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習主席が生き残りかけるバルカンの万里の長城

2019-10-23 18:23:38 | 日記

習主席が生き残りかけるバルカンの万里の長城

編集委員 中沢克二

2019/10/22 23:00

情報元
 

日本経済新聞 電子版

 
中沢克二(なかざわ・かつじ) 1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞

中沢克二(なかざわ・かつじ) 1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞

中国国家主席の習近平(シー・ジンピン)は、米中覇権争いの長期化を見据えた持久戦の準備を怠らない。

その最前線は意外にも共産政権が既に倒れた東欧、そしてバルカン半島である。

世界の火薬庫の異名を持つバルカン半島は大国間のつばぜり合いから逃れられない。

そこでは今、中国のプレゼンスが高まりつつある。

バルカン半島のまん中に位置するセルビアの首都、ベオグラード。

10月上旬、見本市会場では、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の一環で周辺関係国による「イノベーション会議」が開かれていた。

テーマは中国をお手本とするデジタル化推進である。

 

中国建国70年を迎え、パレードに登場した習近平国家主席の肖像画(1日、北京の天安門前)=共同

中国建国70年を迎え、パレードに登場した習近平国家主席の肖像画(1日、北京の天安門前)=共同

ベオグラードはちょうど20年前も米中確執の最前線だった。

1999年にはコソボ紛争に絡み、米軍を主体とする北大西洋条約機構(NATO)軍が当時、ユーゴスラビアの首都だったベオグラードを爆撃。

その際、米軍機が中国大使館を誤爆し、中国人3人が犠牲になった。

これに抗議する中国の学生ら数万人が北京の米国大使館前に集結し、大使館の建物壁は投げつけられたペットボトル入りペンキで染まり、窓ガラスも完全に破壊された。

ベオグラードはユーゴスラビアの崩壊後、セルビアの首都に。そのセルビアでは中国国有企業の動きが目立つ。

3年前に唯一の製鉄所が河北鋼鉄集団に買収され、1年前にはやはり唯一の銅鉱山会社が中国企業の傘下に入った。セルビア経済の中国依存度はかなり高い。

 

20年前の米軍機による駐ユーゴスラビア中国大使館の誤爆の際は習近平氏の出身校、清華大学の学生らも反米デモに参加し、北京の米大使館前に押し寄せた(1999年5月)

20年前の米軍機による駐ユーゴスラビア中国大使館の誤爆の際は習近平氏の出身校、清華大学の学生らも反米デモに参加し、北京の米大使館前に押し寄せた(1999年5月)

■崩壊した欧州の旧共産圏が標的

バルカン半島西岸のクロアチア。東西冷戦の終結後も独立を巡って戦乱が続いたが、2013年には欧州連合(EU)加盟も果たした観光立国である。

 

冷戦終了後も平和が訪れなかったクロアチア(1991年、砲撃を受けたドブロブニク旧市街に近い山頂に立つ兵士=戦争記念館で)

冷戦終了後も平和が訪れなかったクロアチア(1991年、砲撃を受けたドブロブニク旧市街に近い山頂に立つ兵士=戦争記念館で)

青さが際立つアドリア海沿いに建つホテルの部屋のテレビをつけると、数少ない英語放送のうち2つを中国国営テレビのチャンネルが占めている。

中国グローバルテレビジョンネットワーク(CGTN)のニュースチャンネルとドキュメンタリーチャンネルだ。

番組内容は中国政府の宣伝色が濃い。

延々と流れていたのは、中国がいかに開放的かという特集。

一方でEU加盟国の大半で見ることができる米CNN、英BBCはメニューにない。

つまり、今、世界の話題である香港の大規模な抗議活動を正面から取り上げたニュースは見ることができない。

理由は簡単だ。

バルカン半島では中国の影響力が急速に強まりつつある。

クロアチアが誇る世界遺産である城塞都市、ドブロブニクの高級ホテルでは今年4月、中国首相の李克強や経済担当閣僚ら多数が出席して中国と中欧・東欧諸国の首脳らによる盛大な会議が開かれた。

習近平が「一帯一路」を初めて提唱したのは6年前。

それに先立ち中国は中欧・東欧、そしてバルカン半島諸国と協力の枠組みづくりに着手していた。

今春のクロアチア会合は8回目。しかも今年から参加国がさらに増えた。

バルカン半島の先端にあるギリシャも入り、「17(中欧東欧諸国)+1(中国)」という枠組みになる。

この17カ国のうち12カ国はEU加盟国である。地図で17カ国を色分けすると、ドイツやフランスを核とするEU経済圏の東側外郭部に中国による新たな「万里の長城」が築かれたのが一目瞭然となる。

