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コロナが変えた世界経済の構造 日本株再評価の兆し 蘇る祖国

2020-06-19 18:03:55 | 日記
コロナが変えた世界経済の構造 日本株再評価の兆し

エミン・ユルマズの未来観測

日経マネー連載 株式投資 日経マネー 学ぶ

2020/6/14 2:00

■新興国を追い込む新型コロナ

新興国で新型コロナウイルスの被害が広がっています。

国別の累計感染者数では、6月上旬でブラジルとロシアがそれぞれ世界全体の2位、3位に浮上しました。

私の母国であるトルコも、感染者数は17万人を突破しています。

日本や欧米では新規感染の収束、あるいはピークアウトが見えてきましたが、世界全体で見ればコロナ禍への懸念は薄れたとは依然として言えません。

中でも新興国は非常に厳しい立場に追い込まれています。

医療制度が先進国ほど整っていないだけに、治療薬開発などの対応は遅れがちです。

医療崩壊への懸念はより強いと言えるでしょう。

そして、コロナ禍による直接的被害だけでなく経済に与える影響も先進国より甚大なものになるのではと危惧しています。背景にあるのは、新興国がもともと抱えていた経済の脆弱さです。

先進国はコロナ禍に伴う経済の減速に備え、大規模な経済対策を打ち出しています。

例えば米国は3兆ドル弱、日本も117兆円と巨額の財政出動で経済を下支えする構えです。

しかし、もともと財政が脆弱な新興国ではそのような経済対策はできません。



コロナ禍に伴う景気悪化に対し、新興国が打てる手は限られているのです。

■強まるデフォルトの懸念

景気と財政の悪化リスクが高いことから、新興国では通貨安が進行しています。

特に厳しいのがトルコリラで、2018年の通貨危機の水準を一時下回りました。

トルコは経常赤字が常態化している上、外貨を稼ぐ主要手段である観光業もコロナ禍で回復が見込めない状況にあります。

同国が抱える約18兆円の債務返済のメドも立っていません。新興国の中でも破綻懸念が最も強い国の一つと言わざるを得ない状況で

エコノミストのエミン・ユルマズ氏

デフォルト(債務不履行)リスクが強い新興国は他にもあります。

アルゼンチンやレバノンが既にデフォルトしましたが、メキシコやブラジルにもその懸念があります。

18年以降は経済が低迷していた新興国が多かっただけに、回復しきれないうちにコロナ禍の打撃を受けてしまった印象があります。

では、新興国のデフォルトが起きた場合市場はどうなるのでしょうか。まず、当然一時的なショック安は起きるでしょう。

経済活動再開に対する期待と、各国の経済対策がもたらす過剰流動性によって、現在の株式市場には楽観ムードがにわかに広がっています。

こうした楽観が再び悲観に振れることは想像に難くありません。

新興国の破綻に対し、先進国が積極的に助け舟を出すのも考えにくいとみています。

コロナ禍では、各国も自国のことで手いっぱいです。

例えばドイツは当初、南欧諸国などを支援する目的でのユーロ債発行に対し強硬に反発していました。欧州内部の支援すら及び腰になっている状況なのです。

■新興国時代の終わりと低成長時代の到来

コロナ禍は世界経済の構造を大きく変えそうですが、その一つに過去30年で世界をけん引してきた新興国の時代の終焉(しゅうえん)があるとみています。



最大の新興国であった中国は、米中対立の深刻化の中これまでのような経済成長は望めなくなるでしょう。

その上で前述したような新興国の弱体化が生じるのだとすれば、世界は低成長の時代へ突入することになります。

低成長の時代というと悲観的な印象を持たれる方が多いでしょうが、日本にとってはそうではありません。

世界的に成長性が薄れるなら、投資家の注目はバリュー(割安さ)に向きます。

仮にそうなれば、主要市場では依然割安な日本株に対する注目が集まるでしょう。

そもそも、このコロナ禍の中で日本の被害は驚くほど軽微です。

海外メディアでもようやくこの点を素直に評価する論調が出始めました。

それに伴い、日本がもともと持っていた「安心・安全」というイメージはさらに強まるでしょう。

それは投資家が日本株をさらに評価することにもつながります。

■中国から引き揚げたマネーは日本へ

既に日本株再評価の兆候は出ています。

コロナ禍による期待と懸念が交錯し、米株が乱高下する中でも日本株はじりじりと上昇しています。

今はまだヘッジファンドなどの短期筋が主導する相場ですが、コロナ禍が落ち着いて長期投資家が戻ってくるようなことになれば、日本株の底堅さはさらに強まることになるでしょう。

