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崔順実氏側「朴槿恵前大統領は賄賂を受け取ってない、このままでは文大統領も同じわなに」

2020-06-11 18:09:03 | 日記
崔順実氏側「朴槿恵前大統領は賄賂を受け取ってない、このままでは文大統領も同じわなに」

朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領の「影の実力者」だった崔(チェ)ソウォン氏(改名前の崔順実=チェ・スンシル=氏)サイドは9日、朴前大統領の潔白を主張し、

朴英洙(パク・ヨンス)氏率いる特別検事チームを「法律突撃隊」、金命洙(キム・ミョンス)院長率いる大法院の判断を「期限付き司法判断」とそれぞれ非難した。


 
崔氏は同日午後、ソウル市瑞草区の「法務法人東北亜」で記者懇談会を開き、「朴英洙特別検事は朴槿恵前大統領を弾劾するための『法律突撃隊』だ」と述べ、「それを受けた金命洙大法院の判決も期限付きの性格の司法判断で永続性を持ち得ない」と批判した。

「時期的に非常に短く、ろうそく政局でつくり出した時期に適用できる期間限定的な性格の判断で、根本的なぜい弱性がある」との主張だ。

その上で、「刑事的な司法手続きは間もなく終わるが、そこから歴史の法廷が開かれ、真実が明らかになる」とも語った。

 李弁護士は「朴前大統領が(直接)賄賂を受け取っていないことは検事、判事、大法院、記者も全て認めている。

(朴前大統領と崔氏が)黙示的に共謀したという法理が用いられているが、黙示的にどうやって共謀できるのか、政敵を打倒するための法理として悪用されたものだ」と述べた。

 その上で、「そうした法理が維持されるならば、文在寅(ムン・ジェイン)大統領も退任後に法理のわなから逃れられないだろう。

蔚山市長選挙の際にも秘書官に頻繁に会っていたではないか」と矛先を現政権に向けた。

 李弁護士は記者懇談会で崔氏の著書「私は誰なのか」の出版経緯も説明した。

崔氏は著書で「自分は朴槿恵前大統領との関係で『透明人間』としての役割を与えられた。

ところがある日、突然裏の実力者による国政介入だと言われたものだから、自分にとっては到底理解ができず、結び付かない話だ」と書いている。

 李弁護士は拘置所での接見時間にはあまり話せないため、崔氏に捜査と裁判で経験したことを率直に書くように勧めたという。

そして、「この本は単純に過去を振り返る回顧録を超え、過去から悟ったことがあるという気持ちを込め、悔悟記という名前を付けた」と説明した。

 崔氏は朴槿恵前大統領と共に国政介入事件の主犯として逮捕、起訴された。

今年2月の差し戻し審で懲役18年、罰金200億ウォン(約18億円)、追徴金63億ウォンを言い渡され、今月11日に大法院での上告審判決を控えている。


ヤン・ウンギョン記者

チョソン・ドットコム/朝鮮日報日本語版

「文在寅(ムン・ジェイン)政権が北朝鮮国民の人権のために立ち上がろうとしないのは恥ずべきことだ」と批判した

2020-06-11 18:00:19 | 日記
ロイター

2020年06月11日 17:51

韓国脱北者団体、北朝鮮向けビラ散布や人道支援続けると表明


[ソウル 11日 ロイター]

- 韓国当局から刑事告発すると警告を受けている2つの脱北者団体は、今後も北朝鮮の体制を批判するビラの散布や同国への人道的援助などの活動を続けていく考えを明らかにした。

北朝鮮との関係改善を図りたい韓国は10日、「自由北韓運動連合」など2つの脱北者団体がビラのほか、コメや薬をバルーンで北朝鮮に送ったことについて、南北交流協力法に違反すると指摘。

韓国統一省のスポークスマンは、2団体が「両国間の緊張を高め、軍事境界線一帯の周辺住民の命や安全を脅かした」と述べた。

統一省は11日、ソウル警察に両団体への捜査を命じたことを明らかにした。

一方、団体の幹部パク・ジュンオ氏はコメや薬、マスクなどを詰めた瓶(びん)数百本を北朝鮮に向けて来週、国境付近の海に流すと述べた。同氏の兄弟が運営する別の団体もさらにビラをまく考えを示している。

