韓国経済の不振は、ウォン相場急落に現れている。
すでに、1ドル=1400ウォン台を割込んでいるが、10月1日19時40分、1440ウォンにまで下落した。前日終値1430ウォンから10ウォンの値下がりである。
こういう事態にもかかわらず、韓国国会は与野党が政争で空転している。
尹(ユン)大統領の外遊中の言動を巡る争いである。
その中身は、くだらないことばかりだ。
英国でのエリザベス女王死去の際の記帳が、右書きか左書きで最大野党「共に民主党」が、国格を貶めた不作法と非難。
米国では、尹大統領発言(誰も正確に聞き取れない)を捉えて、「バイデン大統領をこの野郎」と罵倒したと難癖つけて騒いでいる。子どもレベルの話である。
こういう浮ついた話とは別に、韓国経済はウォン急落が示すように、実態が悪化している。大企業の設備投資が中止や延期という事態になっているのだ。
『東亞日報』(10月1日付)は、「『最悪の状況に備えろ』大企業の投資も止まる」と題する記事を掲載した。
未曾有の物価高やドル高・金利高の「3高現象」により、投資や生産など企業の経営活動が相次いで萎縮している。
ウォン安ドル高が進み、コスト負担が大きくなった企業各社は相次いで投資を保留・再検討したり、現金を積み上げて最悪の状況に備えた防波堤を高くしている。
(1)「9月30日、財界によると、韓国国内の主要企業各社は最近、3高による経営環境の悪化や需要萎縮により、経営計画の見直しに追われている。
LGは先月29日、3年ぶりにオフラインでの社長団ワークショップを開き、中長期経営戦略について議論した。
これに先立って、三星(サムスン)も26日、社長団会議などを通じて経済懸案について話し合い、SKは今月中に「最高経営者(CEO)のセミナー」を開く計画だ」
LG(総合家電)、サムスン、SK(半導体)と言った韓国を代表する企業は、韓国経済を取り巻く状況急変に警戒姿勢を強めている。最近の、輸出不振を反映したものだ。
(2)「国内外企業の投資も止まっている。
現代(ヒョンデ)オイルバンクとハンファソリューションは先月、主要生産施設の設立計画を撤回すると相次いで公示した。
米メモリ半導体企業マイクロンも29日(現地時間)、来年の投資計画を30%縮小することにしたと明らかにした。
アップルは、新製品アイフォーン14の増産計画を最近撤回したことが知られ、29日は株価が4.9%急落した」
自動車の現代も慎重姿勢に転じている。設備投資計画の見直しに入った。
(3)「グローバル情報技術(IT)企業の投資が減り、国内主力輸出品目である半導体の生産は14年ぶりに最大幅で減少した。
統計庁の「8月の産業活動動向」によると、8月の半導体の生産は前月より14.2%減少し、2008年12月(マイナス17.5%)以来13年8ヵ月ぶりに最も大きく減少した。
今後の景気を予測する先行指数の循環変動値は99.3で、前月より0.2ポイント下落した」
8月の半導体の生産は、前月比で14.2%も減少した。
14年ぶりの大幅な落込みである。半導体市況の急落が響いている。パソコンやスマホ需要の一巡化が大きな理由である。
(4)「経済環境が急速に悪化すると、政府は大企業の主要経営陣とともに会議を開き、対策作りに乗り出した。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は30日、ソウル中区(チュング)の銀行会館で三星電子とSK、LG電子、現代自動車など大手企業の財務担当者が参加する「マクロ金融状況点検会議」を主宰した。
尹大統領は、「世界的な金利引き上げと市場不安で、実体経済の減速が懸念されている」とし、「マクロ経済の金融専門家、主要企業の財務グローバル担当専門家と企業が現場で体感する困難を共有し、対策について考える」と話した」
韓銀(中央銀行)が30日に発表した「9月の景況判断指数(BSI)」によると、9月の全体産業BSIは前月に比べて3ポイント下落し78になった。BSIが、100未満なら以前と比較して経営状況などが悪化するだろうと感じている企業が多いことを意味する。
2021年2月(76)以降、1年7カ月ぶりの大幅低下でるが今後、この低下傾向は一層強くなる見込みだ。要するに、「不況深化」という状況である。