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「不安感台頭」急激な利上げ、高まってきた社債リスク 2008年金融危機「連想」

2022-10-14 18:06:28 | 日記
「不安感台頭」急激な利上げ、高まってきた社債リスク 2008年金融危機「連想」


2022年10月14日


  • 韓国経済ニュース時評アジア経済ニュース時評


   
韓国は、先進国になったと自画自賛していた1年前と比べ、経済情勢が急激な悪化に見舞われている。

政策金利が3%となり、貸出金利は8%時代を迎えている。

この先、政策金利はさらに引き上げられる見込みだけに、企業の財務力悪化が必至の情勢だ。

2008年のリーマンショック時に、韓国経済は大きな痛手を受けて企業倒産が多発した。

今回の急激な利上げによって、韓国企業のデフォルトが懸念されている。


『中央日報』(10月14日付)は、「韓国、金融危機デジャヴュ 信用格付け降格事態に懸念」と題する記事を掲載した。

最近、企業信用に対する不安が高まっている。

ウォン安に原資材費用・金融費用の上昇などで企業実績まで悪化すれば2008年金融危機当時に発生した大量等級降格事態が再現されかねないとの憂慮が出ている。

社債投資心理の萎縮で企業の「金脈」が干上がっているが、現在の信用格付けがこのような現実を客観的に反映していないためだ。

(1)「10月13日、債権評価会社BONDWEBによると、11日に国庫債(3年物)と会社債(AA-級・3年物)のクレジットスプレッドは1.111%Pで金融危機直後だった2010年1月14日(1.12%ポイント)以降、最高値を記録した。

クレジットスプレッドは、国庫債と社債の間の利回り格差で、この数値が大きくなるほど市場が社債投資リスクを高くみているという意味になる」

国庫債は、国の支払い保証がついている。

社債は、支払い能力がなくなればデフォルト(倒産)するほかない。

国庫債と社債の間の利回り格差が現在、2010年以降で最高に開いている。

市場は、社債のデフォルトを折り込み始めたのだ。

(2)「市場の感じる「社債リスク」が高まっているが、「信号灯」の役割を果たすべき信用等級は、今の現実を反映することができずにいる。

韓国企業評価によると、今年初めから今まで20社の社債信用等級がむしろ上方修正された。

下方修正された企業は13社にすぎなかった。

NICE信用評価も事情は似ている。

国内格付け会社3カ所のうち韓国信用評価だけが等級を下げた企業が上げた企業よりも多い程度だ」

社債リスクは本来、企業格付けに反映されなければならない。

その企業格付けはまだ、急激な金融情勢の悪化に伴う企業収益の低下を折り込んでいないのだ。ここが、最大の盲点である。


(3)「これは格付会社の等級評価が過去の財務実績をベースに行われるためだ。

輸出の実績が良好で証券市場の活況で企業公開(IPO)などの資本拡充が活発だった昨年の雰囲気が等級に反映されている。

韓国企業評価のチェ・ジェホン専門委員は報告書で「金利上昇にもかかわらず、業界状況の回復で営業実績が改善された会社やSKバイオサイエンス・斗山(ドゥサン)エネビリティなど大規模な資本拡充が行われた企業を中心に信用格付けが上がった」と説明した」

これまでは、韓国の輸出が順調に伸びてきたので、企業収益も悪化せずにすんできた。

ところが、5月以降の貿易収支は赤字に落込んでいる。

企業収益の本格的な悪化は、10~12月期に現れる見通しだ。来年以降に、社債リスクが高まる状況を迎えてきた。


(4)「専門家は現在、等級が悪化した企業実績と沈滞した資金調達状況を反映できなくなっていることから、今年10~12月期以降は大量信用格付け降格事態が起きる可能性があると憂慮している。

金融情報会社「エフエヌガイド」によれば、総合株価指数(KOSPI)上場企業172社の7~9月期営業利益見通し総合は50兆2036億ウォンで、1カ月前(54兆6719億ウォン)よりも8.2%減った。

NH投資証券のハン・グァンヨル研究員は「事業競争力が低く負債負担が大きな企業の信用リスクが特に大きくなるだろう」と診断した」

すでに、7~9月期の業績予想は悪化している。この流れで行けば、10~12月期の悪化は決定的であろう。


(5)「リーマンブラザースの破産で金融危機が本格化した2008年9月、当時年間等級上・下方倍率(韓国企業評価基準)は15倍となり20年間で最も高かった。

等級が上がった企業が下がった企業よりも15倍多かったという意味だ。しかし金融危機1年後、この数値は0.3倍に急落した。

京南(キョンナム)企業・豊林(プンリム)産業など金融危機の波高を越えることができなかった企業22社の信用度は大幅に下落した」

2008年当時、企業格付けが上がった企業数は、下がった企業数の15倍もあった。

それが1年後には、わずか0.3倍に落込んだ。

この急激な低下が、これから起こる懸念が強まっている。

(6)「信用格付けが、下落し始めれば企業は資金調達がさらに難しくなるという悪循環に陥る。

ハイ投資証券のキム・ミョンシル研究員は「韓国銀行の12日のビッグステップ(0.5%ポイント)利上げで企業の流動性負担はさらに大きくなるだろう」と明らかにした」

信用格付けの低下は、社債デフォルトへの道に繋がる。来年の韓国企業には厳重警戒すべきだろう

習近平が焦る…人民元が売られ、資金逃避が激化しても「お手上げ状態」なワケ

2022-10-14 16:05:21 | 日記
10/10(月) 7:32配信

真壁 昭夫(多摩大学特別招聘教授)

