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「令和の闇将軍」と化す安倍前首相 保身のため菅政権への影響力を保つ

2021-05-31 14:00:33 | 日記

「令和の闇将軍」と化す安倍前首相 保身のため菅政権への影響力を保つ

 
 
 
 
安倍晋三・前首相の狙いは?(時事通信フォト)© NEWSポストセブン 提供 安倍晋三・前首相の狙いは?(時事通信フォト)

 国内外から五輪中止を求める声が強まる中、苦渋の表情が目に付く菅義偉・首相。

対照的に意気軒昂なのが安倍晋三・前首相だ。

会合やメディアで自らの影響力を誇示し、囁かれる「再々登板説」にもご満悦のようだ。

「これでは闇将軍だ」。

菅首相の側近が安倍氏の動きを警戒した言葉だ。

安倍晋三・前首相はBS番組(5月3日放送)で菅首相の「続投支持」を表明して喜ばせたのも束の間、

自民党内に半導体戦略推進議員連盟(会長・甘利明氏)を結成して盟友の麻生太郎・副総理兼財務相とともに最高顧問に就任。

5月21日の結成総会の冒頭、麻生氏は、「3人そろえば政局って顔だが、間違いなく半導体の話をしに来た」と語った。

「麻生さんは反語的な言い方で、この集まりは政局、つまり9月の総裁選をにらんだものだと出席者に宣言した」(政治ジャーナリストの藤本順一氏)

 安倍氏は月刊誌『Hanada』7月号のインタビューで、ポスト菅について“子飼い”とも言える4人の名前を挙げた

〈茂木敏充外務大臣は誰もが手腕を評価している。

官房長官の加藤勝信さんは私の臥薪嘗胆時代から支えてもらい、アピールをせずに黙々と仕事をする珍しい政治家。

下村博文さんも政調会長として党務で頑張っているし、閣外では岸田文雄さんは誠実な人柄で、外務大臣での実績は評価されています〉

 菅側近はこの動きにショックを隠せない様子だ。

「名前を挙げた候補には二階俊博・幹事長が推す野田聖子氏や、菅総理が後継者に育てようとしている河野太郎氏、小泉進次郎氏は入っていない

安倍さんの意のままになる人物を据えようとしている。

闇将軍と呼ばれた田中角栄さんのやり方にそっくりではないか」

 田中角栄・元首相はロッキード事件で失脚した後、最大派閥・田中派の数の力で大平正芳氏、鈴木善幸氏、中曽根康弘氏を次々に首相に担ぎ上げ、時の政権に絶大な影響力を行使して「闇将軍」と呼ばれた。

ロッキード裁判を戦い抜くためには、政治権力を握り続ける必要があったからだ。

 安倍氏の状況も似ている。

「桜を見る会」の検察捜査は乗り切ったが、

東京五輪の1年延期、選挙買収事件の河井克行・案里夫妻に対する1億5000万円提供疑惑、森友問題に端を発した赤木ファイル問題は安倍氏が原因をつくった。政権に影響力を持ち続けなければ立場が危ないのだ。

※週刊ポスト2021年6月11日号


求職を断念する人が急増…韓国の若者、就職の崖に「失われた世代」となるか

2021-05-31 13:20:36 | 日記

求職を断念する人が急増…韓国の若者、就職の崖に「失われた世代」となるか

登録:2021-01-15 09:31 修正:2021-01-15 10:22

 

コロナに飲み込まれた若者層の雇用 
 
1年間で体感失業率が25%に増加 
求職を断念する就職放棄者も急増 
若者の雇用不安が長引けば 
不平等が固まり、福祉費用増大を誘発 
「有望業種の教育訓練の機会を拡大すべき」
 
今月13日午前、ソウル西大門区のある大学の就職情報センターが閑散としている/聯合ニュース

 1年以上続くコロナ禍で若者層の就職難が悪化している。

当面の困難はもちろん、経歴の空白が長引けば長期的には彼らが低賃金階層に定着し、「失われた世代」になるという懸念も出ている。

 統計庁が14日に発表した「2020年年間雇用動向」によると、昨年の若年層(15~29歳)の拡張失業率(雇用補助指標3)は25.1%で、前年に比べ2.2ポイント上がった。

