日本と世界

世界の中の日本

ロシアはGDPでは現在世界第11位である。GDPで言えば韓国よりも低いのだ

2022-12-14 18:28:52 | 日記
なぜロシアはアメリカに強くものを言えるのか?

ヨーロッパには、EU、イギリスのほかにもう一つ世界経済に大きな影響を持つ大国がある。

ロシアである。

かつて東西冷戦のときには、ロシアはソビエト連邦として東側社会主義陣営の盟主だった。が、1990年前後に東ヨーロッパの社会主義国家群は次々に崩壊していった。盟主だったソビエト連邦も、連邦内の国々が次々と離れていき崩壊した。

そのソビエト連邦の国土の大部分を引き継いだのが現在のロシア連邦である。

ロシアは、欧米主要国や日本よりはかなり経済規模が小さく、GDPでは現在世界第11位である。GDPで言えば韓国よりも低いのだ。

だから経済規模だけで見るならば、ロシアはそれほどの大国ではないといえる。

しかし、ロシアは現在も、世界の政治経済に大きな影響を与え続けている。国際問題などでもたびたびアメリカと衝突しており、アメリカに対抗できる数少ない国となっている。

なぜロシアは、経済規模は小さいのにアメリカに対抗できるのか? 
 
それはロシアの軍事力が大きく関係していると言える。東西冷戦中、ソ連は、西側諸国に引けを取らない軍事力を保持しており、ロシアはそのソ連の軍事力を引き継いでいる。アメリカと互角の核兵器保有国でもある。

が、その軍事力を維持するためには、それなりの経済力がなければならない。

GDP世界第11位の国が、どうやってその強大な軍事力を維持しているのだろうか?

その最大の要因は、「資源」である。

ロシアは、世界有数の資源大国である。

石油、天然ガス、石炭などのエネルギー資源、鉄鉱石・金・銅・ニッケル・水銀・アルミニウム等の鉱物資源など、産業に必要な資源のほとんどが産出されるといってもいいほどである。

冷戦中もソ連は石油産出量で、たびたびサウジアラビアを抜いて世界一となっていたが、現在のロシアも世界第2位の産出量を誇っている。天然ガスも世界第2位である。

またロシアというと、極寒の地というイメージがあるが、肥沃な土地を持つ農業の国でもある。特に小麦の生産量は世界第3位であり、自国民の消費を十分に賄える。それどころか輸出量も世界一なのだ。

魚介類などの水産資源も豊富で、森林が国土の半分を占めるため、木材資源も事欠かない。

このロシア経済の強みは、アメリカ経済の強みと似ている。

アメリカは、ヨーロッパの文明を持ちながら、潤沢な資源、肥沃な国土を持っていることが大きな強みだった。

アメリカが19世紀から20世紀にかけて急成長し、世界経済の王者に君臨できたのも、これが大きい。

ほかのヨーロッパ諸国は、文明は進んでいたが、資源が乏しかったり、農地が狭かったりなどの弱みがあった。ヨーロッパ諸国が交易のために世界中に乗り出したのも、この弱みによるものだった。

特に石油が重要となった20世紀になるとそれが顕著だった。ヨーロッパでは石油がほとんど出ないために、石油を求めて世界各地に乗り出し、それが戦争の大きな要因ともなった。

そして、アメリカが二度の世界大戦の勝者になることができたのも、世界最大の石油産出国であることが大きな要因だったといえる。

ロシアも、このアメリカと同様の強みを持っているのだ。

東西冷戦が起きた要因の一つも「ソ連が資源大国だった」ということがある。
第二次世界大戦直後のヨーロッパ諸国は、国土が荒廃し、産業は極度に停滞していた。それはソ連も同様だった。

だからアメリカは、ヨーロッパ諸国に対して経済封鎖をしやすい状況にあったのである。つまり、アメリカが「経済援助や貿易をしない」と言えば、多くのヨーロッパ諸国は窮地に陥る。だから、どこもアメリカのいう事を聞かざるを得なかった。