中国が狙うのは中欧、東欧、バルカン半島、バルト3国といった旧共産圏諸国だ。

万里の長城は中国の歴史上、中原を制した国家が北方の夷敵(いてき)から国土を守るために築いたレンガ造りの長大な壁だった。

現代の万里の長城には特徴がある。城壁の周りは経済力というしなやかな竹林で覆われ、一見、砦(とりで)には見えないのだ。

■西に進路をとる対米持久戦の最前線

第2次世界大戦でドイツとの激しい戦いを制したかつての英首相、チャーチルは戦後、ソ連による欧州の東西分断に警鐘を鳴らした。

有名な「鉄のカーテン」演説である。あっと言う間に東欧に共産圏を広げたソ連の脅威はそれほど深刻だった。

「バルト海のシュチェチンからアドリア海のトリエステまで(欧州)大陸を横切る『鉄のカーテン』が降ろされた」。

チャーチルがいう鉄のカーテンの北端は、バルト海に面したポーランドの港湾都市、シュチェチン。南端はバルカン半島に近いアドリア海の良港、トリエステ(現イタリア領)だ。

 

1989年11月にベルリンの壁が崩れて30年。

ソ連も崩壊した今、この鉄のカーテンが、中国による万里の長城の様相を呈しているのは興味深い。

しかも中国は鉄のカーテンの南端、トリエステも「一帯一路」の海上シルクロードに取りこもうと動いている。

中国国有企業が運営するギリシャ最大の港、ピレウス港とつなげば地中海への中国の影響力が一段と増す。

欧州に姿を現した万里の長城は、自由・民主主義といった米欧の価値観の拡大を食い止め、中国式の経済発展モデルを「一帯一路」の名の下に広げる橋頭堡(きょうとうほ)に見える。

それは習近平が唱える「対米持久戦」の手段でもある。

中国の発展に貢献した対米貿易が縮小しても、西に伸びる「一帯一路」という名の中国の存在空間を広げれば何とか生き残れる。そんなソロバン勘定だ。

中国の影響力は、ロシア経済の不振もあって中央アジア諸国に浸透しつつある。

その西にある中欧、東欧、バルト3国、バルカン半島という旧共産圏での成功は極めて重要だ。

そう考えると新たな万里の長城は単なる守りのイメージではない。攻めも見据えている。

中国古代国家の長城づくりが、農耕民族の勢力圏を遊牧民族地域に広げる手段だったように。

それは万里の長城の外にあるはずの主要国(G7)の一角、イタリアとまで「一帯一路」を巡る覚書を交わしたことが象徴している。

■EU主要国からも警戒感

巨大な中国市場に魅力を感じるEU主要国は中国の進出に寛容だった。

だが、ここにきて雰囲気が怪しい。「欧州が再び分断されかねない」。

そんな懸念が現実になりつつあるのだ。フランス大統領のマクロンはEU加盟国を個別に切り崩そうとする中国をけん制。

EUの対中政策の軌道修正に触れた。ドイツ首相のメルケルも中国との基本的価値観の違いに言及している。

中国を覇権争いの相手と見なす米国も黙っていない。

米国務長官のポンペオは10月上旬、バルカン半島のモンテネグロと北マケドニアに立ち寄り、バルカン半島諸国の首脳は中国の「一帯一路」のリスクを警戒すべきだと強調した。

人口60万人にすぎないモンテネグロでも中国の融資による高速道路建設が進み、国際通貨基金(IMF)が債務過剰問題で警告する事態になっている。

とはいえ最近は中国にとって別の不安要因が出てきた。

影を落としているのは中国の国内経済の落ち込みだ。

中国の7~9月の成長率は1992年以来、最低の6.0%。今後は5%台への転落もありうる。

税収の使途への国民の監視がない中国は、これまで莫大な資金を国外に回せた。

皮肉なことに、多くの原資は対米貿易黒字がもたらしたのだ。

今後、対米貿易の縮小と相まって国内経済が急減速すれば一気に余裕がなくなる。

当然、対外融資も影響を受けるだろう。

援助大国だった日本もバブル経済崩壊後、政府開発援助(ODA)を大幅に減らさざるをえなかった。

カネの切れ目は縁の切れ目。

日本ほど顕著ではないにせよ、中国も似た道を歩む可能性がある。

欧州の新たな万里の長城、そして「一帯一路」の将来は、中国経済の行方に大きく左右されそうだ。(敬称略)