 習近平が焦る…人民元が売られ、資金逃避が激化しても「お手上げ状態」なワケ

元の不穏な動き

 9月以降、主要通貨の中で米ドルの強さが際立っている。

 一方、円、人民元、ユーロは対ドルで軟調に推移し、日々の値動きはかなり不安定だ。

急速なポンド安と英国債の流通利回り上昇によって英国のトラス政権が所得税最高税率引き下げ案を撤回し、英ポンドはドルに対して反発する場面があった。

 それでも、3通貨の上値は重い。

最も重要なのは、人民元の先安観が一段と高まっていることだ。

近年の中国経済では共産党政権が雇用創出に決定的な役割を果たしたIT先端企業への締め付けを強めてきた。
  
さらに、不良債権も増加している。

 中国が高いGDP成長率を維持することは困難になり、急速に資金を海外に逃避させる主要投資家が増えている。

 中国の経済成長率の低下、金融市場の不安定化を回避するために、海外に逃避する投資資金は一段と増加する可能性が高い。

 それが現実のものとなれば、わが国とユーロ圏の経済にはかなりの下押し圧力がかかるだろう。

 日米の金融政策の差が鮮明となっていることや、ユーロ圏の景気後退リスク上昇によって、円とユーロの下落圧力は追加的に上昇し、経済への負の影響は増大すると懸念される。

売り圧力が一段と強まる人民元

9月下旬、中国人民銀行(中央銀行)は、国有銀行に対してオフショア市場でドル売り・人民元買いの準備を行うよう指示したと報じられた。 

 為替介入の準備が進められたようだ。

 また、国家外為管理局(SAFE)は違法に海外に資金を流出させたとして10の銀行を名指しで批判した。

  共産党政権は本土市場からの資金逃避に警戒感を強めているように見える。 

 それでも、オフショア人民元は1ドル=7元台で推移し、下落トレンドが反転する兆しは見られない。 

 むしろ、中国経済の現状を踏まえると、人民元の下落リスクは上昇している。

  不動産部門ではデベロッパーのデフォルトが増加している。 

 また、強引なゼロコロナ政策によって国慶節の連休中の国内旅行は、2019年の水準の半分程度にとどまるとの予想も出ている。

  世界の主要投資家の期待を集めた中国の高度経済成長期は、終焉を迎えたと考えられる。

 個人消費を中心に中国経済のファンダメンタルズがさらに悪化する可能性は高い。 

 生産活動や不動産市況には、より強い負の影響が及ぶだろう。 

 経済全体で不良債権問題が深刻化して資本の効率性が低下しているため、共産党政権がインフラ投資を積み増し、景気下支えを目指すことも難しい。

  リーマンショック後の世界の景気循環を振り返ると、米国の景気が上向き、次いで中国の生産活動などが活発化した。

  その結果、わが国やドイツでは工作機械やファクトリー・オートメーション関連の制御装置、自動車などの生産が活発化し、緩やかに景気が持ち直した。 

 今後は、中国経済の成長鈍化によって、日、ユーロ圏経済の下振れ懸念が高まりやすい。

日、中、ユーロ圏経済をより圧迫する自国通貨安 懸念されるのは、わが国、中国、ユーロ圏で通貨安が加速し、経済全体に対する負のインパクトが増大する展開だ。 


 まず、外国人投資家による債券売却の加速などによって、人民元は“売るから下がる、下がるから売る”という展開がより鮮明化する恐れがある。


  人民元のさらなる下落は中国の輸入物価を押し上げる要因となり、経済の停滞懸念が追加的に高まる展開は排除できない。 


 そうした状況が鮮明となれば、わが国やドイツを中心とするユーロ圏および欧州経済により強い下押し圧力がかかるだろう。 


 わが国では日銀が異次元緩和を修正するにはまだ時間がかかる。


  一方、米国ではインフレ鎮静化のためにFRBが金融引き締めを強化する考えを一段と強めている。


  短期的に、日米の金利差は拡大し、ドルなどに対して円がさらに減価する可能性は高い。 


 9月の日銀短観では、3期連続で大企業製造業の業況判断指数(DI)が悪化した。  


企業の海外進出などによって、日本経済全体にとっての円安のプラス効果は低下している。 


 一段の円安進行によって、輸入物価がさらに上昇するなど、わが国経済に対する円安の負の側面は増す恐れが高まっている。


  ユーロ圏経済が直面する状況はさらに厳しい。 


 特に、ロシアからの天然ガスの供給途絶はユーロ圏およびEUの結束を揺るがす問題だ。


  それは単一通貨ユーロの信認を低下させる要因でもある。


  電力料金などの高騰などによって生活の苦しさは高まり、各国でストライキが頻発している。


  その状況下でも、インフレ鎮静化のためにECBは金融引き締めを徹底しなければならない。 


 景気後退リスクはさらに高まり、ユーロの減価圧力は高まるだろう。


  これまで以上に、日、中、ユーロ圏経済は自国通貨安に翻弄される恐れが増している。


真壁 昭夫(多摩大学特別招聘教授)