しかし、ソ連だけはギリギリ、アメリカにノーを言うことができた。

ソ連の産業も相当に破壊されており、アメリカの支援は欲しかったし、アメリカとの経済交流がなくなれば大きなダメージを受ける。

だが、アメリカとの交易が途絶えれば、干上がるというほどではなかった。
ソ連は膨大な資源と広大な農地を持っている国だからだ。
そして東欧諸国はソ連からエネルギーや資源の供給を受け、ソ連は東欧の農産物を得ることで、共産主義圏内で、自給自足が可能だったのである。

つまり、ソ連を中心とする東欧諸国は、アメリカの経済制裁を受けてもやっていけたから、東西冷戦が可能となったのである。

このソ連時代の強みをロシアは今でも持ち続けているといえる。

ロシアは、アメリカから経済制裁を受けてもやっていける数少ない国なのである。もちろん経済制裁を受ければ、ダメージは受ける。

しかし、日本をはじめとする世界の大半の国のように、アメリカから制裁を受ければたちまち国民生活に支障をきたすというほどではないのだ。

だからロシアは、アメリカに強くものを言うことができるのである。
 







韓国の年所得上位10%は2千万円、下位10%は94万円で所得格差拡大

2022-12-14 18:00:26 | 日記
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 韓国の年所得上位10%は2千万円、下位10%は94万円で所得格差拡大

韓国の年所得上位10%は2千万円、下位10%は94万円で所得格差拡大

韓国で所得上位10%の世帯(生計を共にする世帯)が1年に稼ぐお金はいくらだろうか。

 正解は昨年基準で平均1億9042万ウォン(約2千万円)だ。

彼らが保有している不動産などの資産は平均15億5475万ウォン(約1億6300万円)に達する。

一方、所得下位10%世帯の1世帯当たりの年平均所得は昨年基準で897万ウォン(94万円)、保有資産は1億2407万ウォン(約1300万円)だ。

上位10%と下位10%の所得格差は約21倍、資産格差は約13倍だ。

特に、彼らの所得格差は昨年、政府の低所得層支援縮小などで拡大傾向に転じた。

貧弱な老後のセーフティネットを考えると、所得下位10%世帯の大半を占める「高齢者貧困」問題に警告灯が灯ったわけだ。

13日、本紙が統計庁の「2022年家計金融福祉調査」所得10分位現況を分析した結果、昨年国内所得上位10%世帯の年平均所得を下位10%世帯所得で割った「所得10分位倍率」(世帯所得基準)は21.2倍だった。

上位10%世帯が下位10%世帯より21倍多い所得を得ているという意味
統計庁が国内すべての世帯を所得水準によって10%ずつ10区間に分けた10分位統計を公開したのは今回が初めて。

所得10分位倍率は国税庁課税資料などを統計に反映し始めた2016年の25.4倍から2020年には20.2倍へと毎年着実に緩和されてきた。

基礎年金の引き上げ、高齢者雇用の拡大など低所得層の高齢者に対する支援が拡大した影響だ。

昨年、この指標が再び悪化したのは上位10%世帯の勤労所得が下位10%より大幅に増えた一方、政府の低所得層支援はむしろ縮小したためだ。

昨年、政府の新型コロナ支援金は中産層以上の自営業者まで支給対象が拡大したが、下位10%世帯は所得の半分以上を占める政府支援金(公的移転所得)が世帯当り年529万ウォン(約56万円)から523万ウォン(55万円)に減った。

上位10%世帯の公的移転所得が490万ウォン(約51万円)から512万ウォン(約54万円)に増えたのとは対照を成している。


一方内閣府は、日本経済の現状分析や見通しなどをまとめたリポート(ミニ白書)を2月に公表した。

25~34歳で労働所得の格差が拡大する傾向にあると指摘し、背景に「男性の非正規雇用比率の高まり」があると分析した。

単身世帯の所得が伸び悩み、若年層は結婚して子どもを持つという選択が難しくなっているとの見解も示した。

ミニ白書は「日本経済2021-2022 成長と分配の好循環実現に向けて」と題し、2021年9月にまとめた経済財政白書の後の情勢を分析した。

数値が大きいほど所得の格差が大きいことを示す「ジニ係数」について、一人ひとりの年収をベースに計算した。

全体では02年の0.414から07年の0.416に上がったものの、その後は低下し、直近の17年は再び0.414になった。

所得格差は全体として拡大傾向にはなく、07~17年には緩やかに縮小していたと分析した。

 年齢階層別に計算すると、若年層で労働所得の格差が広がった。25~29歳は02年の0.240から17年は0.250に上昇し、30~34歳も02年の0.311から17年は0.318に上がった。