韓国の調査会社リアルメーターが11日発表した調査結果によると、脱北者団体の活動を制限することに賛成するとの回答は50%、反対は41%だった。


国際人権組織ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア部門幹部フィル・ロバートソン氏は声明で、散布されているビラは比較的害のないもので禁止すべきでないと指摘。

「文在寅(ムン・ジェイン)政権が北朝鮮国民の人権のために立ち上がろうとしないのは恥ずべきことだ」と批判した。

文政権ピンチ!舐め腐った態度にキレたトランプが、「韓国切り」を始めた

2020-06-11 16:16:38 | 日記
文政権ピンチ!舐め腐った態度にキレたトランプが、「韓国切り」を始めた

立ち位置揺らぐ韓国

米国と中国の政治的な衝突がエスカレートし続けている。

コロナウイルスの起源を巡る問題を象徴とし、南シナ海での中国軍の活動、香港・ウイグル問題における人権侵害、台湾への軍事的圧力、ファーウェイなどの中国企業に対する警戒など、米国の中国に対する不信は強まる一方だ。

中国も米国からの圧力に対して強気な姿勢を崩そうとせず、世界の二大強国の鍔迫り合いは激しさを増す一方である。

当然であるが、米中の衝突の矢面に立つのは、東アジアの国々である。

日本、北朝鮮、韓国らは難局を乗り切るために非常にセンシティブな政治的状況に置かれている。

そして、これらの中で最も政治的な立ち位置が揺らいでいる国は韓国であろう。

韓国の蝙蝠的な態度には、北朝鮮・中国に対して最も最前線に立つ米国の同盟国でありながら、経済的に中国に大きく依存し、北朝鮮との民族的つながりを持つ特殊事情が背景にある。

そして、現在の文正寅政権は、米国と中国からお前はどちらの味方なのか、と常に圧力をかけられるとともに、足をひっぱる兄弟である北朝鮮からも強い影響を受けている。

米国が仕込んだ「踏み絵」、韓国は踏まなかった

韓国の置かれている難しい立場を象徴する出来事が5月29日にあった。

同日、韓国国防部は星州に置かれている迎撃ミサイル施設であるTHAADについて期限切れしたミサイルの入れ替えを断行し、同措置に関するメディア向けの記者会見を行った。

この記者会見ではTHAADの性能改良とは関係ないことについても強調されていた。

THAADは米中による韓国への踏み絵のような存在だ。

米国にとってはTHAADの配備は東アジア地域における米韓同盟の象徴であるし、中国はTHAADについて自国の脅威となるために反対してきている。

したがって、5月28日に香港に対する国家安全法をめぐって、米中両国の緊張が高まる中で、その翌日に政治的に難しいオペレーションに踏み切ったことは米国への秋波とみなすべきことだ。

ただし、韓国は同時に性能改良とは無関係であることを明言し、中国に事前通達を行ったことで中国側の面子も立てている。

米中双方のご機嫌取りに奔走する韓国

6月には米韓のテレビ国防会議が予定されていることもあり、それまでに最低限の行動を終えるという米側からの圧力が大きかったのではないかと推測される。

文正寅政権の中国に対する配慮は板挟み状態を良く示している一幕であったと言えるだろう。(中国は現在やみくもに自国の敵を増やすわけにもいかないので過剰な反応はしなかった。)