今後を考える上で、日本株にはもう一つの追い風もあります。意外に思われるかもしれませんが、それは米中対立です。

トランプ米大統領は、中国への反発を強めるとともに中国株への投資自体も批判しつつあります。

これを受けて、米国の連邦職員向けの年金基金は中国株への投資開始計画を取り下げました。

米株式市場からの中国株排除の動きが進めば、米MSCIといった指数算出会社も各種指数(インデックス)から中国株を外さざるを得なくなるでしょう。

そうなれば、機関投資家は一斉に中国株から資金を引き揚げることになります。

その資金が向かう先は、恐らくは同じアジアの日本でしょう。

前述したように、日本株は長年割安なまま放置されてきました。

その上、コロナ禍の被害も軽微であり、経済活動再開に伴うリスクも軽微です。

米中対立に伴う需給の改善が、一段と日本株を押し上げることになるかもしれません。

振り返れば、1990年代のバブル崩壊以降、日本株から中国など新興国に投資マネーが移りました。

それから30年の時を経て日本にマネーが戻るのなら、やはり時代は繰り返すということなのかもしれません。


エミン・ユルマズ

トルコ出身。16歳で国際生物学オリンピックで優勝した後、奨学金で日本に留学。

留学後わずか1年で、日本語で東京大学を受験し合格。

卒業後は野村証券でM&A関連業務などに従事。2016年から複眼経済塾の取締役。ポーカープレーヤーとしての顔も持つ。

デジタル全体主義へ進む文在寅政権

2020-06-19 17:45:55 | 日記
2020年05月13日 00:00

統一日報

デジタル全体主義へ進む文在寅政権

選挙操作は文明秩序へのタブー

多くの人々が、自由民主体制を守ることに無関心だ。中には、政治に興味を持つなと強いる者までいる。

デジタルファシズムに対して無抵抗だ。

中共党との連帯を追求する文在寅集団が中国共産党のデジタル全体主義を真似ている。

そもそも文集団は、合法大統領を違憲弾劾し、世論操作で権力を奪い、文在寅の友人を蔚山市長にするため不正不法選挙を強行した。

文政権は自らの腐敗と不正と違法を覆うため、捜査を妨害し検察総長を粛清しようとする。韓国社会を維持しようとする勢力が決起した。(関連記事3面)