内閣府は「男性の非正規雇用の比率が上昇し、労働時間が減少した」と説明した。

25~34歳を除く年齢階層では02年から17年にかけてジニ係数は下がっていた。

年齢を重ねるとともに所得の差が開くため、中高年層はジニ係数の水準がもともと高い。

人口の多い「団塊の世代」の退職が始まり、労働市場から退出したことで若年層から高齢層までを含めた全体の格差は縮小した。







韓国経済、景気と通貨防衛の板挟み 減速下で高速利上げ

2022-12-14 17:42:02 | 日記
韓国経済、景気と通貨防衛の板挟み 減速下で高速利上げ

朝鮮半島2022年11月24日 20:31


半導体とともに鉄鋼や化学などの輸出も伸び悩み始めた(仁川港)=ロイター

【ソウル=細川幸太郎】

韓国経済が景気と通貨防衛の板挟みになっている。経済成長が鈍化するのに、韓国銀行(中央銀行)は24日、政策金利を0.25%引き上げた。米国との金利差拡大で資本流出圧力がくすぶり、ウォン安が加速しかねないからだ。半導体市況の低迷で主力の輸出が振るわず、消費減退も重なって成長のけん引役が見当たらない。

利上げは6会合連続で政策金利を年3.25%にした。2021年8月以降の利上げ幅は累計2.75ポイントに及び、異例の速いペースといえる。問題はこの「高速利上げ」を景気減速下で実施していることだ。

韓銀は24日、23年の実質国内総生産(GDP)成長率見通しを1.7%と発表した。22年の成長率見通し2.6%からさらに落ち込む。23年の輸出は0.7%増で低迷し、消費も2.7%増にとどまる見通し。設備投資は3.1%減との厳しい見方を示した。24年の成長率は2.3%まで回復するとした。

民間の見通しはさらに厳しい。韓国大信証券の23年成長率予測は1.6%にとどまる。

減速の主因は屋台骨である輸出の鈍化だ。24日記者会見した韓銀の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は「23年は輸出と投資が想定を下回り、消費の回復傾向も鈍化する」と説明した。

8月時点の見通し(2.1%)から0.4ポイント下方修正したことについて「主要国の成長率低下に伴う輸出低迷が要因の9割を占める」とした。21年の輸出総額の2割を占めた半導体は市況悪化が続き、底打ちの兆しは見えない。

輸出低迷は投資意欲も冷やす。半導体大手のSKハイニックスは23年の設備投資を22年比で50%超減らすと表明した。半導体メーカーの投資抑制が国全体の設備投資の減少につながり、経済成長を押し下げる。

資源高・原材料高にウォン安・ドル高が重なり、輸入物価は高水準が続く。足元の貿易収支はアジア通貨危機だった1997年以来、25年ぶりに7カ月連続の赤字だ。貿易赤字がウォン安につながり、ウォン安による輸入物価上昇が赤字拡大を招く悪循環に陥っている。

頼みの消費も振るわない。新型コロナウイルスに伴う行動制限は解除されたものの、金利上昇が足かせとなる。
韓国は家計負債が大きく、金利上昇が利子負担拡大に直結する。住宅ローンの8割超が変動金利で、9月末時点の平均貸出金利は4.79%と1年間で1.78ポイントも上昇した。23年も金利上昇は続きそうで、利払い拡大が可処分所得を減らす構図だ。

それでも利上げするのは足元で米国との金利差が拡大しており、ウォン安と資本流出が連鎖する懸念を拭えないからだ。

米連邦準備理事会(FRB)の急速な利上げによってウォン相場は10月に対ドルで年初比2割超下落し、1ドル=1444ウォンと13年ぶりの安値をつけた。足元ではややウォン高に戻したが、ウォン安の懸念は消えていない。