宜野湾市議会が辺野古移設促進を要求 意見書を賛成多数で可決

2019-10-23 16:37:49 | 日記

「当事者である宜野湾市民が置き去りにされている」

 宜野湾市議会が辺野古移設促進を要求 意見書を賛成多数で可決

                        

 

                            

 

                        
米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を促進する意見書を、与党などの賛成多数で可決する宜野湾市議会=27日、同議会

【宜野湾】

宜野湾市議会(上地安之議長、定数26)は27日の9月定例会最終本会議で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設促進を求める意見書を14対8の賛成多数で可決した。

野党は辺野古移設に反対する意見書を提案したが、賛成8、反対14の反対多数で否決された。

宜野湾市議会が移設先を辺野古と明記した意見書を可決したのは初めて。首相、知事、沖縄関係閣僚ら宛て。

いずれの採決でも与党の公明党3人は退席した。中立の上里広幸議員(共生の会)と野党が反対の意思を示した。
 

意見書は、日米両政府が普天間飛行場の移設先を米軍キャンプ・シュワブ辺野古崎が唯一の解決策としているとして「苦渋の決断の時期と思慮せざるを得ない」と指摘。

政府と県による普天間飛行場の議論が移設先のみに終治しているとして「当事者である市民が置き去りにされ、不安、危惧を抱かずにはいられない」と訴えた。
 

普天間飛行場の危険性除去、日米両政府で普天間飛行場の運用停止時期を新たに定めること、ジェット戦闘機などの外来機の飛来禁止などを求めている。
 

提案した呉屋等議員(絆輝クラブ)は、辺野古移設を促進する意見書可決を求める陳情に沿って意見書提案に至らなかったことで議員提案にしたと述べた。

その上で「当事者である市議会として意見書を提出し、普天間飛行場の危険性除去と一日も早い返還実現を求める」と説明した。


野党の玉城健一郎議員(結・市民ネットワーク)は反対討論で、選挙などで県民が何度も辺野古移設反対の民意を示してきたと指摘。「辺野古への普天間飛行場の移転は、日本の民主主義への挑戦だ」と強調した。


中国経済崩壊で「韓国のデフレ不況突入は確実」と三橋貴明氏

2019-10-23 16:21:28 | 日記

中国経済崩壊で「韓国のデフレ不況突入は確実」と三橋貴明氏

『NEWSポストセブン』       

不動産バブルに加えて、株式バブルも崩壊した中国経済。
 
GDP世界2位の大国が揺れている。
 
習近平政権はなりふり構わぬ株価維持政策に出たが、それも再び暴落するのは時間の問題だ。
 
その時には経済だけでなく社会も大混乱に陥るのは必至だろう。
 
起死回生を狙ったアジアインフラ銀行(AIIB)も、実は中国が抱える悩みを解決するためだけに作られたもの。
 
資金提供したヨーロッパ諸国は痛い思いをすることになる羽目となる。
 
中国経済崩壊により、世界はどうなってしまうのか。
 
日本はどうすればいいのか。このほど中国での現地取材と詳細なデータを読み解いた『中国崩壊後の世界』(小学館新書)を上梓した気鋭のエコノミスト・三橋貴明氏に話を聞いた。
 
* * *
──世界中が注目する中国の現状はどうなのか。
 
三橋:2015年の9月に中国に向かい、大連、オルドス、北京と周り、様々な人々に取材した。
 
特に驚いたのはやはりオルドス。
 
高速道路や高層ビルなど見た目のインフラは異様なほど充実している。
 
空気も中国とは思えないほどきれい。ところが、人間がいない。
 
現地に住む中国人に聞いたところ、10万人程度が住めるマンション群に暮らしているのは100人程度とか。
 
しかも、住んでいるというよりも、オルドス市が補助金を出して、薄給の清掃員やタクシー運転手などに「住んでもらっている」状態とのことだ。
 
ゴーストタウンというと廃墟をイメージするが、オルドスはインフラが整っているだけに逆に不気味な感じを受けた。
 
2010年までオルドスは中国で1人当たり国民総生産が中国全土で1位だったのに、主要産業だった石炭価格の暴落に加え、習近平の“大気汚染政策”が追い打ちをかけて、この有り様だ。
 
