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文在寅打倒なるか、保守のデモが街を埋めた 

2019-10-21 13:53:53 | 日記

櫻井よしこ オフィシャルサイト

2019.10.17 (木)     

「 文在寅打倒なるか、保守のデモが街を埋めた 」

『週刊新潮』 2019年10月17日号 日本ルネッサンス 第872回

10月3日、平穏な年なら韓国は国民こぞって「開天節」を祝っていただろう。

開天節は朝鮮の神話に出てくる檀君即位の日、韓国の建国記念日だ。

だが、今年のこの日、首都ソウルは文在寅政権に反対する保守派の怒りで埋まった。

インターネット配信の「言論テレビ」でデモの映像を紹介しながら、朝鮮問題専門家の西岡力氏がデモの参加人数を面積を基に計算すれば約50万人になると説明した。

デモに関しては往々にして過大な数字が発表されるが、誇張ではなく、正味50万人がデモに参加したことの意味は大きい。

「2017年3月1日、保守派勢力が当時の大統領、朴槿恵氏に対する弾劾に反対してデモをしました。

光化門からソウル市庁前、南大門まで人が一杯になり、その時はやはり面積比で30万人とされました。

今回は南大門からさらにソウル駅までの大通りが人で埋まっています。50万人説には信頼性があると思います」と西岡氏。

朴前大統領擁護の保守派デモより、はるかに多い人々が街に繰り出したのだ。

他方、産経新聞ソウル支局の黒田勝弘氏は、朴氏を辞任に追いやった左翼勢力主導の「ロウソクデモ」よりも今回の人数が多かったと報じている。

2年前の左右のデモを超える人々が、いま、反文在寅の旗を立ててデモをしているのである。「言論テレビ」で「統一日報」論説主幹の洪熒氏が説明した。

「主催、参加団体は多様でした。

キリスト教の牧師、YouTubeなどのメディアや言論機関、大学の教授たち、これまで文政権と連携してきた弁護士、会計士などまでが曺国法相の辞任を求めて、文批判を強めました」