韓国の現状はおっかなびっくり米中双方のご機嫌取りに奔走する黒ひげ危機一髪のような状況だと言えるだろう。

米関係の不信は基地負担問題でも噴出している。

米国側はトランプ大統領のお得意の取引手法として、従来までの5倍、約50億ドルの基地負担額を韓国側に吹っ掛けてきていたと言われている。

まずはハードルを上げて交渉するのがトランプ流の交渉術であり、日本に対してもトランプ政権は法外な基地負担額を求めてきたことが思い出される。

なぜトランプは韓国に強気なのか

韓国側は在韓米軍の駐留経費として、前年比13%増の提案を行ったが、トランプ大統領はこれを拒否し、2020年以降の負担額の議論は宙に浮いた状態となっている。

現在、米国側は前年比49%増の13億ドルを求めているとされているが、この水準で妥結する可能性は極めて低いだろう。

トランプ政権が韓国に対して強気に出ている理由は幾つかある。

その中でも意外に知られないことは、トランプ大統領の大統領選挙時当初からの取り巻きには、在韓米軍の撤退論者がいることだ。

筆者がその人々と出会ったのは、ワシントンD.Cでの勉強会であった。

勉強会の主催者は、ジョージ・オニール氏、D.C政界でも知る人ぞ知るロックフェラーの四代目にあたる人物である。

筆者はD.Cでの情報収集活動を展開していく中で、偶然に同氏とのご縁を得ることになり、その勉強会に参加する機会を得ることになった。

米国へのロビーイング代金の上位国は

勉強会はワシントンD.C郊外の施設で昼食を取りながらプレゼンテーションを聞く形で行われるものだった。

参加者の詳細は書くことはできないが、議会関係者、メディア関係者などが多数存在していた。

筆者の見立てでは、トランプ大統領独自の外交路線の根幹を形成する、トランプ大統領自身の考え方に近い立場の人々がいたものだった。

その勉強会のテーマは「全世界の国々が年間米国に対して幾らのロビーイング代金を費やしているか」であった。

そのランキング上位には、ドイツ、日本、韓国の名前が並んでいた。(あくまで司法省公式データによるものであり、中国とサウジは別枠として扱われていた)

その際に、彼らが勉強会で指摘したポイントは、非常に興味深いものであった。

彼らの意見は「ドイツ、日本、韓国は駐留米軍が存在している国であり、これらの国々は米国を戦争に巻き込もうとしている」というものだった。

つまり、米国が世界の安全保障環境に関与することについて非常に懐疑的な立場を表明するものだったと言えるだろう。

韓国が米側に舐めた交渉を続けた場合どうなる

筆者の率直な感想としては、トランプ大統領が時折見せる一国主義的な態度は、彼らの影響が表面化する際のものとして考えることが必要だ、と感じるものだった。

もちろん、この勉強会での人々の意見でトランプ政権の外交・安全保障政策の全てが決まるわけではない。

そして、米中対立が表面化した現在において、米国が安易に東アジアの軍事バランスを損ねる決定を行うことは困難だろう。

特に現状のように新型コロナウイルス問題で混乱が続く状態では、大規模にシステマチックな変化を断行することは想像できないものだ。

しかし、韓国のように米側の要求をブラフとみなして舐めた交渉を続けた場合、トランプ大統領が在韓米軍の大幅な撤退を決断し、朝鮮半島の軍事バランスに大きな変化が生じるリスクがあることも事実だ。

早晩米国から見限られるということも

仮にトランプ大統領が再選されて、北朝鮮の金正恩との関係が現状以上に改善されることがあれば、それは在韓米軍の大幅撤退という未来につながる可能性がある。

トランプ大統領は「朝鮮戦争の終結と朝鮮半島の非核化」の実績(結局何も起きなかったが)を掲げて、共和党議員らに2019年のノーベル平和候補に自らを推薦させた人物である。

二期目の当選後のレガシーづくりには東アジア情勢は確実に絡んでくるため、トランプ大統領が北朝鮮カードを使ってくることは前提として頭に入れておくべきことだ。

もちろん、軍事的なタカ派やその関係者はその可能性を否定するだろうが、歴史が動く時とは常識を超える時だと知るべきだろう。

その際、米中どっちつかずの態度を示す文正寅政権は、早晩米国から見限られるということも十分にあり得る。


韓国という頼りない防波堤が米国によって見捨てられたとき、対中国の最前線は日本列島ということになるだろう。

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渡瀬 裕哉(わたせ・ゆうや)
早稲田大学招聘研究員
国内外のヘッジファンド・金融機関に対するトランプ政権分析のアドバイザー。
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(早稲田大学招聘研究員 渡瀬 裕哉)

文在寅の懲りぬ「米中二股外交」 先進国になった!と国民をおだてつつ…

2020-06-11 14:57:31 | 日記
文在寅の懲りぬ「米中二股外交」 先進国になった!と国民をおだてつつ…

6/8(月) 16:31配信

デイリー新潮

文在寅(ムン・ジェイン)政権が米中二股外交に突き進む。国民は「先進国になった」とおだてられ、その危うさに気づかない。韓国観察者の鈴置高史氏が怪しげな「綱渡り」を解説する。

