掲載

中南米型も併発

 韓国経済は四重苦だ。

2017年以降、生産年齢人口の割合が下がるなど少子高齢化の弊害が現れた。

総人口も2019年がピークと見られる。

経済の規模自体が縮み始めたのだ(デイリー新潮「文在寅の“ピンボケ政策”で苦しむ韓国経済、米韓関係も破綻で着々と近づく破滅の日」参照)。

 そのうえ半導体価格の低迷と米中経済戦争の影響をもろに受け、輸出が大きく落ち込んで、貿易黒字も急減した(デイリー新潮「ウォン安が止まらない韓国、日米との関係悪化で“助け舟”も絶望的の自業自得」参照)。

 韓国経済の先行きに疑問を持った投資家はウォンと韓国株を売り始めた。

大規模の資本逃避につながれば、外貨不足によるデフォルト(債務不履行)が発生しかねない。

 それを防ぐのが通貨スワップだが、韓国は米ドルを得られる2国間スワップ協定を結んでいない(図表「韓国のスワップ参照」)。

 2008年と2011年の危機時には日本や米国からドルを借りてしのいだ。

しかし今、韓国は北朝鮮の核武装を露骨に幇助している。

米国や日本が果たしてスワップを結びドルや円を貸すのか、市場は疑う(デイリー新潮「韓国『ウォン急落』で防衛ライン突破間近 文在寅が払わされる反米・反日のツケ」参照)。

 そんな三重苦に「財政赤字」という新たな病気が加わった。

これまで韓国の通貨危機は民間部門のドル不足から起きた。

それに加え、政府が借金を返せないとの懸念から発生する中南米型の危機にも韓国は直面したのである。

 ムーディーズの協議団は4月に訪韓、要人とのインタビューを通じ詳細に韓国経済を審査した。6月には審査を反映した新たな格付けを発表する見通しだ。

ムーディーズの恐怖

 中央日報のコラムニスト、イ・チョルホ記者の「危機の韓国経済、韓日通貨スワップ復元など最後の安全弁を用意する時」(5月15日、日本語版)によると、協議団と会ったある韓国のエコノミストはこう語った。日本語を手直しし引用する。

● ムーディーズが格付けを下げする可能性は50%以下だろう。しかし今後の見通しを「安定的」から「弱含み」に変える可能性が高い。6カ月以内にマイナス要因が改善されなければ、格下げするという予告だ。

●世界の流れと正反対の政策は危険だ。先進国は「小さな政府」に向かうが、韓国だけが「大きな政府」だ。世界は「減税」に動くが、韓国だけが「増税」に固執している。

 イ・チョルホ記者は地の文で、こうも書いた。

●ムーディーズは現代自動車、サムスン電子、SKハイニックスの格付け見通しを「安定的」から「弱含み」に引き下げた。3月には投資不振と輸出悪化、最低賃金引き上げによる雇用委縮を理由に成長率予測値を2・1%に下方修正している。

 要は、韓国はムーディーズにこめかみに拳銃を突きつけられた、ということである。韓国の経済専門家がムーディーズの動きを不気味に感じるのは当然だ。

IMF危機のデジャヴ

 1997年の通貨危機――韓国ではIMF(国際通貨基金)危機と呼ぶ――の際、ムーディーズは2カ月弱で6等級も韓国の格付けを引き下げた。格付けが下がるたびに資本逃避が起き、それが次の格下げを呼んだのだ。

 IMF通貨危機の背景には、米韓関係の悪化があった。

金泳三(キム・ヨンサム)政権の反米に手を焼いた米国が、危機に瀕した韓国にドルを融通せず、日本に対しても「貸すな」と指示したのである

(拙著『米韓同盟消滅』(新潮新書)第2章第4節「『韓国の裏切り』に警告し続けた米国」参照)。

 米・日に見捨てられた韓国は、IMFからドルを借りる代わりにその指導下に入る、という屈辱を味わった。

そしてこの経験が韓国人の反米感情に油を注ぐことになった。

 ちなみに、米国のアジア専門家、グリーンCSIS上級副所長は2017年5月5日、中央日報に寄せた記事で、大統領選挙を戦う文在寅氏に対し、反米・反日政策をとるな、と警告した。

「盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏も大統領選挙の最中に米国を批判したら、当選後にムーディーズが格下げしたことを思い出せ」と、通貨危機を脅し材料に使ったのである(拙著『米韓同盟消滅』(新潮新書)第2章第4節「『韓国の裏切り』に警告し続けた米国」参照)。

 厳密に言えば、格下げではなく「安定的」から「弱含み」に変えただけなのだが、それでもIMF危機から6年しかたっていない当時の韓国にとって、大きな脅威となったのである。