資本流出への備えは心もとない。韓国の外貨準備高は10月末で4140億ドル(約58兆円)と、為替介入のために21年末から約500億ドル減少した。

第一生命経済研究所によると、対外債務などからはじいた「適正水準」と比べ、韓国の実際の外貨準備額は9月末時点で98%にとどまった。国際通貨基金(IMF)は100~150%が望ましいとしている。

「レゴランド発」の金融不安の連鎖も、政府は火消しに躍起

韓国北東部に5月オープンした「レゴランド・コリア」が足元の金融不安の発端となった韓国では思わぬ形で金融不安も表面化した。発端は韓国北東部に5月に開業したテーマパーク「レゴランド・コリア」を巡る債務不履行問題だ。
9月に償還期限を迎えた2050億ウォン(約210億円)のレゴランド開発公社のコマーシャルペーパー(CP)を巡り、地元自治体の江原道が支払い保証を撤回する方針を示した。野党系の元知事らの過去の債務保証判断について、与党系の現知事が「不当」と判断したためだ。


江原道は2011年の誘致決定時にレゴランド側に敷地を100年間無償貸与するなどの優遇策を決め、総額6175億ウォンを投じた。現知事の方針転換によって「地方政府の支払い保証も履行されないほど韓国は危ない」と金融市場は受け取り、他の企業も債券発行が難しくなった。

信用不安が連鎖し始めると、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は50兆ウォン以上の緊急支援金の投入を表明した。それでも市場の動揺は収まらない。
端的な例が韓国電力の社債発行の不振だ。「トリプルA」の格付けを持ち、事実上の国有企業でもある韓電は10月に計1兆2000億ウォン規模の社債発行を計画したが、実際の発行額は半分程度にとどまった。

11月には中堅生命保険会社、興国生命が自社のドル建て債券について「決められた価格で満期前に買い戻す」との発行時の約束を履行しないと発表した。債券市場の動揺により、買い戻し資金を調達する債券発行が難しくなったからだ。
企業の債券発行が難しくなれば、長期資金を調達できず、設備投資も縮小しかねない。韓国金融監督院の李卜鉉(イ・ボクヒョン)院長は「金融システム全般の問題ではない。政府は流動性を支援し、金融機能が円滑に回るように対応している」と述べている。

コラム:貿易赤字は年間20兆円ペース、放置すれば日本版「双子の赤字」も

2022-12-14 14:07:39 | 日記

コラム:貿易赤字は年間20兆円ペース、放置すれば日本版「双子の赤字」も


2022年10月20日

田巻一彦

[東京 20日 ロイター]

 - 2022年度上半期の貿易赤字が11兆円台に乗せ、年間で20兆円台に膨らむ可能性が高まった。

国際収支も今年7、8月に季節調整済みで2カ月連続の赤字に沈んでおり、国際収支の先行きにも「黄信号」が点灯し始めている。

このまま貿易赤字の拡大を放置した場合、いずれかの時点で国際収支も赤字が継続する事態になる可能性も出てきた。

 10月20日、2022年度上半期の貿易赤字が11兆円台に乗せ、年間で20兆円台に膨らむ可能性が高まった。

1980年代の米国のように財政赤字と経常赤字の「双子の赤字」状態に直面すれば、基軸通貨国でない日本の円が持続的に下落し、輸入物価の上昇を起点にしたインフレの進行に見舞われるという「未来図」も見えてくる。

この事態を回避するには、今から貿易赤字脱却のための方策を打つ必要がある。

ところが、岸田文雄政権が検討中の総合経済対策には、目立った貿易赤字対策が見られない。

電気料金への支援だけでなく、日本企業の国内還流策が不可欠の政策対応ではないか。

<上半期、過去最大の赤字>

財務省が20日発表した2022年4―9月の貿易収支は、累積赤字額が11兆0075億円となり、年度半期ベースで過去最大となった。

下半期は貿易赤字が増えやすいという季節性があるほか、さらに円安が進む可能性などを見込むと、22年度全体で20兆円の貿易赤字になる可能性が高まっている。

最新のデータである9月単月をみると、日本の輸出産業の「4番打者」とも言える自動車は前年比122.2%増と大幅に伸びている。

しかし、輸入の伸び(同45.9%増)が輸出の伸び(同28.9%増)を大幅に上回り、2兆0939億円の赤字を計上した。

原油をはじめとするエネルギー価格の上昇と円安の進展が二重に影響し、大幅な円安にもかかわらず、貿易赤字が増加するという現象を生み出している。

円安なら価格効果によって輸出数量が急増するはずであるが、今年3月から8月まで前年比マイナスで推移し、9月に7カ月ぶりのプラスとなったものの、わずかに3.7%にとどまった。

