習近平が大ピンチ……!中国「ゼロコロナ大不況」が「世界金融危機」へと波及する悪夢のシナリオ
国民の大反発にあった習近平がついに「ゼロコロナ政策」を解除した。しかし、今これまで無菌室だった中国で、猛烈な感染拡大が懸念されている。
それは中国経済を「コロナ大不況」に陥れ、リーマンショック級の金融危機を誘発しかねない状況だ。世界は中国に対して決して警戒を怠ってはならないのだ。
前編「習近平の大誤算…!「ゼロコロナ」がいざなう、中国発「世界大不況」の巨大すぎるインパクト」に続き、詳報する。
すでに瀕死の「中国経済」
ゼロコロナ解除以前の中国経済は既にひどい状態だった。
中国経済の屋台骨と言える不動産投資は11月、前年比19.9%となり、2000年の統計開始以来、最大の落ち込みとなった。住宅価格も14か月連続で低下しており、「先行き悲観」の状況に変わりはない。
新築住宅販売は政府の支援策で持ち直しの兆しを見せていたが、新型コロナの感染拡大のせいで「元の木阿弥」になりつつある。
不動産不況のあおりを受けて、中国の11月の生産者物価指数は10月に続いてマイナスとなった(前年比1.3%減)。中国企業の景況感指数(調査期間は12月1日から16日)は2013年1月以来の低水準だった。
中でもサービス業の雇用指数は深刻な状態になっている。
中国の11月の小売売上高は前年比5.9%減と記録的な落ち込み幅となった。同じく輸出額も前年比8.7%減だった(対米輸出は約3割減少)。
中国のすべての経済指標が絶不調だったところに政府の大失政(ゼロコロナ解除)が猛烈な下押し圧力となって、経済は未曾有の危機に直面してしまうのではないだろうか。
「ゼロコロナ」のヤバすぎる影響
ゼロコロナ解除の悪影響は早くも出ている。
市場参加者の間で新型コロナの感染が急拡大したことから、中国の金融市場の取引が低調になっており、好調だった新規株式公開(IPO)にも影響が及んでいる。事実上の「鎖国」状態が解かれたことで中国から大量の資金が流出するリスクも指摘されている。
一方、コロナ禍から抜け出したとされる米国経済にも暗い影が忍び寄っている。
米国の12月の購買担当者景気指数(PMI)は44.6と前月から1.8ポイント悪化し、好不況となる50を6ヶ月連続で下回った。
米国企業の収益はリーマンショック以降で最悪になる見込みだ(12月19日付ブルームバーグ)。
米国のインフレ率は高止まりの状況が続いているが、債券投資家は「来年のインフレ率はリーマンショック直後のペースまで鈍化する」と予想しており(12月13日付ブルームバーグ)、米ウオール街の心配は「インフレ」から「リセッション(景気後退)」にシフトしつつある(12月19日付ZeroHedge)。
米国の金融市場の関心がリセッションに集まる中、中国経済への期待は高まるばかりだ。
中国経済バブル崩壊の序曲
国際金融協会(IIF)は「来年の世界経済の成長率はリーマンショック後の2009年並みの低水準(1.2%増)となる。牽引役は中国だ」と予測している。
だが、中国が「コロナ大不況」となれば、来年の世界経済は21世紀初のマイナス成長になってしまい、米国の金融市場全体のセンチメントは急速に悪化すると言っても過言ではない。
リセッション懸念で米国の銀行株に対する売り圧力が既に生じているが、最も警戒すべきはリーマンショックの震源地となったクレジット市場だろう。クレジット市場とは信用リスク(資金の借り手の信用度が変化するリスク)を内包する金融商品が取引される市場のことだ。
クレジット商品には、貸出債権や社債など様々な信用リスクを加工して証券の形で売買する「証券化商品」や信用リスクを原資産とする派生商品である「クレジット・デリバテイブ」などが代表的だ。
「金融危機」への警戒感が高まっている
「米国のジャンク債(低格付け債)バブルが今後崩壊する」との警戒感が強まっており(12月16日付日本経済新聞)、米国消費者ローンの延滞率も来年13年ぶりの高水準になる見通しだ。足元が揺らぎ始めているクレジット市場に外的ショックが直撃すれば、金融市場に大きな混乱が起こる可能性は排除できない。
「金融危機が勃発する」と断言するつもりはないが、中国のコロナ大不況が米国の金融市場に与える負のインパクトを見逃してはならないのではないだろうか。