5年後、この街はとんでもないことになっているだろう。
 
さらに、詳しくは『中国崩壊後の世界』を読んでいただきたいが、オルドスには驚くべき地区が存在するのだ。これはまさに中国の歪みの象徴といえるだろう。
 
──それでも中国が発表する経済成長率は7%近くと高いままだ。
 
三橋:そもそも、中国が発表する数字そのものが嘘だらけ。
 
何といっても、地方政府が発表するGDPを全部足すと、中国国家統計局による全国GDPを日本円にして54兆円も超えてしまう。
 
地方政府はGDPを上げなければ共産党における出世の道が閉ざされるから、そんなことを平気でする。
 
直近の鉄道貨物輸送量が10%以上落ち込んでいるのに、経済成長率はびくともせずに7%などあり得ない。はじめから、7%という数字ありきなのだ。
 
──中国の産業構造に問題がある。
 
三橋:中国は過剰投資しすぎた。
 
鉄鋼を例にとれば、中国の粗鋼生産量は年間8億トンにも関わらず、生産能力は12億5000万トン。
 
設備稼働率は65.8%。明らかに供給過剰だ。
 
日本の鉄鋼の生産規模は1億1000万トン。
 
中国は余剰供給能力だけで日本の生産規模の4倍にも達している。
 
中国国内の鉄鋼需要は50~60%が建設や不動産、インフラ部門が占めていた。
 
不動産バブルが継続するという前提だ。しかし、不動産バブルは崩壊している。
 
鉄鋼の供給過剰を国内で吸収することができない、ということを考えれば、AIIBの設立に躍起になるのも説明がつく。
 
逆にいえば、AIIBを強引に設立し、世界中から資金調達した上で、アジア各地にインフラ投資を実施していく以外に、国内の鉄鋼等の供給過剰を昇華する道は残されていないというわけだ。
 
供給過剰問題は鉄鋼だけでなく、自動車産業にも当てはまる。
 
100社以上がある2015年の各自動車メーカーの稼働率は5割前後だ。
 
すでに日米をはじめとした主要国の投資は大幅に激減している状態だ。
 
──中国が供給過剰状態となると、中国に資源を輸出していた資源国はたまったものではない。
 
三橋:現に、豪州やブラジルといった鉄鉱石を輸出してきた国々は深刻な状況に追い込まれている。
 
ブラジルなど政治的要因も重なって、国債の格付けは下がる一方だ。石油輸出国であるロシアや中東諸国も大きな打撃を受けている。
 
──影響を受けるのは資源国だけではない。
 
三橋:最悪なのは韓国だ。
 
韓国のインフレ率は約50年ぶりの低水準0.7%と1999年のアジア通貨危機の時よりも悪い。
 
内需が低迷し、インフレ率が上がらない状況で、外需まで失速する。
 
まさに内憂外患の状況だ。
 
しかも、韓国の場合、「製品輸出国」といて中国に依存してきた。
 
その中国にしても同じような仕組みで発展してきた。つまり、補完関係ではなくライバル関係なのだ。
 
 中国企業は急速に韓国企業にキャッチアップしてきている。すでにサムスンに代表されるスマホなど6分野ですでに中国企業に追い抜かれてしまっている。このままだと韓国は深刻なデフレ不況に突入するのは確実だ。通貨危機の再来の可能性もゼロではない。
 
──日本はどうなるのか。
 
三橋:もちろん、中国経済崩壊によって、まったくダメージがないわけではない。
 
中国に多額の投資をしてきた企業は頭を抱えているし、爆買いも終われば旅行産業や小売業界も打撃は受けるだろう。
 
しかし、日本の対中輸出対GDP比率は2.5%に過ぎない。仮に中国への輸出がゼロになったとしても、日本のGDPは2.5%マイナスになるに過ぎない。
 
 しかも、中国の日本からの輸入は「資本財」が中心だ。
 
日本から資本財を輸入しない場合、中国は自らも生産が不可能になってしまう。
 
そんなことは、中国共産党が崩壊するなど革命的かつ歴史的大事件が起きない限り、絶対にあり得ない。

台湾総統選で劣勢の韓国瑜氏、香港デモと対中姿勢が足かせ

2019-10-23 16:08:28 | 日記

【国際情勢分析】台湾総統選で劣勢の韓国瑜氏、香港デモと対中姿勢が足かせ

 
 