統計を取り始めた2015年の21.9%から2019年は22.9%へと4年間で1ポイント上がったが、昨年のコロナ禍で急増したのだ。

拡張失業率とは、調査当時は求職活動をしていなかったが就職する意思のある潜在求職者や、アルバイトをしながら再就職を希望する人などを包括した概念だ。

求職活動をする人だけを集計する公式失業率に比べ、実際に感じる失業状況をよく表していることから「体感失業率」と呼ばれる

 求職自体を断念した「就業放棄者」の若者も急増している。

昨年の非経済活動人口のうち、学業や育児など特定の理由なく「無職」の人口を見ると、20代(41万5千人)が前年比25.2%増となり、全年代で最も増加率が高かった。

 韓国雇用情報院は昨年8月の報告書「求職断念者増加の特徴」で、

若者層(15~29歳)の求職断念者(25万8千人)が全体の求職断念者(68万2千人)の38%で最も大きな割合を占め

若者求職断念者のうち「在学中」の若者が前年同月比108%と急増したという分析結果を出した。

報告書は「夏休みに(学生たちが)アルバイトをするのが通常であるにもかかわらず、在学中に若者の求職断念が増えたのは、労働需要不足による問題という可能性がある」と指摘した。

 経済危機の際、若者の就職が遅れるとこれによる賃金損失・経歴喪失を経て、その後も賃金と就職の機会が減る「履歴効果」が発生する可能性があると懸念されている。

 日本では資産バブルがはじけ景気低迷が始まった1990年代の若者層(1970~1980年代初め生まれ)が「就職氷河期」を経験した。

彼らは高い失業率のため十分にキャリアを積むことができず、その後も低賃金や雇用不安に苦しみ、「失われた世代」と呼ばれている。

 韓国開発研究院(KDI)のハン・ヨセフ研究委員は昨年、

「若者雇用の現況および政策提言」という報告書を通じて「最初の入職が1年遅れた場合、同年齢の労働者に比べ、今後10年間の賃金が年平均4~8%低くなるものと推定される」と述べた。

ハン研究委員はハンギョレの電話取材で

「若者層の低賃金・雇用不安が長引くと不平等が固まり、

彼らが今後家族扶養などでも困難を負い、福祉費用の増加につながる可能性がある」とし、

「若者層が現在のコロナ禍後に需要が拡大する有望業種に進出できるよう、教育訓練の機会を拡大すべきだ」と述べた。

イ・ギョンミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

文在寅、今になって日本に「半導体を供給するよう」泣きついたワケ

2021-05-31 11:38:28 | 日記

文在寅、今になって日本に「半導体を供給するよう」泣きついたワケ

5/31(月) 7:02配信

真壁 昭夫(法政大学大学院教授)

 

韓国経済への足かせ

 

 2019年にわが国は、安全保障貿易管理を適切に実施するために、フッ化水素、フッ化ポリイミド、レジストの韓国向け輸出管理を厳格化した。

それ以降、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は、半導体の部材などの国内生産を増やして経済成長をめざすと主張した。