勝ち目が薄い韓国
――韓国が「WTO(世界貿易機関)に日本を訴える」とまた、叫んでいます。

鈴置:産業通商資源部の羅承植(ナ・スンシク)貿易投資室長が6月2日の会見で、「日本政府に問題解決の意思がない」として「WTOへの手続きを再開する」と発表した話ですね。

韓国政府が問題にしているのは、日本政府が2019年7月、半導体・液晶に関連する3品目の対韓国輸出の管理を厳格にしたことです。

いずれも大量破壊兵器の製造に転用できる素材です。

 韓国企業がそれらの素材を日本から輸入した直後に第3国に再輸出するなど、不審な動きが起きています。そのうえ、日本政府が質そうと協議を要請した際、韓国政府は一切、応じなかったのです。

――韓国に勝ち目は? 

鈴置:WTOに提訴し、紛争解決のためのパネルの設置に成功しても、負ける可能性が高い。提訴はかなりの悪手です。

韓国は「我々は人員拡大など輸出管理体制の強化に努めた。それなのに日本が対韓輸出を規制し続けるのはおかしい」と主張します。が、不正な輸出が疑われるのは体制だけではなく、姿勢が原因です

大量破壊兵器の素材を危険な国に売らないという決意が韓国政府にあるかは未だ、確認されていません。

日本政府が「運用の実施状況を見極める」と説明しているのもそのためです。

そもそも輸出管理は日本政府の権限であって、外国政府が口出しできる問題ではありません。

韓国政府は日本の輸出規制は「元徴用工」問題の報復だ――つまり、政治を貿易に持ち込むのは不公正だと言っていますが、この論理がどこまで認められるかは不明です。

それにパネルを作ってもいつ、結論が出るか分かりません。平均で2年間かかっていますし、最終審にあたる上級委員会は米国による反対で定員を確保できず、機能不全に陥っているからです。

提訴したら日本の輸出管理の厳格化が続く」とのジレンマに韓国は陥る、と日本経済新聞は指摘。


そのうえで「日本に譲歩を迫る戦術」と見透かしています。「韓国がWTO提訴手続き再開 『日本、問題解決の意思なし』」(6月2日)です。

文・キホーテに苦虫の保守系紙
――日本は譲歩するのですか? 

鈴置:しないと思います。このまま放っておいても、日本に何の損害もないからです。

韓国はこの件で2019年9月にもWTOに提訴しました。日韓GSOMIA(軍事情報包括保護協定)を破棄する姿勢も示し、米国の対日圧力に期待しました。

 しかし韓国の思惑とは逆に、米国はGSOMIA破棄に激怒。結局、韓国はGSOMIA破棄もWTO提訴も取り下げました。この問題で韓国は失敗し続けてきたのです。

 

6月2日、韓国外交部スポークスマンは「議論の動向次第で(GSOMIA終了も)慎重に検討する」と日本に譲歩を迫りました。

でも、GSOMIA破棄に再び動けば、また自爆するだけです。米国にもう一度、叱られてシュンとなるのは目に見えています。

米韓関係もかなり悪化していますから、韓国は日米から挟撃されます。

 文在寅政権に批判的な保守系紙は、先の日経の記事を引用する形で、自国政府のドン・キホーテぶりを報じました。

朝鮮日報の見出しは「日本メディア、『韓国が実際にWTOに提訴するかは未知数』」(6月3日、韓国語)と素直です。

中央日報は「WTO・GSOMIAが怖くない日本 『韓国が実際に提訴までするかは疑問』」(同)と、文在寅政権の「蟷螂(とうろう)の斧」を強調する見出しを付けています。

「徴用工」もいずれは仲間割れ

――韓国は「徴用工」でも日本を揺さぶっています。

鈴置:2018年10月、韓国の最高裁判所は自称・元徴用工の4人に対し1人当たり1億ウォン(約910万円)の慰謝料を支払うよう、新日鉄住金(現・日本製鉄)に命じました。