2019/10/23 07:08
 
 台湾の野党、中国国民党の総統候補、韓国瑜高雄市長(62)が存在感の低迷に苦しんでいる。
 
香港情勢の悪化を受けて中国への対抗姿勢を鮮明にする与党、民主進歩党の蔡英文総統(63)に支持率で引き離され、逆転の方策が見えない。
 
国民党も一枚岩と言えず足元に不安を抱える。
 
昨年11月の市長選で初当選した勢いで総統選に挑んだものの、ここに来て準備不足の影響が出始めている。

■二匹目のドジョウは

「台湾人に必要なのは安心感であって、亡国感ではない」

韓氏は「中華民国」の建国につながった辛亥革命を祝う10月10日、高雄市で対中政策を発表する記者会見を開き、蔡氏の対中姿勢を批判した。

蔡氏は建国記念日に当たるこの日、総統府前で開いた記念式典で演説し、「一国二制度の拒絶は台湾人民の最大の共通認識だ」と反中姿勢を強調していた。

韓氏は一国二制度は自分も「絶対に反対だ」と主張。

その一方で、蔡政権の3年間で、中台間の「相互信頼が失われた」とし、国交のある国が22カ国から15カ国まで減少したことで「史上最も孤立した苦境に陥っている」と批判した。

現在の苦境は蔡政権の失政の結果であり、「亡国感(国が滅ぶという危機感)をあおって票を取る」のは本末転倒だという論理だ。

その上で、自身が総統に当選すれば、中台当局間での対話の再開や経済貿易交流、農林水産品の中国向け販売などを目指すと訴えた。

ただ、中台関係の前提となるのは、「一つの中国」を認めた上で「中国」が「中華人民共和国」を指すのか台湾当局が主張する「中華民国」を指すのかは、双方が各自で解釈するとした「1992年コンセンサス(合意)」だとも述べた。

92年合意は、2000年に民進党が政権を取る直前、国民党政権で対中政策を担当していた人物が、「92年に『一つの中国』について中台で合意していた」と言い出したもの。

この場合、「一つの中国」は「中国と台湾は不可分」であり「台湾独立に反対する」という含意がある。

独立志向の強い民進党の陳水扁政権を牽制する意味合いがあった。民進党は現在も「一つの中国」も92年合意も認めていない。

一方、2000年に野党に転落した国民党は05年、中国共産党との党首会談で「92年合意に基づき両岸の対話を回復させる」ことで合意。

これは、08年に国民党の馬英九氏が政権を奪還した後、中国から多くの対台湾優遇措置を引き出す基礎となった。

 ただ、中国側は「各自で解釈する」の部分を認めたことはなく、近年は「一つの中国」部分を強調して解釈の幅を狭めている。

中国の習近平国家主席が台湾統一姿勢を強める中、韓氏がいくら92年合意を唱えても、かつてのように中国からの優遇措置などを引き出せる「二匹目のドジョウ」がいるかは疑わしいのが現状だ。

満を持して打ち出した対中政策は、新味に欠けるだけでなく実現性にも疑問符が付く。

■国際情勢は蔡氏に有利

 大手テレビ局TVBSの世論調査によると、7月中旬時点での支持率は韓氏の48%に対し蔡氏が44%だったが、8月中旬以降は逆転し、9月末には蔡氏50%に対して韓氏38%まで差が開いている。

 香港情勢の悪化が、対中強硬姿勢を強める蔡氏の支持を押し上げているとの見方が一般的だ。

米中対立の様相が強まる中、トランプ米政権が台湾への関与を強めていることも現職の蔡氏に有利に働いている。

 これに対し、韓氏はこれまで内政や経済への不満をあおり、国民党の支持者が持つ「中華民国への愛国心」に訴える手法で、コアな党支持層を固めてきたものの、中間層への広がりを欠いている。

また、党内では、予備選で争った朱立倫元主席と距離があり、大票田の北部・新北市で朱氏の後継指名を受けて当選した新市長は韓氏の選挙応援に消極的だ。

国民党から分裂してできた親民党も、総統選への候補者擁立を検討しており、広い意味での自陣営分裂の不安も抱える。

■日本側ともギクシャク

 投票日まで100日を切っているにも関わらず、選挙戦の主軸となる主張も定まっていない。政策は、馬前政権の閣僚経験者や研究者で8月中旬に立ち上げた「国政顧問団」に丸投げしているのが実態で、準備不足感は否定できない。