 しかし、ここにきて、文氏の主張が韓国経済の効率性向上につながっていないことを示唆する新たな材料が出ている。

 その一つとして、文政権がわが国などの半導体企業に車載用の半導体供給を求める公文書を送ったと報じられている。

 足許の韓国経済にとって、雇用、輸出、さらには自動車の電動化への対応といった面で自動車産業の重要性は増している。

 その状況下、日韓の関係の冷え込みが韓国自動車メーカーの車載用半導体確保に与える影響は軽視できない。

 韓国は、わが国の自動車、電機、半導体などの生産技術の移転を重視することによって、先端分野での大量生産体制を確立し、外需を取り込んできた。

 その経済構造は今後も続く可能性が高い。

 長めの目線で今後の展開を考えると、文政権下で過去に例を見ないほどに日韓関係が悪化したことは、韓国経済にとって無視できない足かせと化す恐れがある。

世界的に深刻な車載半導体の不足

 2020年秋ごろから、世界全体で半導体の不足が深刻化している。

 その背景には、複数の要因がある。

 まず、米国のトランプ前政権は、中国の通信機器大手ファーウェイへの禁輸措置を強化し、自国の知的財産や技術を用いて生産された半導体が供給されないように取り組んだ。

 ファーウェイなど中国企業は半導体の在庫を確保しようと、台湾積体電路製造(TSMC)や韓国サムスン電子への半導体の注文を増やした。

 さらに、米国は中国のファウンドリー大手である中芯国際集成電路製造(SMIC)にも制裁を科した。

 その結果、台湾と韓国のファウンドリーに生産依頼が殺到し、世界全体で半導体が不足した。

 利益率の高い最先端の半導体生産を強化するTSMC、それを追いかけるサムスン電子の生産ラインはひっ迫した。

 その一方で、汎用型の生産ラインで生産される相対的に利益率の低い車載半導体の分野では、わが国のルネサスエレクトロニクスが世界的なシェアを維持した。

 それに加えて、2021年2月の米寒波によってサムスン電子の半導体工場が操業を停止した。

 3月にはルネサスエレクトロニクスの那珂工場で火災が発生し、車載用など多くの半導体の供給が追加的に落ち込んだ。

 韓国は車載用の半導体の98%を輸入している。

 世界的な半導体の不足によって、2021年の韓国の自動車生産は12万台程度減少する可能性があるようだ(前年の生産実績は約351万台)。

 米国経済が自律的に回復している状況下、韓国経済にとって自動車の減産は痛手だ。

 それを回避するために、文政権はルネサスエレクトロニクスなどに公文書を送り、現代自動車などが必要とする半導体を供給するよう協力を求めたようだ。

 韓国だけでなく、米国など主要先進国の政府が車載用をはじめ半導体の確保を急いでいる。

日韓関係の冷え込みは韓国経済にマイナス

 当面、車載用をはじめ半導体の不足は続く可能性がある。

 半導体生産の専門家の中には、那珂工場の生産が正常に戻るのは秋口ころと考える者がいる。

 TSMCが増設する中国南京工場の車載用半導体ラインが稼働するのは、2022年後半から2023年のようだ。

 米韓首脳会談ではサムスン電子による170億ドル(約1兆8500億円)の半導体工場の建設が発表されたが、生産開始には数年を要するだろう。

 短期間での車載用の半導体の供給増加は難しいだろう。

 また、バイデン政権は自国の半導体生産力を高めたいようだ。

 それは、4月12日に加えて5月20日にもバイデン政権がGMなどの自動車メーカーやTSMCなどと協議を行ったことが示唆する。

 わが国の半導体メーカーは国内自動車メーカーへの供給を行いつつ、米国などの要請にも応じなければならない。

 韓国自動車メーカーにとって日韓関係の冷え込みは半導体確保への不安を高める要因だろう。

 韓国の対日貿易収支は赤字で推移している。

 それは、日韓の“比較優位性”によるものと考えられる。

 韓国の企業は、大量生産を行って完成品を輸出することで成長してきた。

 他方、わが国企業は、微細かつ高品質のモノづくりに強みを持つ。

 那珂工場の早期の復旧が世界に示した通り、産業界全体が一丸となって協力体制を構築し、迅速に生産体制を確立する力もある。

 つまり、韓国経済の成長に対日関係の安定は重要な要素といえる。  わが国企業にとっても韓国企業は重要な顧客だ。

 長めの目線で今後の展開を考えると、外需依存度が高い分、韓国経済への影響は大きくなる可能性がある。

 足許、韓国の経済と企業業績は相応に好調だが、文政権下での日韓関係の冷え込みが自動車、半導体企業などの事業運営をはじめ韓国経済に与える影響は慎重に考える必要がある。

真壁 昭夫(法政大学大学院教授)

 


「階層移動はほぼ不可能な世界トップレベルの格差社会」という韓国の現実

2021-05-31 11:21:08 | 日記

映画「パラサイト」が炙り出す「階層移動はほぼ不可能な世界トップレベルの格差社会」という韓国の現実

2020.03.22

フォームの始まり

週刊SPA!