国会で不正選挙の証拠を提示した閔庚旭議員
 
与党が圧勝した先月の韓国の総選挙に対して、少なからぬ有権者が不正選挙だと主張している。

彼らが収集した不正選挙の証拠は多様だ。


まず、選挙管理委員会自体が選挙法の規定を守らなかったからだ。

韓国では2002年に電子開票機が選挙に導入されて以来、多くの有権者が異議を唱えてきた。

しかし選管委は、この動きを権力で徹底に抑圧し、司法と結託して彼らが提起した裁判を却下、または延期してきた。

選管委と裁判所にこのような無法行為ができたのは、言論が報道しないためだ。


だが、今回の総選挙を契機に、YouTubeなど右派のニューメディアが長く続いてきた選管委と司法の不法と専横を暴露した。これで国民の当局への怒りが爆発した。

特に閔庚旭議員が11日、国会で暴露した総選挙の不正と操作の事例は、選挙管理が杜撰だったことを証明した。

開票計数機には送受信装置がついており、法が許可していないQRコードには、52個の数字が内蔵されていることなどを明らかにした。

選挙管理に使うノートパソコンはHuawei社などの特定のIPアドレスに送信されたと主張し、検察の捜査を要請した。

問題は、危険性が警告されていた事前投票で違法行為が発生したことだ。

今回の選挙は文政権の大々的な誘導促進で、投票者の40%以上が事前投票に参加した。

事前投票の結果は、統計学的に到底ありえない結果を示した。

投票者の40%以上、つまり1000万人以上が投票した結果のパターンが当日投票した60%の有権者のそれとあまりにも違った。

国内外の統計専門家が科学的に検証した結果だ。

接戦区で与党が勝利したのはすべて、事前投票のおかげだった。

文政権は工作政治が専門の極左職業革命家集団だ。

文在寅は違憲の政治査察機構も平然と進めている。疑惑を覆う選挙管理委員会と癒着したのが司法だ。

これは、全国の各選挙管理委員会の委員長を、地域の判事が兼ねているからだ。

文政権は昨年夏から今回の総選挙のため、中国共産党と協力してきた。

習近平の中共も、激化する米中戦争で韓半島を反中政権に渡すわけにはいかない。

問題は、未来統合党など野党が選挙の敗北から立ち直らず、不正操作疑惑のある選挙区に証拠保全の申請もしていないことだ。

野党は選挙で負け、国民の権利を確保する努力もしていない。

しかし、韓国社会ではデジタル全体主義に抵抗する有権者が40%を超える。

この中には覚醒し行動する集団が存在する。

精神文化運動を推進する活動家たちと大学教授と信仰人などが、国民主権自由市民連帯を結成した。韓国の希望だ。

韓国、再びWTOへの提訴手続き開始

2020-06-19 17:05:56 | 日記
韓国、再びWTOへの提訴手続き開始

韓国政府は6月2日、日本による半導体材料など3品目の輸出管理の厳格化措置は不当だとして世界貿易機関(WTO)に提訴する手続きを再開すると発表しました。

日本が提起したすべての問題について韓国は是正措置を取ったとして、日本側に5月末までに対応策を要求していたにもかかわらず、日本から対案が示されなかったと主張しています。

世界情勢が混迷の度を深め、希望と苦悩が錯綜している今日こそ、国際政治において、各国には、深い考察と行動が求められます。

自国を正当化していく韓国の行く末は、どうなるのでしょうか。

今回のWTO再提訴の事の発端は、2019年7月に時点に戻ります。

日本政府が、韓国向けの半導体など材料3品目の輸入管理を厳格化する措置を発動しました。

当時、日本政府は「韓国の輸出管理に不十分な点があり、不適切な事案が起きた」とし輸出の厳格化措置を行っています。

これに対して、韓国政府は日本の輸入管理を、元徴用工訴訟判決の対応への報復だと述べています。

違法輸出、韓国から北朝鮮やイランへ

日本政府は「報復ではない」とする見方を示しました。

さらに、世耕弘成経済産業相(当時)は「不適切な事案」については、「韓国から第三国への具体的な輸出案件を念頭に置いたものではない」と、一歩引いた発言をしました。

具体的な「不適切な事案」とは何かは、2019年5月の朝鮮日報の報道が参考になります。韓国の輸出管理体制に疑問符がつく実態がうかがえる情報です。

朝鮮日報によると、韓国から兵器に転用できる戦略物資が密輸出された案件が、2015年から2019年3月にかけて約4年間で156件にのぼることが明らかになっています。

ミサイルの弾頭加工やウラン濃縮装置などに転用できる韓国産の戦略物資が、大量に違法輸出されているのです。

大量破壊兵器(WMD)製造にも使える韓国の戦略物資が、第三国を経由して北朝鮮やイランなどに持ち込まれた可能性もあります。

北朝鮮の金正男(キム・ジョンナム)氏暗殺の際に使用された神経剤「VX」の原料がマレーシアなどに密輸出されたほか、日本の輸出優遇撤廃措置に含まれるフッ化水素もUAE(アラブ首長国連邦)などに密輸出されていたのです。

日本の輸入管理の厳格化とは

この様な背景があったことから、日本は輸入管理の厳格化を行っています。

スマートフォンのディスプレーに使われる「フッ化ポリイミド」、半導体基板に塗る感光材「レジスト」、半導体洗浄に使う「フッ化水素」が対象であり、いずれも軍事利用できます。