日本とのスワップが頼みの綱

 イ・チョルホ記者も今、IMF危機を思い出しているのだろう。「危機の韓国経済、韓日通貨スワップ復元など最後の安全弁を用意する時」で、日本と通貨スワップを結べ、と主張した。以下である。

《 まともな政府なら今ごろ、韓米通貨スワップは難しいとしても、韓日通貨スワップ程度は復元して最後の安全弁を用意しなければいけない。しかし危機意識がないというのがさらに大きな危機だ。》

 蟻地獄に堕ちた韓国経済。ずぶずぶと砂の底に沈んでいくのを食い止めるには、通貨スワップという綱を日本に結ばせるしかない、との判断だ。しかし、これだけ日韓関係が悪化しているのだ。日本はスワップに応じるのだろうか。

食い逃げした李明博

 図表「通貨スワップを仇で返した韓国」を見れば一目瞭然だ。

2008年2月に発足した李明博(イ・ミョンバク)政権はリーマン・ショックや欧州金融市場の動揺による通貨危機が発生するたびに、日本にスワップ枠を拡大してもらい、あるいは期限を延長してもらって乗り切った。

 だが、2011年10月19日に自分の任期末までほぼカバーできる700億ドル の大型スワップに拡大してもらった後は、手のひらを返した。

 竹島に上陸したうえ、「日王は謝りに来い」と要求。問題を解決しようと野田佳彦首相が送った親書の受け取りまで拒否した。通貨スワップを「食い逃げ」したのである。

 次の朴槿恵(パク・クネ)大統領も「食い逃げ」作戦を敢行した。2016年8月27日、日韓財務対話で通貨スワップ再開に向け協議再開で合意。

 すると、12月30日に釜山の日本総領事館前に慰安婦像が設置されても、朴槿恵政権は何の措置もとらなかった。ソウルの日本大使館前の慰安婦像も撤去されないままだった。

 明白な慰安婦合意の違反として日本政府が抗議したが、韓国政府は完全に無視。結局、日本政府は2017年1月6日にスワップ再開協議の中止などの対抗措置を宣言した。

おだてに弱い日本の政治家と役人

 2度も騙された日本が今回も騙されるとは考えにくい。

しかも文在寅政権は、慰安婦合意の事実上の破棄、日韓国交正常化協定を踏みにじる「徴用工」判決、日本の哨戒機に対する射撃管制レーダーの照射など、過去の政権に輪をかけた「卑日」を繰り返している。

 それなのに韓国では「日本にドルを持ってこさせればよい」との意見がいまだに語られる。

イ・チョルホ記者だけではない。「日本の政治家や役人はおだてに弱い。

最後はスワップに応じるはずだ」と語る日本通の韓国人がけっこういる。

 そういえば、スワップ協議再開を中断した直後の2017年1月11日、中央日報・日本語版に興味深い記事が載った。

中央日報系のテレビ局JTBCのチョ・ミンクン経済産業部次長が書いた「韓国が厄介な隣国と生きていく姿勢」だ。要旨は以下だ。

●慰安婦像を口実に日本がスワップ再開協議を中断したのは偏狭な行為だ。「そんな日本と手を組むな」との批判も多い。だが、国際金融市場に暴風が予告されている今、すべての手段を動員し最大の防壁を築くべきである。

●韓国と日本の財務官僚は毎年、サッカーの親善試合を開く。両国関係が悪い時も、それは開かれた。親善試合とはいえ、激しい自尊心競争は他の韓日国家対抗戦に劣らない。

●昨年の最大の功労者は試合前日の酒宴で「論介(ロンゲ)戦術」を駆使し、日本のエース級選手に大酒を飲ませた幹部だった。

●初日の試合では「1-0」で韓国が勝った。翌日の試合で韓国は補欠級の選手を出し「0-1」で日本に勝ちを譲った。厄介な隣国と生きて行くとはこういうことだ。

キーセン作戦が奏功

 サッカーで1勝を譲って日本の財務官僚をおだててやれば、通貨スワップだって引き出せる、と韓国の財務官僚は記者に誇ったのだ。なお、この記事には韓国人にしか分からないであろう暗喩もある。「論介戦術」である。

「論介」とは妓生(キーセン)の名前だ。文禄・慶長の役の際、宴席でかしづくフリをしながら日本の武将に抱きつき、ともに川に落ちたとされる。

 この記事を読んだ韓国人読者の多くが「キーセン・パーティをしてやれば、日本の役人など言うことを聞く」と思ったことであろう。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ) 韓国観察者。

1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95〜96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。

2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。