新日鉄住金が応じなかったので、原告側は同社が韓国の鉄鋼最大手ポスコと合弁で設立したリサイクル企業「PNR」の株式約19万4000株を差し押さえました。

今年6月3日に、この株式を現金化する司法手続きに韓国の裁判所が踏み切ったことが明らかになりました。同日、茂木敏充外相は「現金化されたら深刻な事態になる」と懸念を表明しました。



菅義偉官房長官も翌6月4日の記者会見で「司法手続きは明確な国際法違反だ。あらゆる選択肢を視野に入れて、毅然と対応していきたい」と述べました。日本政府は報復も辞さない構えです。

韓国の通信社、NEWSISは「冷え切った韓日、気が気でない半導体業界…追加措置の可能性に『緊張』」(6月7日、韓国語)で、現金化すれば日本が半導体素材の輸出規制をさらに強化するだろうと、恐怖感を露わにしました。

――現金化は進みますか? 

鈴置:敢えて進めない可能性が高い。

訴訟を担当した弁護団の真の狙いは、日本の政府や企業にカネを出させ「徴用工財団」を作って原告以外の自称・元徴用工にも賠償金を配ることにあると見られています。

「現金化」は財団作りのための脅しの手段に過ぎません。

今、本当に現金化してしまったら、日本をさらに怒らせ財団など吹っ飛んでしまいます。

ただ、自称・元徴用工やその遺族は早く賠償金が欲しい。原告と弁護団の間で内輪もめが起こるかもしれません。

これもあって「絶対に放っておくべきだ」と言う日本の専門家がいます。「いずれ、慰安婦グループのように内部分裂する。それを待てばよい」からです。


最高裁判決は日本をはめる罠

――4人の自称・徴用工に賠償金を支払って「財団」を阻止する手はありませんか? 

鈴置:韓国最高裁の判決は日本に仕掛けた罠です。

慰謝料を支払えとの根拠は「不当な植民地支配に対する精神的苦痛」。「給料を支払っていないから」ではないのです。ここを勘違いしている人が日本にも韓国にも実に多い。

この4人に慰謝料を支払えば「日本側が植民地支配は不法だったと認めた」ことになります。

すると「当時、植民地支配により精神的苦痛を受けた朝鮮人と、その子孫すべてが慰謝料を受け取る権利がある」との理屈が成立します。韓国の個人から慰謝料請求が相次ぐのは間違いありません。

韓国だけではありません。「待っていました」と出てくるのが北朝鮮です。

北朝鮮は国連制裁で外貨獲得の道を閉ざされている。日本と国交正常化して賠償金を取り立てる作戦も、日本人拉致の発覚や核・ミサイル開発で頓挫した。

しかし、個人の慰謝料という形でなら日本からカネを取り立てられると皮算用していることでしょう。

韓国にとっては歴史改竄のチャンスでもあります。「我が国は植民地になったことはない」と韓国人は言い出しています。

でも世界からは相手にされない。35年間も日本が支配したのは事実だし当時、列強も日本による植民地化を認めていたからです。

「徴用工」裁判はそれを一挙に逆転する必殺技です。植民地支配は不法だったと日本に認めさせた後、韓国人は世界に向かって「我が国が植民地だったことはない。日本が不法占拠したことはあったが、その不法性を今や日本が認めたからだ」と叫ぶつもりでしょう。

命運を左右するフォトレジスト

――話をWTOに戻します。勝てそうもないのに、なぜ文在寅政権は再提訴に動くのでしょうか? 

鈴置:理由は2つあります。まず、人気取りです。韓国人は今、「ついに我が国も先進国になった」と大喜びしています。新型肺炎で世界の防疫模範国になった、との思いからです。

一方、日本の輸出管理強化で普通の韓国人が一番、カチンときたのはいわゆる「ホワイト国」から外されたことです。

信頼に足る国だから厳しい管理を免除する、といったほどの意味ですが、韓国人はそれを「先進国待遇」と見なしてきました。

 文在寅政権としては先進国入りに沸く国民の前で「途上国待遇への格下げ」を日本に修正させる必要があるのです。

もう1つは国家戦略の問題です。日本が対韓輸出管理を強化した3品目の1つにフォトレジストがあります。これを自由に輸入できるかが、韓国の未来を左右するのです。

 
半導体に回路を掘る工程は3段階。

まず、「土台」となるウェハーの表面に、光が当たると溶解性が増すフォトレジストを塗ります。

次に、回路の形状通りに光を当て、その部分のフォトレジストだけを溶剤で溶かします。

最後にプラズマでフォトレジストの落ちた部分を掘るのです。

半導体の能力は線幅――配線の幅が細いほど高まる。でも、細い線幅を生み出すには、反応密度の高いフォトレジストが必要になります。フォトレジストが微細加工の要なのです。