 党内では非主流派の韓氏の元に集まったスタッフの中には新顔も多く、経験不足も目につく。

韓氏は7月下旬、日本の対台湾窓口機関、日本台湾交流協会の大橋光夫会長と面会した後、「要請に応じて秋に訪日する」と発表した。

日本側が野党の総統候補に訪日を要請することは考えにくい。

「言葉のやりとりの誤解」(関係者)との好意的な解釈もあったが、日本側との“摩擦”は続き、8月下旬には自民党青年局一行との面会に25分間遅刻。

9月上旬には、日本人研究者一行と面会した際に今度は逆に「(一行が)遅刻したが、自分は気にしていない」と報道陣に語った。

だが、実態は面会場所の変更が韓氏側の連絡ミスで伝わっていなかったためで、研究者らは不快感を表明し大きく報じられた。

 韓氏の支持率低迷の原因は、「市長投げ出し」批判を恐れて「平日は市長職、選挙運動は週末だけ」と活動を制限してきたことも影響しているようだ。

韓氏は今月15日、市長職の「休職」を申請し、選挙運動に本格的に乗り出すことを決めた。

陣営側は「11月中旬に支持率を逆転させる」と追い上げを企図しているが、先行きは見通せない。(台北支局 田中靖人)


韓国、「ウォン防衛」3回目の通貨危機回避へ、上半期に38億ドル「売越し」

2019-10-23 15:41:17 | 日記

勝又壽良のワールドビュー

 

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

 

韓国、「ウォン防衛」3回目の通貨危機回避へ、上半期に38億ドル「売越し」

 2019年10月02日

 
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韓国通貨当局は、ウォン防衛で多忙である。

文政権の経済政策が、ウォン売りを誘導するような「逆さま政策」を行っているからだ。

この政策的な暴走からウォン相場をどう守るのか、通貨当局にとっては、頭痛の種であろう。

1ドル=1200ウォン割れは、通貨危機への第一歩と警戒されている。この危険ラインから、ウォンをどう守るのかが当局の課題だ。

『中央日報』(10月1日付)は、「1200ウォン崩壊防げ、韓国外為当局は上半期に38億ドル放出」と題する記事を掲載した。

 外為当局が上半期に外国為替市場で38億ドルを売り越したことがわかった。

 

 

5月に対ドルでウォンの価値が急落すると外為当局が保有するドルを売って防衛に出たのだ。

  米韓貿易協定では、外為市場へ介入した場合にその金額を公表することになった。韓国は、これまで秘かに為替相場に介入することで有名である。それだけに、米国が釘を刺したものだ。下線を引いた部分では、ドルの売買純額で38億ドルの売越し(ウォン買い越し)となっている。

 (2)

今年に入り1ドル=1100ウォン台初めにとどまっていたウォン相場は、4月中旬以降急落。5月17日には終値基準1195.7ウォンと1200ウォン水準に近づいた。

1カ月でウォンの価値が5%以上急落する状況だった。

外為当局が保有するドルを売って市場に介入したのもこの時期と推定される。

市場専門家らは実際の売り渡し金額は韓国銀行が公開した数値よりはるかに大きかったとみている。

ある民間専門家は「5月に外為当局は1ドル=1200ウォン水準を超えることに大きな負担を感じ積極的に介入した。

ただ売り越し額があまり大きいと困るのでこれを希釈するための取引をしただろう」と推測した。

外為当局が4~5月にドルを大量に売った後、再び6月末になる前にドルを買い入れ純取引額(買い越し額-売り越し額)を適正水準に減らした可能性がある」

 韓国は、米通貨当局から「要注意国」とされているので、尻尾を捕まれないように注意している。米国は、対韓貿易でさらなる赤字拡大がないように目を光らせているからだ。

 (3)

「米財務省が定めた為替操作国指定要件の中には、国内総生産(GDP)の2%を超過する外為を6カ月以上買い越すことが含まれている。

 韓国のGDPからみれば、2%相当額の306億ドルを、6ヶ月以上買い越すことが問題になる。今年上半期では38億ドルの買い越しであり、上限306億ドルには全く問題とならない金額である。 
 
  (4)

「外為当局の市場介入は7~8月も上半期に劣らず続いたというのが外為専門家らの意見だ。

別の外為担当アナリストは「洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相ら当局者が急激な為替相場変動時に介入するとの意志を示しており、実際に7~8月にも当局の介入の動きが多く見られた」と話した」

 日韓関係の悪化から、ウォン相場は1ドル=1200ウォン割れを起こしている。

上半期以上の規模でドル売りが行われたことは間違いない。

韓国銀行は、半期に1度発表する市場安定措置内訳を、今年7~9月期からは四半期に1度発表する。

韓国銀行関係者は「7-9月期の内訳は12月末、10-12月期は来年3月末に四半期別に公開するだろう」としている。7~9月のウォン相場急落で、どの程度の介入があったか注目される。