 

『パラサイト』で描かれた、ソウル市内の貧困層

階層移動はほぼ不可能。世界トップレベルの格差社会

 韓国映画『パラサイト/半地下の家族』がアジア映画として史上初のアカデミー賞4部門を受賞し、韓国の存在が一躍、世界に轟いた。同映画は韓国社会の深刻な貧困問題を描き、観る者に衝撃を与えたが、そこでも描き切れないほどに実際の韓国社会には闇が溢れている。その惨状は一部で「ヘル朝鮮」と揶揄されるほどだ。  その根底にあるのがやはり「深刻な格差」と語るのは、韓国の社会情勢に詳しいジャーナリストの徐台教氏。韓国では’70~80年代にピークを迎えた高度経済成長が’97年に破綻。出生率はゼロ台に突入し、若者の未曽有の就職難に加え、階層の固定化が著しい。’17年はOECD加盟国中、アメリカに次いで所得上位と下位10%の賃金格差が大きかった。また、大企業が0.1%、中小企業が99%以上でその中間はなく、双方の生涯賃金には大きな乖離がある。

PPP指数(購買力平価)に換算した月平均賃金の比較。韓国は日米よりそれぞれ差が開いている(出典:韓国・中小企業研究院)

OECD各国との’17年統計比較。大企業と中小企業の間の中堅企業が存在しないがゆえの結果となっている

特権階級を乱用した朴槿恵は去ったが階級は残った

「韓国では、上位30大学の卒業生であれば一応、大企業に就職することが可能です。しかしそれ以外の大学卒や高卒だと難しく、安定した生活が得にくくなってしまう。特権階級の力を乱用し尽くした朴槿恵前大統領が弾劾されてうやむやになっているが、階級はそのまま残っているわけです。人間の立ち位置がカテゴライズされやすい韓国社会は本当に恐ろしいと常々感じます」  階層固定化の源流と言われているのが「386世代」である。「’90年代に30代、’80年代に民主化運動に関わった’60年代生まれの者」を意味するが、この世代で大卒者が激増し、学歴による収入の格差が生じた。それがそのまま階層として子供に受け継がれ、富の偏在が生じているといえる。昨年曺国法務部長官(当時)が自らのコネで子供に不正入学をさせた事件もその象徴で、内申書の加点は親が金持ちであるほど有利になる実態が根強くあると言われている。

 

包容型福祉国家を目指したが失策続きの文政権

 先進国の中でも、深刻な格差問題を抱える韓国だが、今のところ打開策は見えない。 「格差を含めた社会の葛藤を鎮静化させる『包容型福祉国家』というのが、今の韓国が目指す理想像。具体的には、セーフティネットの拡充と機会の平等化、差別のない社会の実現です。そんな文政権が真っ先に掲げたスローガンが『所得主導成長』です」  具体的な実現例としては、日本でも話題になった最低賃金の引き上げだったが、結果としては雇用側の負担が増加し、逆に雇用が減る現象が起きてしまった。さらに税制では昨年、高所得者や不動産所有者からはより多く税金を徴収する法改正も行われたが、一部の富裕層から大きな反発が起きた。 「方向性は悪くなかったが、自営業者が労働人口の25%を占める韓国では政府の一律的な政策はさほど効果的ではなかった。さらに国会が富裕層派の保守派と公正な富の分配を求める進歩派で拮抗しているため、さまざまな規制緩和に関する法案は通らず、給料を上げただけで終わってしまったような面もある。それ以降、文政権はもう所得主導という言葉を口にしなくなりました」

徐台教氏

頼みの総選挙も不発の可能性大

 頼みの綱は、来る4月15日に実施される第21代国会議員総選挙。20~30代の若い政治家がデビューし、格差や世代交代の問題が前面に出るチャンスになりうるが、現在の局面に鑑みれば、新型コロナウイルスの問題に覆われてしまう可能性が大だという。 「せっかくの好機だったのに、あまりにも惜しい。せめて総選挙が延期されればよいのですが」 【ジャーナリスト・徐 台教氏】 群馬県生まれ、’99年より韓国に在住。NGO代表などを経て、日本語による韓国政治ニュースサイト「コリアン・ポリティクス」編集長 取材・文/和場まさみ 安宿緑

週刊SPA


日本は本当に「経済大国」なのか?:経済統計と海外経済との比較でみた日本経済の本当の姿

2021-05-30 17:56:27 | 日記

日本は本当に「経済大国」なのか?:経済統計と海外経済との比較でみた日本経済の本当の姿

 
 
 

日本経済に再び活況は戻るのだろうか(写真:アフロ)

