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韓国、「高物価・高金利」来年の景気停滞確実、高所得者は財布を絞め、庶民「副業に励む」

2022-12-20 17:51:00 | 日記
韓国、「高物価・高金利」来年の景気停滞確実、高所得者は財布を絞め、庶民「副業に励む」


2022年12月20日

  • 韓国経済ニュース時評アジア経済ニュース時評

   
米国の政策金利引上げは、来年も継続される見通しである。これに伴い、韓国も「随伴利上げ」によってウォン相場下落を防がなければならない。韓国は辛い立場だが、輸出依存経済にとって避けられないことである。

韓国の利上げによる本格的な影響は、来年に集中して現れる。市民の生活防衛策はすでに始まった。高所得者は、高額商品の消費を控えており、庶民は減った残業代を補うべく副業に精を出す事態だ。「日本商品不買運動」のような勢いは、完全に消え去った。

『ハンギョレ新聞』(12月20日付)は、「韓国経済、来年上半期に『酷寒』到来 在庫たまり 高所得層も支出引き締め」と題する記事を掲載した。

(1)「今年1月の1.25%から11月には3.25%に跳ね上がった基準金利が、来年の消費、投資、雇用など実体経済全般を締めつける圧力としてはたらくものとみられる。企画財政部のイ・スンハン経済分析課長は「基準金利引き上げの効果が実体経済全般に現れるタイムラグは、通常6カ月~1年」だと述べた。最大のヤマ場は来年上半期だ。高物価と高金利の余波が一緒に押し寄せる、実体経済の「酷寒」を予告している」

来年も利上げは不可避であるので、韓国経済は来年下半期にも影響が強く出ることになろう。来年のGDP成長率は1%前後へと減速する見通しが強まっている。

(2)「内需消費はすでに冷え込む兆しがはっきりと現れている。韓国では高所得層から財布の紐を締めている。新世界デパートの11月の売上高は、昨年同月に比べ1.3%、今年10月に比べ10.5%それぞれ減少した。デパート業界関係者は「11月は例年より気温が高めだったため高価な冬服があまり売れなかったうえ、金利引き上げ、住宅取引の激減などで消費心理も凍りついている」とし、「流通業界は、昨年まではコロナ禍の反射利益のおかげで類を見ない好況を享受したが、今は非常事態になった状況」だと語った」

韓国を代表する新世界デパートの売上高は、11月時点で前年比マイナスに落込んでいる。高所得者が、早くも「生活防衛型」に入っている状況を示している。

(3)「韓国企画財政部の集計によると、ロッテ、現代、新世界などデパート業界「ビッグ3」の11月の売上高は、前年に比べて1.1%増にとどまった。増加率も10月の7%から急激に落ち込んだ。高価の耐久財である乗用車の10月の内需販売額も前月より7.8減少し、大幅な減少に転じた」

韓国3大百貨店の11月売上高は1.1%増に止まり、10月から急減速している。乗用車も10月は前月より7.8%減で急ブレーキを踏んだ。韓国の消費は「冬ごもり」状態になっている。

庶民は、所得そのものを増やすべく必死である。韓国の労働時間は残業を含め「週52時間」と決められている。残業代の落込みをカバーすべく、副業に力を入れるという事態に陥っているのだ。「週52時間」では、庶民の生活が成り立たないという厳しい現実が横たわっている。

『聯合ニュース』(12月20日付)は、「生活費補うため副業する世帯主が過去最多 5年で4割増」と題する記事を掲載した。

韓国で今年、副業をする世帯主の数が過去最多を記録し、副業者全体に世帯主が占める割合も拡大したことが分かった。本業の労働時間短縮に伴う所得の減少や物価高騰などで生活費の負担が増したためとみられる。経済団体の全国経済人連合会(全経連)が20日、統計庁のデータの分析結果を発表した。

(4)「今年は7~9月期まで、副業をする人は四半期別の平均で54万7000人だった。副業をする世帯主は36万8000人で、副業者全体の67.3%を占めた。2017年同期の副業者41万1000人、世帯主である副業者26万1000人に比べると、33.1%と41.0%、それぞれ増加した。世帯主が占める割合も17年の63.5%から上昇した」

世帯主の副業は、副業者全体の67.3%を絞めている。お父さんは、会社から帰ってきて、また副業で家を出て行く。何とも侘しい姿だ。「週52時間労働制」は、「貴族労組」が要求して法制化した事情が示すように、中小企業労働者には「恨めしい」時短である。韓国の労働法制は、ブルーカラーの貴族労組によって推進されたもので、中小企業労働者には負担になっている。

(5)「全経連は、労働時間を週52時間までに制限する制度が18年に導入されて以降、本業の労働時間が短縮され、所得の減少分を補うために副業を始める人が増えたとの見方を示した。最近は物価高で実質賃金がさらに目減りしている。本業の労働時間は17年に週35.7時間だったが、今年は32.0時間に減少した」

企業側も、この「週52時間労働制」の弾力化を要請している。1ヶ月で区切るのでなく、数ヶ月の平均で「週52時間労働制」を運用するものだ。繁忙期にも関わらず、残業打切りは経済活動全体にマイナスという主張である。文政権時代に法制化されたもので、韓国経済弱体化につながっている。