日本企業はこれまで韓国向けに最大3年の輸出許可を得ることができましたが、この輸入管理の厳格化によって、個別契約ごとに申請することが義務化されました。


これによって、輸出手続きが長期化し、政府から許可を得られない可能性も出てきます。半導体に強い韓国にとっては欠かせない材料であり、韓国経済には大打撃となります。

これに対して、韓国は元徴用工問題に絡む報復だとして昨年9月にWTOに提訴。

軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄もちらつかせて撤回を求めました。

ただ、GSOMIA破棄については、米国が強い圧力をかけ、韓国は昨年11月にGSOMIA失効を停止し、WTO提訴の手続きも中断し、輸出管理の問題は日韓当局間が政策対話で解決策を探ってきていました。

韓国政府が一方的に決めた、5月末の期限

この流れの中で、日本は実際の韓国の運用状況を見守る必要があるとして輸出管理の撤回には応じず、対話を進めてきました。

しかし、韓国政府が一方的に決めた2020年5月末の期限を迎え、WTOへの提訴手続き再開を主張しているのです。

この流れを見ても、韓国は、日本の輸出管理強化に取り乱し、右往左往を一人で続けています。

WTOの再提訴について、

茂木敏充外相は記者会見で、

「輸出管理当局間で対話が継続してきたにもかかわらず、韓国側が一方的に発表を行ったことは遺憾だ」と発言。

「輸出管理の見直しは、その運用実態に基づいて行われるべきだとの考えに変わりはない」と述べています。

これ程までに、韓国が右往左往しているのは、スマートフォン産業など半導体業界での打撃です。

半導体は、韓国の輸出総額の2割を占める主力産業で、経済への深刻なダメージが避けられないのです。

規制された材料は、半導体やテレビ用の有機ELパネルの生産に使われます。

半導体や有機ELパネルは、スマートフォンやテレビ、パソコンなどの最終製品の中に組み込まれます。そこまで含めると、韓国の輸出総額の4割近くに影響が及びます。


韓国は、なぜ日本に半導体材料を依存しているのか?

ここで、疑問が浮かび上がります。

韓国にとってそれだけ重要な半導体材料をなぜ、日本からの輸入に依存しているのでしょうか? ここをひも解くと、韓国経済の基盤の弱さが露呈します。

韓国貿易協会によると2018年の韓国で生産される半導体の輸出額は1267億ドルで、輸出総額の21%を占めています。

その半導体の製造に必要な材料を日本からの輸入に依存してるのです。

2019年のJETROの「貿易量で見る韓国半導体産業の日本依存度」のデータによると、

韓国貿易協会が2019年7月2日に「日本半導体素材輸出規制関連統計」を発表しており、

輸出審査が必要となる3品目(レジスト、フッ化水素、フッ化ポリイミド)について、2019年1~5月のレジスト、フッ化水素、フッ化ポリイミドの対日輸入依存度は、それぞれ91.9%、43.9%、93.7%だったことを公表しています。

特に、レジストは、JSRや東京応化工業、住友化学など日本勢の独占状態です。

一方、日本のレジスト、フッ化水素、フッ化ポリイミドの対韓輸出依存度を見ると、19年1~4月基準でそれぞれ11.6%、85.9%、22.5%でした。

日本は韓国への輸出依存度はそれほど高くないのです。

フッ化水素は韓国への輸出依存度が85.9%と高いものの、レジストはアメリカ向けが21.8%、フッ化ポリイミドは中国向けが36.3%と、アメリカ・中国への輸出の割合が高いのです。