■GDPは本当の豊かさの尺度ではない

人は、自分のことを過大評価する傾向がある。

国に対する意識も同様である。

日本は本当に豊かな国なのか。

日本は世界第3位の「経済大国」という言葉が一般的に使われ、国民もそれを額面通りに受け取っている。

だが世界を見渡すと、日本は誇るほどの経済大国ではないのかもしれない。

確かにGDP(国内総生産)を見れば、アメリカ、中国に次ぐ規模の経済大国である(以下の統計はIMFによる)。

GDPは国民が一年間働いて新たに付け加えた価値(付加価値)の総額である。

単純に言えば、労働人口が多く、国民が一生懸命働けば、それだけ合計額のGDPは大きくなる。

だが、GDPだけでは、本当の豊かさを計ることはできない。

ちなみに、アメリカのGDPは20兆8072億ドルである。中国は14兆8697億ドル、日本は4兆9105億ドルである。

 

 通常使われるGDP統計には国内の物価水準が反映されていない。

国際比較する場合、ドルで換算する。

だが、同じ1ドルでも、それぞれの国では価値が違う。

1ドルの価値は日本と中国では違う。

中国の物価水準は日本より安いので、中国では多く買える。

それを調整するために、それぞれの国の物価水準を反映したGDPが必要になる。

それが「購買力平価(PPP: Purchasing Power Parity)」で計ったGDPである。

「購買力平価GDP」で見ると、各国の順位は大きく変わってくる。

世界第1位は中国になる。

要するに中国の物価水準は低いのである。

すなわち1ドルの実質価値は高いことを意味する。

2位はアメリカである。日本は第4位に順位を下げる。

その額は、中国が24兆1624億ドル、アメリカが20兆8072億ドル、3位がインドで8兆813億ドル、そして日本が5兆2361億ドルである。

ちなみにお隣の韓国は14位である(GDPでは10位)。

 

 これでも正確に国民の豊かさは表現されない。

既に指摘したように、労働人口の多い国はGDPが大きくなる。

だが一人がどれだけの価値を生み出しているかは分からない。

そこで、「一人当たりのGDP」が重要になってくる。

すると1位はルクセンブルクになる。

2位がスイスである。

アメリカは5位に順位を下げる。日本は22位に低下する。

中国は59位と発展途上国の水準にまで低下する。

要するに中国のGDPが大きい最大の理由は人口が多いことなのである。

 

一人当たりの購買力GDPで見ると日本は世界28位

 これでも十分に国民の豊かさを表現できない。

購買力平価でみたGDPの一人当たりのGDP」が重要になる。

それによると、アメリカは7位とさらにランクを下げる。日本はどうか。世界で28位である。

 

 中国に至っては73位にまで順位を落とす。

人口が多いから、人口数で割ったGDPが少なくなるわけである。

この数字から見る限り、中国が経済大国だというのは憚られる。

規模が大きいから、国家予算の規模も大きく、軍事力強化や海外援助もできるのである。

ただ、その分、国民に負担を強いていることになる。

これが「超大国」中国のもうひとつの顔である。

 

 お隣の韓国は24位で、日本より順位は上にくる。

アジアで見ると、シンガボールが全体の第2位で、アジアでトップにランクされている。

他のアジアの国では、香港が9位、台湾が14位であり、日本はアジアでは4位に過ぎない。

日本は経済大国であるというのは、日本人の思い込みによる“幻想”である。

世界と比較すると、日本人はそれほど豊かな生活を送っているわけではない。

多くの日本人が持っている“自己イメージ”は修正すべきかもしれない。

 

富の偏在こそが一番の問題

 さらに問題なのは、国内における“富の配分”が公平に行われているかどうかである。

最富裕層1%が全体の所得に占める割合は、アメリカは20.2%、中国は13.9%、日本は10.4%である。

参考として韓国は12.2%である(国連統計)。

所得配分の平等という点では、日本は平等な社会と言える。

“ストック”でみると格差はもっと広がる。

アメリカの場合、最富裕層1%は総資産の27.9%を保有している。

純資産では31.0%、株式と投信の保有では52.7%を保有している(セントルイス連銀資料)。

想像を絶する格差が存在している。

日本も同様な傾向を示しており、

野村総合研究所の富裕層調査では、2019年の純金融資産保有額が1億円以上の富裕層は約133万世帯と調査開始以降過去最多となっている。

 

 この傾向は世界全体でも見られる。

国際労働機関の調査では、所得階層別で上位10%に属する人が受け取る勤労所得は全体の48.9%を占めるのに対し、下位50%の人々の所得は全体のわずか6.4%にしすぎない(資料:『The Global Labour Income Share and Distribution』2019年7月)。