3品目の1つ、フッ化水素は純度が低いものなら韓国で作れます。韓国製を使うと不良率が上がるので、韓国の半導体メーカー日本製が欲しい。でも、いざとなれば韓国製で間に合わせるでしょう。

 しかし、フォトレジストの国産化は当分、難しい。そのうえ、日本メーカー5社が全世界の9割のシェアを握っています。

日本政府は3品目を全面禁輸したわけではなく「怪しげでない輸出」には許可を出しています。

が、韓国とすれば日本が突然、フォトレジストの対韓輸出を止めないか気が気ではない。半導体の生産が完全に止まってしまうからです。

 
そこで自由に輸入できる「ホワイト国」――現在の名称は「グループA」に戻せと要求しているのです。


TSMCは米国側に立った

――なぜ今、要求してきたのでしょうか。

鈴置:形式的には韓国政府が輸出管理体制を一応、整えたためですが、本質は米中覇権争いの激化にあると思われます。

韓国を中国寄りと見なせば、米国がフォトレジストなど半導体素材の対韓輸出を日本に禁じる可能性が出てきました。その前に韓国は日本を抱き込んで糧道(りょうどう)を確保する作戦でしょう。

 米国政府は中国の華為技術(ファーウェイ)をいじめ殺すつもりです。同社は次世代通信規格、5Gの旗手。技術覇権を維持したい米国にとってもっとも目障りな会社です。


華為の基地局やスマホは米国内で売らせず、同盟国にもそれを要求しました。さらに華為に対し技術や、半導体などの中核部品を売らないよう、同盟国や企業を説いています。

動向が注目されたのは、世界最高の微細加工技術と豊富な生産能力を持つ台湾のTSMC(台湾積体電路製造)です。

同社は華為にシステム半導体――電子製品の主要な回路を載せた半導体を一手に供給してきましたが最近ついに、米国の要請を受け入れました。

 

日経新聞が「TSMCが新規受注停止 ファーウェイ、スマホ生産打撃」(5月19日)で報じました。この記事によると、TSMCは2020年9月半ば以降、華為への供給を止めるようです。

韓国政府とサムスン電子に圧力
 
華為が必要とする高性能の、つまり細い線幅の半導体はまだ、中国企業では作れません。

そこで、華為はサムスン電子に供給を依頼するとの観測が韓国で出ています。サムスン電子はシステム半導体分野でTSMCを追撃しています。

少し前までなら「華為とサムスン電子はスマホ分野で世界1の座を争う。

汎用品のメモリー半導体ならともかく、中核部品であるシステム半導体の供給を華為がライバルに依存するだろうか」との疑問が湧きました。

でも結果的にですが、両社はスマホの世界市場で住み分けを始めたのです。

サムスン電子は地元企業に押され、中国での生産・販売を急速に縮小しています。

一方、華為は中国以外の市場で締め出しを食っています。このスマホでの地理的な住み分けが、システム半導体での両社の協力につながる可能性が出てきました。

米国はサムスン電子と韓国政府に対し、華為いじめに加われと圧力をかけてきましたが、それに拍車をかけています。

6月5日の韓国外交部の発表によると、イ・テホ第2次官が同日にクラック(Keith Krach)米国務次官と電話で協議し、米国が主導するEPN(Economic Prosperity Network=経済繁栄網)について説明を受けました。

EPNこそは貿易取引の環から中国を排除し、西側中心の経済ネットワークを作る「中国包囲網」です。


G7に招待、懐柔するトランプ

――トランプ(Donald Trump)大統領が文在寅大統領をG7に招いたのも……。

鈴置:懐柔作戦の一環です。韓国人がのどから手が出るほど欲しがっている「先進国」の称号を与える。その代わりに中国包囲網に加われ。ことにシステム半導体を華為に売ってはいかんぞ――と言い渡す構図です。