今回のデモは、或いは、韓国世論が大きく変化する予兆ではないのか。普通の人の姿も目立った。キリスト教会の動員力のせいか、若い男女や主婦も少なくなかった。

多くの脱北者も座り込んだ

彼らを突き動かしている要因のひとつが香港だという。

750万の香港人が、14億人を擁する中国共産党と戦っている。その気迫に韓国人は目を醒まされたと洪氏は指摘する。

香港以前に、全世界は、中国共産党が中国本土で国民からあらゆる自由を奪い取るのを見詰めている。

宗教弾圧はとりわけ厳しく、キリスト教徒も無慈悲な迫害の対象だ。

だが、文氏も曺氏も韓国民の中国共産党支配に対する危機感には鈍感である。

むしろ中国共産党に近づくかのように、社会主義革命路線をひた走る。

一般の国民が、そのような彼らに国政を委ねることへの危機感を抱き始めた。それが、10月3日の大規模デモだ。

キリスト教徒に加えて、デモに参加した海兵隊予備役官らも注目を集めたという。

彼らは皆、文政権への抗議の意味を込めて剃髪したのです。坊主頭の屈強な男たちの一群ですから、目立つでしょう

と洪氏。

大学の教授たちも1万人以上が「正義と真実」を求めて抗議声明に署名し、デモに合流した。

YouTuberの若者たちはデモの現場で大手メディアに抗議した。西岡氏の説明だ。

「10.3デモの取材に大手テレビ局のKBSが来ていたのです。大手テレビは本当に左傾化しています。保守の言動どころか存在さえ報じません。

ですから若者たちは大型放送車の窓に『本当のことを報道しろ』と書いたプラカードを貼り付けたのです。

暴力も破壊もありませんでしたが、KBSの記者たちには痛烈なメッセージになったでしょう」

10.3デモは、史上最大規模のデモでありながら、香港のような激しい暴力沙汰は起きなかった。

事前に各団体が注意事項を呼びかけたからだ。

武器と誤解されるようなものは一切身につけないこと、台風の影響で雨が懸念されるため、雨合羽を持参すること、但し、傘は武器と見做されかねないとして禁止した。

「体力のある者は徹夜でデモをして、そのまま青瓦台の前に座り込む。従って、寝袋と腹ごしらえの食糧を持参するようにという通達も出ました」と洪氏。

6月から青瓦台前で一人で座り込みをしてきた全光焄牧師が指導して、3日夜、1000人単位の人々が青瓦台前で夜をすごした。

週末になっても人数は減らず、座り込みが続いている。多くの脱北者も一緒に座り込んだ。

彼らは人間を人間として扱わない北朝鮮から命がけで脱北した。

それなのに、韓国はいま、北朝鮮に同調しようとしている。

彼らはそれだけは決して許せないのである。

政治運動と関わったことのない多様な人々が街に繰り出したのは、文政権の所業が「臨界値を超えた」からだと洪氏は強調する。

反日が支柱

社会の中間層に属する「大人しい人たち」までもが行動を起こしたことをどう解釈すべきか。明らかに暫く前とは様子が違う。

それを向こう側から息を詰めるようにして、逆転劇を恐れつつ見詰めているのが文氏と曺氏ではないか。

娘の不正入学、不正論文、妻の金銭疑惑、その背後の黒幕である曺氏本人は暴力革命を信奉するレーニン主義者である。

曺氏を罷免すれば、文氏への評価は好転するかもしれないが、文氏はそうはしない。ここで退けば彼の革命の夢は潰れてしまうことを知っているのだ。

この段階でも文氏にはまだ4割弱の支持がある。理由は主として二つ、第一の理由を洪氏が説明した。

「共産主義への盲信から目が覚めることは、自分の頭で考える力がどれだけあるかということに直結します。

文氏支持の左翼たちは盲信が深いために、自分の目で見て自分の頭で考えることがなかなかできないのです」

第二の理由を西岡氏が熱を込めて語った。

金日成の主体思想を奉ずる人々が今日まで存在し続けているのは、マルクス・レーニン主義に依拠するからではなく、反日民族主義に依拠しているからだという。

金日成の「偉大さ」は「日本と戦った」ことによるが、韓国の主流派は残虐な日本と手を組んだ。

その汚れた親日派が親米派になり、反共派になって韓国を支配した。

世界で社会主義が衰退しても関係ない、親日派を倒せば韓国は再生する。

そのように信ずる人々は、日本が悪いと言っている間は大丈夫なのだ。反日が支柱である限り、社会主義や共産主義がすたれても、彼らは倒れない。

であれば、韓国再生のためには反日の間違いを正さなければならない。

そのことを韓国の保守派はようやく悟った。

それがベストセラー、『反日種族主義』を書いた李栄薫教授であり、弟子の李宇衍教授らだというのだ。ストンと納得のいく分析である。彼らと連帯していくのが日本の正しい道である。


経済成長率6%を割った共産主義中国は生き残れるのか?

2019-10-21 10:25:47 | 日記

経済成長率6%を割った共産主義中国は生き残れるのか?

10/21(月) 7:01配信    

     

   

いよいよ6%割れが目前だ

 今年第2四半期の中国の経済成長率は、公式統計で6.2%となった。

また. 中国国家統計局が10月18日に7~9月期の国内総生産(GDP)を発表し、前年同期比6.0%であった。

中国・習近平が恐れている、米中貿易戦争より「ヤバすぎる現実」
 

2018年通年のGDPは6.6%であったので、減少傾向が明らかだ。
 

共産主義中国の統計の信頼性を考えれば、実態としては既に6%割れと考えられる。

これまでも、中国の経済統計はかなり「底上げ」されているという指摘は、西側エコノミストからたびたびおこなわれている。
 

しかし、あまりにも露骨な「化粧」は、西側諸国の不信を招くので、通年では早ければ2019年、遅くとも2020年には公式統計でも6%割れを起こすのではないだろうか。
 

もっとも、習近平政権が「6%維持」にこだわり、なりふりかまわず公式統計の6%維持を図る可能性も否定しきれない。
 

なぜ、6%がそんなに大事なのか? 