 

 

 所得や資産の格差は拡大傾向にある。ベストセラー『21世紀の資本』で著者のトマ・ピケティは、所得・資産格差はさらに拡大すると分析し、話題となった。その論理は簡単である。超富裕層の所得源泉は勤労所得ではなく、金利や配当収入といった資本収益である。上で示したように、超富裕層1%がアメリカの株式・投信の52%を保有している。株高は超富裕層に巨額の配当収入だけでなく、純資産増をもたらす。一方、賃金は経済成長率で決まる。しかし、経済成長率は投資収益率を恒常的に下回るので、富裕層の所得の伸びのほうが常に大きくなる。リーマン・ショック後の株価暴落があったとき、超富裕層の所得や資産は一時的に減少したが、超低金利を背景に株高が進み、すぐに回復している。

 

 アメリカは富裕層が優遇されている国である。ただし、以前、限界最高所得税率はもっと高かった時代がある。1944年には94%であった。戦後も1954年には92%であった。次第に税率の引き下げが行われ、1989年には28%にまで引き下げられている。日本の現在の限界最高税率は所得4000万円以上に対して45%であるが、1970年代は75%(対象は8000万円以上)。アメリカほどではないが、富裕層の税負担は大幅に低下している。

 

労働者の分け前(労働分配率)が低下している

 経済が成長しても、言い換えればGDPが大きくなっても、一般の人々の所得が増えないことには生活は豊かにはならない。世界的な傾向として、労働者の取り分は減少している。逆にいえば、株主や企業の取り分が増えているのである。「労働分配率」は、賃金を付加価値で割った値である。この値が高い場合、労働者の取り分が多いことを意味する。アメリカの場合、1950年代、労働分配率は65%程度であった。しかし、2016年には56%にまで低下している。10ポイントも低下している(『New Look at the declining labor share of income in the United States』,McKinsey Global Institute 2019年5月)。その傾向は現在も続いている。2017年の水準を2000年と比較した場合、アメリカの労働分配率は5.9ポイント低下している。

 

 日本の場合、戦後、着実に上昇し続けた労働分配率は2010年を境に低下に転じている。労働分配率は景気の影響を受けやすい。景気が良い時は低下し、景気が悪い時は上昇する傾向がある。したがって短期の変動よりも長期的な推移を見ることが重要である。日本特有な問題は、労働分配率の低下と企業の内部留保の増加が対応していることだ。企業は本来賃上げに充当すべき利益を独占しているのである。また労働組合の交渉力の低下や「賃上げよりも雇用確保」といった方針も、労働分配率低下の要因のひとつであろう。

 

 労働分配率の低下は、実質賃金低下につながる。生活の豊かさは物価上昇分を除いた「実質賃金水準」で決まる。時間当たりの労働賃金の国際比較を見てみる。全労連が作成した「実質賃金指数の推移と国際比較」によると、先進国の中で唯一日本だけが実質賃金が低下している。1997年を100とすると、2016年の日本の実質賃金は89.7と大きく減っている。これに対してスエーデンは138.4と38%も上昇している。低迷しているアメリカでも115.3、ドイツでも116.3の上昇を達成している。フルタイム就労者の購買力平価でみた賃金年収では、1997年には日本はOECD平均を上回っていた。金額でいえば、日本は3万6249ドルで、OECD平均は3万5478ドルであった。トップのルクセンブルクは5万ドルを超えていた。アメリカは4万6415ドルであった。アジアでは、韓国は2万5947ドルに過ぎなかった。

 

 だが2015年になると、状況は大きく変わる。日本の賃金年収は3万5780ドルと減少している。OECD平均は4万1253ドルに増えている。アメリカは5万8714ドルに増え、第2位になっている。1位のルクセンルクは変わらず、6万ドルを上回っている。韓国は3万3110ドルと日本に肉薄している。

 

 「時間当たりの実質労働賃金」も、当然ながら、同じ傾向を示している(『データブック国際労働比較2019』、労働政策研究・研修機構)。2005年の日本の時間当たり購買力平価換算の賃金を100とすると、アメリカは121、イギリスは108、ドイツは150だった。2017年になると、日本の100に対して、アメリカは133、イギリス114、ドイツ178となっている。先進国のいずれとも格差は拡大している。日本の水準を指数100としているが、現実は12年間の間に低下しているのである。