製造拠点の海外シフトの結果、輸出ドライブが効かない構造になってしまった可能性がある。

<経常収支、年間赤字へ転落の前兆>

したがって一部の識者が言うように「貿易赤字の増加は一時的」ではなく、構造的な問題が存在し、巨額の貿易赤字が生み出されやすくなっているとみた方がいいのではないか。

実際、今年7月と8月の国際収支では、季節調整済みで6290億円と5305億円と2カ月連続の赤字に転落した。

第1次所得収支の黒字で貿易赤字を吸収できなくなってきたことの1つの証拠だ。

2021年度は第1次所得収支と第2次所得収支を合わせると、19兆0910億円の黒字だった。

22年度も同水準だと仮定した場合、貿易収支が20兆円台の赤字になれば、経常収支は年間で赤字になることもありえる。

「貿易赤字の大きさに一喜一憂するのは誤り」という見方は、日本経済を中長期的に展望した場合、楽観的に過ぎるという面がありそうだ。

<「双子の赤字」化、円下落と物価上昇の長期化へ>

日本の経常収支が、近い将来に黒字から赤字に転落し、その基調が継続するようになると何が起きるのか。

2021年末に日本は411兆1841億円の対外純資産を保有しており、今の英国が直面している「ポンド危機」のようなことが直ちに起きることはない。

しかし、すでに日本の財政は1000兆円を超す債務を抱えており、経常収支の赤字が小幅ながらも継続し、その額も次第に増大する基調になれば、グローバルな市場では「日本版双子の赤字」が意識され出すリスクもある。

1980年代の米国は経常赤字と財政赤字の「双子の赤字」を抱えていたが、基軸通貨・ドルの強みを生かし、高金利を武器に米国内への資金流入を生み出していた。

だが、日本で双子の赤字の存在がクローズアップされるようになれば、基軸通貨でない円は下落を続け、今のような円安を生かせない経済構造が続いていると、貿易赤字増大と円安の連鎖を生んで、輸入物価の上昇が加速しているだろう。

その結果、低物価上昇率の日本は過去のものとなり、恒常的な物価上昇に直面するというシナリオの実現可能性が相応に高まっていることも予想される。

<製造業の国内回帰、政府の大胆な支援策必要>

足元で起きている少子化は、1990年代にしっかりとした対策を打っていれば、かなり緩和できたと一部の専門家は分析している。

貿易赤字累増の構造を変える取り組みも、今から着手すれば対応可能だと筆者は考える。

最初に取り組むべき対策は、製造業の国内回帰を大幅に促進する対策である。

国内に製造現場を移す企業には、思い切った減税対応を実施するべきだ。

その財源には、積み上げたままになっている利益剰余金への課税や、国内回帰に消極的な企業への課税強化などで対応するべきだ。

「稼ぐ力」を強化する方向で、政府が「生きたカネ」を使う方向に注力してほしい。

競争力を失った企業への期限のない支援は日本経済の活力復活に結びつかず、貿易収支の黒字化にも貢献しないだろう。

岸田首相は現在の貿易赤字膨張の現実を直視し、黒字転換を目指すことで「衰退への道」から離脱することを国民に訴えてほしい。

最も恐ろしい展開は、ロンドンで起きている国際収支危機とも言える事態を「対岸の火事」と放置していることだ。

臨時国会の審議で、貿易赤字が20兆円になるのに「本当に大丈夫ですか」との質問さえ出ないのはなぜなのか。

岸田首相のリーダーシップが発揮されれば、ほどなく世論調査の数字に反映されるだろう。

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