それは、十数年以上前から、共産主義中国の目覚ましい発展が「自転車をこぐ巨象」に例えられ、その象が漕ぐペダルのスピードに相当するのがGDP成長率であるからだ。

 

経済が驚異的に成長したから一党独裁が維持できた

 大昔の日本でも「大学は出たけれど……」という言葉が流行るほど、大学卒業生の就職が困難であった時代が存在したが、現在の中国でも同様である。
 

豊になった親の世代が、まず子供にしてやりたいと思うのは、自分が受けられなくて不利に扱われた高等教育を受けさせることである。
 

しかし、中国の十数億人にも達する社会では、大学卒業生の「数」も半端ではない。

高給を得ることができる外資系や、特権を駆使できる共産党系列の大企業への就職は、大学卒業生にとっても狭き門だ。
 

結局多くの大学生が、夢見る「科挙に合格した役人」のようなエリートとはほど遠い、高等教育が必要ない職業につかざるを得ない。
 

戦後、日本の政治・経済がまだ不安定な時期に、学園紛争が頻発し、社会が騒然とした雰囲気になったのは偶然ではない。
 

高い教育と、破壊的とも言える若さを兼ね備えた大学生の暴動は、どこの国の政府にとっても脅威である。

若いエネルギーが理論武装して立ち上がった場合、年間10万件以上(香港紙の報道による)発生している農民暴動よりもはるかに手ごわい相手になる。
 

中国共産党が、法輪功やキリスト教徒以上に警戒しているのが大学生なのだ。
 

そして、中国共産党にとって、危険極まりない大学生たちの「不満」を爆発させないためにも、6%以上の成長を維持して、就職先を提供することが不可欠というわけである。
 

事実、香港の民主化運動のリーダーとして著名な、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏と周庭(アグネス・チョウ)氏は、それぞれ23歳と22歳と極めて若い。
 

「香港騒乱」のデモは、アメーバ型の組織によって動かされ、彼らはあくまで象徴的存在で、はっきりしたリーダーは存在しないとも言われるが、デモ参加者の多くが若者であることは確かだ。

10月1日の建国70周年の際のデモで警官に銃で撃たれ重体となったのも18歳の高校生である。

中国の経済成長率は右肩下がりが続く

 「貿易戦争」という負け戦と、「香港騒乱」という失態で、習近平反対派の勢いは密かに強まっているはずである。
 

それにも関わらず、習近平氏が天安門事件の時の鄧小平のような強気な態度に出ることができないのは、「自由貿易都市・香港」を失ったら、大陸中国の経済が大打撃を受けるからである。
 

「共産主義中国の内需が巨大だ」という話をオールドメディアがばら撒き、それを頭から信じ込んだ多くの日本企業が中国進出を行いひどい目に合っている。
 

一般のイメージとは違って中国は「貿易立国」であり、依存度は40%もある。

逆に、社会科で「貿易立国」とでたらめを教えられてきた日本の依存度は、歴史的に20%を下回ることが多いし、米国にいたっては1けた台である。
 

したがって、「米中貿易戦争」の敗者は、初めから共産主義中国と決まっているし、6%成長を維持するためには、「貿易」を活発化しなければならないのである。
 

そして、改革・解放以降の中国の目覚ましい発展の陰には、日本を含む先進国のいわゆる外資だけでは無く、同胞とも言える華僑・華人たちの活躍があったことは、10月16日の記事「現代版『ベルリンの壁』…香港の騒乱は『中国崩壊』の序曲か」で述べたとおりである。
 