基礎研究は日本に頼っている、韓国の地獄構造

韓国経済は、1965年の日韓基本条約をバネに成長した背景があります。

日本の賠償や借款など数億ドルに及ぶ「資金」により経済発展の基礎を固めつつ、さらに、日本からの「技術援助」で国際競争力を付けてきました。

その結果、韓国は輸出特化の経済戦略を築いてきたのです。

その半導体の製造に欠かせない材料を、日本企業に依存しているのは、韓国の製造業は、汎用製品に特化してきましたことが背景にあります。

韓国は、日本などで開発された技術を導入し、コストダウンした製品を量産化し、海外に輸出することで成長してきました。

つまり、韓国の研究開発は、基礎的な研究分野ではないのです。ここに、韓国経済のモロさがあります。

製品化に必要な応用分野の研究開発が中心で、半導体も同様、製造に必要な材料や製造装置を日本から輸入し、組み立て輸出する構造なのです。

当然、半導体製造装置や材料の国産化は韓国の悲願であり、

韓国の産業通商資源省は2022年の国産比率を装置で30%、材料で70%とする目標を示していますが、今回の右往左往ぶりを見ると、現状は難しいでしょう。


それに加えて、近年、“反日”に時間を費やしたことにより、韓国は日本からの新産業の情報を得ることができない状況が続いているのです。

韓国自身が日本を基盤にして近代化してきたという認識の欠如から、韓国経済の弱体化が進み、窮地に陥っているのです。

別記事

「地獄が始まった韓国経済」通貨大暴落! 頼み綱の日韓スワップも締結至らず
そんな隣人、あなたならどうする?

プレジデント Digital

馬渕 磨理子

馬渕 磨理子テクニカルアナリスト


いま、新型コロナウイルスの拡大により、世界経済が揺れている。

コロナ禍において、もっともその打撃を受けている国の一つが韓国だ。

最大輸出相手国である中国が景気鈍化している中で、貿易依存度の高い同国では、外国人の投資が流出しウォンが大幅下落

3月19日、韓国銀行はこの救済措置のために、米国FRBと約6兆6600億円(600億ドル)規模の通貨スワップ協定を締結した。

これは韓国で通貨危機が起きた際、自国通貨の預け入れと引き換えに、米国の通貨を融通してもらえる協定のこと。

「しかし、それでも韓国経済の低迷は止まらないでしょう」そう解説するのは人気アナリストの馬渕磨理子氏。

氏によると、低迷が予想される韓国経済の根本問題は、コロナ不況ではないという。

一体、韓国にいま、何が起こっているのか。

日本にはどんな影響が出てくるのか。

先日総選挙が行われ、政権与党が圧勝を収めた文在寅(ムン・ジェイン)政権に立ち込める暗雲を解説する。

高まる反日感情。しかし、日韓通貨スワップ協定を匂わせる謎

4月現在、韓国経済が新型コロナウイルスの感染者数の拡大により“泣きっ面に蜂”状態であることは前回述べました。

韓国は引き続きドルが不足していることに変わりありません。

最近、韓国政府は日本に通貨スワップを暗に求めてきましたが、締結には至っていません。

しかし、依然国内では反日感情を持つ国民が一定数いるにもかかわらず、同国が日韓通貨スワップの要望を言い続けているのはなぜでしょうか。

その背景には、文在寅政権に政治的な思惑があります。

4月15日に行われた韓国の国会議員選挙(総選挙)は、与党が圧勝という結果となりました。

先に文政権が勝利した理由を先に述べます。

勝利の理由は、選挙を実施したタイミングがコロナ禍の“今”だったからです。

総選挙前の文政権の言動を振り返ると、ドル不足に苦しむ国内の金融界や企業の要望に対し、文政権は“理解を示す姿勢”を取り続けていました。

その根拠として彼は日韓通貨スワップ協定を匂わせていました。

ただ、今回の選挙は、経済や安全保障の問題よりも新型コロナウイルスの対策が争点となっていたのです。

スワップ協定締結を持ち掛ける姿勢に変化はない

文政権は、感染拡大の抑制にある程度成功しており、韓国国内でも一定の評価を受けていました。

つまり、その時点で、革新系与党である「共に民主党(ともにみんしゅとう)」の勝利は堅く、日本に頭を下げてまで、文政権は通貨スワップ協定の締結にこぎ着ける緊急性はないと判断したのでしょう。