 

貧困状況で暮らす子供たちが増えている

 貧困問題は途上国だけの問題ではない。世界銀行の推定では、世界の推計では、2020年に貧困の生活を強いられている人は1億1500万人に達し、2021年には1億5000万人に増えると推定している。先進国でも、経済格差の拡大で貧困問題が深刻になっている。特にアメリカの貧困問題は深刻である。OECD加盟国で2019年の貧困率は第3位である。貧困線以下で生活している人の割合は、17.8%、実数で3815万人である。アフリカ系アメリカ人の20.8%が貧困の生活を強いられている。アメリカの貧困問題は、人種問題と絡み合っている。

 

 ちなみに韓国の貧困率は16.7%の全体の7位である。先進国ではイタリアの13.9% 、カナダの11.8%、ドイツの10.4%などがある。日本は2019年の統計は同調査には載っていない。日本の貧困率は2018年で15.4%であった。貧困率の高い国に入る。ピークは2012年の16.1%である(資料:Statista Research、2021年2月9日)。韓国と大差はない。

 

 それよりも深刻なのは子供の貧困である。日本の子供の貧困率はG7の中で最高である。厚生労働省の「2019年国民生活基礎調査」では、2018年の18歳未満の子供の貧困率は15.7%であった。7人に一人の子供が貧困生活を強いられている計算になる。母子家庭世帯の貧困率は48.1%と信じられないほど高い。母子世帯の86.7%が「生活が苦しい」と答えている。ちなみに日本の貧困線は112万円である(その定義は可処分所得の中央値の半分)。この水準の所得は貧困線というよりも「飢餓線」ともいえる水準である。

 

 筆者が公立高校の評議員をやっていたとき、ある福祉関係の担当者から話を聞いたことがある。貧困家庭の子供は学習達成度が低く、生活意欲に欠けるが、福祉施設に入所し、生活習慣が改善すると成績は確実に上昇するとのことであった。子供の能力の問題ではなく、家庭の問題なのである。そうした子供は学習機会に恵まれず、貧困の再生産が起こる。政府はそれなりの政策を取っているのであろうが、成果が上がったという話は聞かない。

 

 子供の貧困と同様に高齢者の貧困も深刻である。OECDの統計では、日本の60歳以上の高齢者の約20%が貧困状況にある。

 

日本は“豊かな社会”を作り上げることができるのか

 日本は、GDPは大きいが、実態は中進国並みである。人はいつも自分を実態以上に高く評価する傾向がある。日本人は日本の経済を過大評価しているのかもしれない。

 

 日本政府は、バブル経済後の経済再建に失敗した。GDPの成長は止まってしまった。GDPが大きくならなければ国民は豊かになれない。経済学でいう“トリクル・ダウン効果”が期待できる。だが政府は経済政策に失敗しただけでなく、GDPが大きくなっても、貧しい人に恩恵が及ばない仕組みを作り上げてしまった。非正規労働者の増加である。

 

 総務省の2020年12月の「労働力調査」では、役員を除く従業員総数は5625万人であった。内訳は、正規労働者数は3534万人、非正規労働者数は2093万人であった。非正規の比率は37.2%であった。その比率はやや低下しているが、それは正規雇用への転換によるものではなく、新型コロナウイルスの影響で仕事を失った人が増えたためであろう。

 

 小泉改革以降、非正規労働が合法化され、企業は正規労働者を減らし、非正規労働者を増やすことで大幅に労働コストを削減できるようになった。同じ仕事をしながら、正規社員と非正規社員の間に大きな賃金格差が存在している。欧米のように「同一労働同一賃金制」が確立されていない状況であれば、企業が非正規社員を増やすのは当然のことである。非正規社員は賃金格差に加え、社会保険費も自己負担を迫られる。いつ契約が解除されるかという不安な精神状況に置かれる。

 

 さらに政府は「働き方改革」という言葉は美しいが、働く人に対する過酷な政策を行おうとしている。残業削減は好ましいが、多くの社員にとって残業代がなくなることは大きな収入減を意味する。短い時間で同じ仕事を処理するのであれば、労働生産性は向上したことになる。生産性向上は本来なら従業員に還元されるはずが、すべて企業が自分のものにする。「働き方改革」でも企業は労せずして労働コストを削減し、利益を上げることができる仕組みになっている。