望郷の念が強い華僑・華人であっても、共産主義中国建国の際に、難民として逃れてきた人々は中国共産党に対する警戒を怠らない。
 

改革・開放そのものは1978年から行われたが、1989年の天安門事件の後の停滞を抜け出して再び軌道にのり始めたのが1992年。

1997年の香港返還がそれを後押ししたのは間違いが無いし、それ以前の英国統治下の香港も中国経済発展に大きく貢献した。

香港は中国経済の「出島」をはるかに超える存在

 大陸中国と香港の関係は、江戸幕府と出島の関係に似ているように思えるが、実態は全く違う。
 

江戸幕府のGDPにおける貿易の比率など微々たるもので、経済の根本は農民からの年貢にあったが、共産主義中国の貿易依存度は40%もあるのはすでに述べたとおりだ。
 

これまでの中国大陸の経済発展は「香港」という、有能な助っ人がいたから成立ってきたのである。
 

例えば、共産主義中国では資本管理を行っているので、ビジネスで成功して多額の利益を得ても、公式には現地通貨である元は持ち出せない。

つまり外資系企業はいくら稼いでも、もうけを中国大陸に再投資することしかできない。
 

そのような条件でも多くの外国企業が進出したのは、香港ドルという「一国二制度」地域の通貨を絡ませれば、持ち出しが不可能ではなかった(正式な手法とは言い切れないが……)からである。
 

ちなみに、ビットコインなどの仮想通貨がブームになったのも、中国元やロシア通貨を国外に持ち出す道具として使われたことが大きな理由だ。

もっとも、このブームは当局の規制・監視が厳しくなったことで終焉し、その後を投機目的の日本人などが継いだ形である。
 

習近平政権は、「中国大陸に香港と同じ自由都市」を創るなどというが、そんなことができるはずがない。
 

英国と「一国二制度を50年間維持する」と約束した香港の自由さえ守れないのなら、共産党のおひざ元での自由都市建設など空想にしか過ぎない。
 

そもそも、香港の自由が奪われた時点で、西側先進諸国だけではなく、中国経済を裏方として支えてきた華僑・華人も大挙して中国大陸から脱出するであろう。

腰の重い日本企業も逃げ遅れてはならない。
 

香港同様シンガポールも、共産主義中国への窓口として機能してきたが、建国の父リー・クアンユーは、共産主義中国に対する警戒感を怠らず、はっきりとした一線を引いてきた。
 

確かに、シンガポールは、ディーラー仲間から「明るい北朝鮮」と揶揄される統制色の強い国であるが、3代目首相のリー・シェンロン(クアンユーの息子)に至るまで権力者は清廉潔白で、汚職には厳しく(単なる政治的ポーズではなく)対処する国であり、元国家主席の胡錦濤一族が100兆円もの隠し資産を持つと報道される、「汚職まみれの」共産主義中国とは全く違う国である。
 

共産主義中国でときどき行われる「汚職追放キャンペーン」は、内ゲバ粛正の口実にしか過ぎない。

今度もアノマリーは起こるのか?

 結局、万が一香港のデモがおさまったとしても、「自由都市・香港」のブランドには大きな傷がすでについてしまった。

香港を活用できないことは「貿易立国」である中国の経済に大打撃になると考える。

しかも、現在は米中貿易戦争の真っただ中である。
 

6%割れどころか、近い将来に「実質的なマイナス成長」に陥る可能性さえある。もちろん、正式な統計としては発表しないであろうが……
 

前述の「現代版『ベルリンの壁』…香港の騒乱は『中国崩壊』の序曲か」の最後のページで、ソ連邦はロシア革命から74年、連邦成立から69年で崩壊したのに対して、共産主義中国が建国70年を迎えたことについて述べた。
 

それだけではない。北京オリンピック開催から11年が経つが、下記のようなオリンピックと9~11年後の経済崩壊(大打撃)のアノマリーというものがある。

 
---------- 1936年 ベルリンオリンピック 

:1945年、ナチス・ドイツ崩壊 1964年 東京オリンピック 

:1973年 第1次オイルショック 1980年 モスクワオリンピック

: 1991年ソ連邦崩壊 (1989年ベルリンの壁崩壊) 1988年

:ソウルオリンピック

:1997年韓国(事実上の)崩壊(アジア通貨危機) ----------
 

概ね、戦後の日本を含む急成長を遂げた新興国に当てはまる事例であるが、経済活動にも一定の周期があることから、単なる偶然と片づけるわけにもいかないと思う。
 

1989年にベルリンの壁が崩壊した後も、1991年のソ連邦の崩壊を予見した人はほとんどいなかったが今回はどうであろうか?

中国崩壊論は長年ささやかれてきたが、今度こそ本当になるかもしれない。    

大原 浩