また、ウォンの大幅下落に対しても、米国FRBとのスワップ協定にはこぎ着けており、いったんは日韓通貨スワップの議論は終息の模様を見せています。

ただし、韓国でのドル不足状態は変わりなく、大量の外貨をドルで供給してくれそうな日本に対して、通貨スワップ協定の締結を持ち掛ける姿勢に変わりはなさそうです。


この日韓通貨スワップ協定についてですが、韓国政府は複雑な立場にあります。

前述のように、財界・経済会などには日韓通貨スワップ協定は“ウケる”一方で、反日感情の強い支持層には、通貨スワップの必要性には“反発”がある。

つまり反日感情を持つ韓国民にとっては「日本に助けられる」ことを意味するため、スワップを支持したくないのです。

よって、今回の選挙勝利は、皮肉にも新型コロナウイルスの被害により生まれたと言えるのです。

一方で、落ち込んでいる韓国経済に対する処方箋として、最も合理的な日韓通貨スワップ協定についてはあまり議論されませんでした。

南北統一を掲げて反日感情は煽れるのか

そんな中で、文政権が選挙の公約で大きく掲げていたのが対北和解(南北統一論)です。これはなぜか。

その背景には、深刻な韓国の人口問題があります。

現在の韓国は、日本以上の少子高齢化が深刻化する可能性があるのです。

韓国統計庁のデータによれば、早ければ2019年の5165万人をピークに韓国の総人口は減少に転じる見通しです。

南北統一は、北朝鮮にとっては所得水準が高まり、韓国にとっては新しい市場の開拓の可能性があることを意味します。

閉塞感が強まる中で、韓国経済が勢いを取り戻すための秘策なのです。

反日感情を高める“支持者”を満足させるという意味では、南北統一論は日韓通貨スワップ協定に代わるいい経済対策だったのです。

ただ、前述したとおり、文政権は日韓スワップ協定を結びたいのが本音と考えられ、財界の望みでもあります。

文政権は日韓スワップ協定締結を検討する姿勢を見せて財界の支持を保ちつつ、反日感情を高める市民から一定の支持を集めるべく、南北統一論を持ち出したのです。

韓国経済、5G関連でとばっちり受けないか戦々恐々

さて、ウォンの大暴落以外にも韓国経済には大きな課題があります。それは「5Gの覇権争い」です。

5Gの覇権争いは、米中貿易摩擦の原因の一つになっています。

米トランプ政権は中国政府の影響下にあるファーウェイ社に対し、

「自社の通信機器を悪用してスパイ行為を行っている」と主張し、制裁を課しました。

この制裁に関して実は、韓国も「明日は我が身」と感じ、警戒をしています。

ドイツのデータ分析会社「IPリティックス」のデータによると、

5G標準必須特許出願企業のシェアは、ファーウェイ(15.5%)、ノキア(13.8%)、サムスン(12.7%)、LG電子(12.3%)、ZTE(11.7%)となっています(19年3月時点)。

韓国勢であるサムスン、LG電子は全体の25%のシェアを占めていることがわかります。5Gの覇権を制するためには、この5Gの特許シェアをいかに握るかが重要です。

しかし、中国のように米国からの“中華製品排除”の動きが韓国でも起きれば、これは大きな打撃となります。

韓国は米国の同盟国とはいえ、いつ何を言い出すかわからないトランプ政権下では全く油断できません。

そういった経緯から、現在韓国は、中国への経済依存度がかなり高くなっています。

お得意さまの中国がまさかの宣言で韓国はお先真っ暗

そこで中国とは良好な関係を維持したいところですが、

中国は25年までに世界の製造強国の仲間入りを目標にしており、1

8年は15.5%にすぎない半導体自給率を25年までに70%に引き上げるという計画を示しています。

5Gの普及で必要となってくるのが半導体であり、この国内生産体制を整えることがカギとなっています。

2019年の半導体市場におけるメーカーの所属国別シェアは、トップが米国の55%、2位が韓国の21%、3位が欧州の7%、4位が台湾と日本の6%、6位が中国の5%という順になっていますが、韓国の今の地位が危うくなっているのです。

つまり、国民感情を二分する日韓通貨スワップ協定締結の難航、国内の反日感情、中国への貿易依存リスクという三重苦を抱えた状態で、文政権は5年任期の後半を迎えることになったのです。

単なるコロナショック以上に、現在の韓国には根深い経済問題があります。

日本と外交上では何かとトラブルが多い韓国。それでも、一番近い、お隣の国でもあります。あなただったらそんな韓国のスワップ要求、応じますか?