トランプ大統領は6月1日に韓国だけではなく、ロシア、インド、豪州も9月に米国が主宰するG7に招待しました。

ロシアは「中国が参加しない」ことを理由にG7への招待を断りました。中国は「参加した国はひどい目にあうぞ」と威嚇しています。G7が拡大するかは様子を見た方がよさそうです。

「米中二股」を公言した韓国

――韓国はどう対応するのでしょか。

鈴置:両方得るつもりでしょう。G7に参加して「先進国の称号」を得るし、華為とも取引する――。

 韓国のイ・スヒョク駐米大使が6月3日、韓国メディアの特派員とのオンライン懇談会で「(米中の間で)選択を迫られる国ではなく、もはや我々が選択する国になったとの自負心を持っている」と述べました。

駐米大使が堂々と「米中二股外交」を宣言したのです。

朝鮮日報の「駐米大使がこんな発言…『韓国、米中を選択できるほどに成長』」(6月5日、韓国語版)で読めます。

 当然、米国は烈火のごとく怒りました。

米政府が運営するVOAは「米国務省、『韓国はどちらの側に立つのか数十年前にすでに選んだはず』…駐米大使発言に論評」(6月6日、韓国語版)で、国務省報道官の以下の発言を報じました。

・The ROK already chose side when it abandoned authoritarianism and embraced democracy several decades ago.

「数十年前に韓国は権威主義体制ではなく民主主義の側を選んでいた」と米国の永年の同盟国であることを強調、その裏切りを責めたのです。

VOAは「同盟国の政策に関しては『その国に聞いて欲しい』と一貫して答えてきた国務省が、ワシントンで韓国を代表する外交当局者の発言を特定し、具体的に論評を加えるのは極めて異例だ」とも報じました。「もう、同盟国待遇はしないぞ」との通告です。

3代目に逮捕状

――韓国政府が米国に反旗を翻しても、米国人株主の多いサムスン電子は米国政府の言うことを聞くのでは? 

鈴置:サムスン電子の3代目オーナーの李在鎔(イ・ジェヨン)副会長は現在、相続税を「値切る」ため株価を操作したとの疑いで捜査の対象になっています。

6月4日には検察が逮捕状を請求しました。政府に歯向える状況にはありません。

――米国を怒らせて、韓国の二股外交が上手くいくのでしょうか。

鈴置:半導体のうち、メモリーに限ればサムスン電子とSKハイニックスの韓国2社で世界の約70%を生産しています。

「韓国をいじめると、メモリーの供給が世界的に不安定になるぞ」と米国を揺さぶる作戦を考えているでしょう。

2019年に「日本の輸出管理強化を止めさせてくれ」と米国に訴えた際も、韓国はこのロジックを使ったことがあります。

韓国の弱点、通貨を攻める

――では、米国はどうするのでしょう。

鈴置:米国には日本製フォトレジストなどの対韓輸出を止める手があります。

日本が半導体関連の3素材の対韓輸出を厳密に管理し始めたのも、米国の指示があってのことと見る専門家が多いのです。

だからこそ、韓国は勝算の薄い日本との戦いに出た。何としてもここで半導体素材の糧道を確保しなくてはならないのです。

米国には最終兵器があります。

金融で韓国を締め上げればいいのです。韓国の弱点は外貨繰り。

経常収支や貿易収支が赤字か、黒字でもその幅が急減した時にしばしば通貨危機を起こしてきました。

新型肺炎で世界貿易が縮小した今も、その弱点が表面化しています。

韓国の4月の貿易収支も経常収支も赤字を記録しました。通関統計によると5月の貿易収支は黒字でしたが、たったの4・4億ドル。

世界経済の縮みと原油相場の回復を考えると、韓国は構造的な赤字に陥る可能性があります。

そもそも少子高齢化で韓国の生産年齢人口はピークアウトし始めました。輸出の原動力である生産力がこれから落ちていくのです。


米韓スワップも罠

――でも、米国は為替スワップを結んで韓国を助けました。

鈴置:あれは罠です。「日米」スワップと異なり「米韓」には期限も上限も設定されています。

3月に結びましたから9月には期限が来ます。韓国は600億ドルの枠の内、約3割の180億ドルの権利を行使済みです。

 9月にすんなりドルを返せればいいのですが、それが不可能な時は米国に頭を下げて、スワップの延長を頼まざるを得ません。その際、韓国は半導体に関する米国の要求を拒絶できるでしょうか。

 1997年の通貨危機の際、米国はIMF(国際通貨基金)の管理下に置いて韓国を操縦しました。今度はIMF経由ではなく直接、管理下に置いたのです。

だから韓国では「日本と通貨スワップを結ぼう」との声が根強いのです。日韓スワップがあれば、通貨面での米国頼みから脱せますからね。

――日韓スワップは絶対に結んではいけませんね。

鈴置: 安倍晋三政権も日韓スワップを締結したら、米韓スワップを無にすることは十分に理解していると思います。

それと同じ文脈から、日本政府が半導体関連の対韓輸出管理を安易に緩めることはないと思います、安倍政権が世の中をちゃんと見ているのなら。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)

韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95~96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年6月8日 掲載


新潮社

プーチン流「少子化対策」に学ぶ 名越健郎(拓殖大学海外事情研究所教授)

2020-06-11 14:35:22 | 日記
2020.06.08 (月) 印刷する

プーチン流「少子化対策」に学ぶ 名越健郎(拓殖大学海外事情研究所教授)

2019年の人口動態統計で、1人の女性が生涯に産む子供の数にあたる合計特殊出生率は1.36と12年ぶりの低水準になった。

19年に生まれた子供の数も86万人で戦後最少。

新型コロナウイルス禍などで不安が広がれば、少子化は一層加速し、将来の経済活動や安全保障に重大な打撃を与えることになる。
 
少子化対策では、母親への各種手当など財政的インセンティブを導入し、出生率を高めたロシアの経験が参考になる。

危急の問題では、会議や議論で消耗し、問題を先送りする日本方式より、プーチン流トップダウンが有効なのだ。

 ●官製ベビーブーム主導
 
ソ連崩壊後、経済・社会混乱が続いたロシアでは、1990年代に少子化が進み、99年の合計特殊出生率は1.16まで低下。

出生数も126万人と90年の約200万人から激減した。男性の平均寿命が短いことから、人口は毎年70~80万人減少していた。
 
プーチン大統領は2006年の年次教書演説で、人口対策を「国家プロジェクト」に指定し、第2子を出産した母親を対象に、25万ルーブル(当時のレートで約110万円)を住宅取得・修繕費、教育費、母親の退職後の年金加算などの形で国家が支給する方針を発表。

保育所拡充、児童病院増設などと併せ、07年から実施に移した。
 
筆者は当時、記者としてモスクワに駐在しており、大統領が「人口減少は国家危急の問題であり、国家の存続が脅かされている。

それは愛と女性と家族にかかわる問題だ」と力説し、家族観、恋愛論を一席ぶったのを覚えている。
 
「母親資本」と呼ばれるこの制度は、第3子以降にも適用され、その後増額された。現金給付ではないが、平均月収のほぼ1年分に当たる支援策で、地方ではかなりの出産奨励金となった。

その結果、出生率は導入前の1.30(06年)から1.50(08年)と増え、15年は1.75まで上昇した。

15年の出生数は194万人で、ほぼソ連崩壊前の水準に戻った。大統領は地方視察で、「産めよ増やせよ」の官製ベビーブームを煽っていた。

●母親の出産意欲引き出す
 
この制度は、離婚率が高いことから、母親の親権を前提に母親を支援することに特徴がある。

ロシア人よりイスラム系少数民族の出生率が格段に高いという副産物もあったが、即効性を示した。

ただし、この頃の出生増は、1980年代後半のベビーブーム時代に生まれた世代が出産可能年齢になったという人口動態の要素も大きい。
 
その後ロシアの出生率は15年をピークに低下し、19年の出生数は148万人、出生率は1.50に落ち込んだ。

すると、大統領は今年1月、第1子についても母親に一時金を付与する新たな奨励策を発表した。
 
ロシアの経験から、出生率向上の短期対策としては、母親への大型財政支援が有効であることが分かる。

人口減少は「国家危急」の課題であり、プーチン氏のように、為政者が危機感を抱き、指導力を発揮することが不可欠だ。