 

 政府は、労働時間が減った社員に“副業”を進める。それは労働の“流動性”を高め、従業員の“能力アップ”につながると説く。“正業”をこなしながら、“副業”に勤しむのは容易ではない。普通の人にとって負担はさらに大きくなり、「働き方改革」とは逆の結果がもたらされるだろう。超人的な優れた能力を持つ人にとっては好ましい制度かもしれない。就業時間の短縮で収入が減った社員は、副業をしなければ、十分な所得は得られない。“強者のための制度”である。普通の社員は今まで以上に疲弊するのは目に見えている。企業は“短期的に”成果を享受できるだろうが、長期的には衰退に向かうことになる。

 

失われる“日本経済の強み”

 非正規従業員の増加や副業推奨は、日本企業の最大の利点を奪ってしまう。現場で“継続的な改善”を行うのが日本企業の強みであった。革新的なイノベーションは簡単に起こるものではない。政府が笛を吹き、旗を振り、資金を出しても、イノベーションが起こるわけではない。政府主導のイノベーションが成功したという話は聞いたことがない。日本企業は、日々の生産工程や作業の見直しを進めることでコストを削減し、競争力を付けてきた。非正規従業員や副業を強いられた従業員に、そうした貢献を期待できるだろうか。

 

 日本経済の低迷は、人々の働きが足りないからではない。GDPの70%以上を占める個人消費が低迷しているからである。既に説明したように、20年以上にわたって実質賃金の伸びは低迷している。所得が増えなければ、経済は成長しない。また将来に不安を感じていれば、消費を抑制するものである。政府は「供給サイド」を強調するあまり、「需要サイド」の問題を軽視してきたのが、長期低迷の最大の要因ではないだろうか。

 

なぜ経済政策は間違ったのか

 新自由主義は「供給サイドの経済学」と結びついている。その経済学は、供給サイドを強化することで経済成長を高めることができると主張する。供給サイドを強化するには、投資資金が必要であり、その最も効果的な政策は富裕層の減税であるとも説く。富裕層の貯蓄率が高く、富裕層は貯蓄と投資に向けるからだ。既に指摘したように、日本も含め多くの先進国では最高税率の大幅な引き下げを行ってきた。供給を増やせば、消費がついてくるというのは、古典派経済学の主張でもある(常に貯蓄と投資は一致する。すなわち供給過剰は発しない)。だが現実には消費は自動的には増えない。需要と供給は自動的に調整されない。貧富の格差は消費を抑制する。ケインズ経済学でいえば、需要が足りないから不況になるのである。ケインズ経済学は別名「需要サイドの経済学」で、需要の創出の重要性を主張する。

 

 もうひとつ、付け加えておくことがある。新自由主義あるいは供給サイドの経済学は労働市場の自由化を主張する。彼らは市場における自由競争が最適な資源配分をもたらすと信じている。彼らは、労働市場は大組合による寡占状況が成立し、賃金が硬直化していると考えた。その第一歩が労働組合潰しであり、固定的な労働協約の廃止であった。言葉を換えれば、「労働市場の流動化」である。労働者個人と労働契約を結ぶことである。労働組合は力を喪失し、企業に対する交渉権を失い、自分たちを守ることに腐心するようになる。非正規労働者は、彼らの雇用を守るバッファーとなった。組合の衰退は、労働賃金の低迷へとつながった。すべて相関した中で、現在の経済状況が起こっているのである。

 

 日本の為政者がどこまで意識して新自由主義や供給サイドの経済学に期待したのかわからない。筆者は、小泉改革が始まったとき、「20年遅れのレーガン革命」だと評したことがある。アメリカの労働市場は極めて流動的であり、レーガン革命を受け入れる経済的、社会的基盤が存在した。日本の悲劇は、そうした現状認識のないままに、上澄みだけを汲み取って日本に導入したことだ。そのツケは、これからますます大きくなっていくだろう。

 

 もうひとつ日本特有の問題を指摘しておくべきだろう。それは、貧困は自己責任だとする意識が強いことだ。弱者に対する共感性の欠如が日本社会の特徴だというと、反論されるだろうか。

 

平等な社会こそ成長の原動力である

 経済に関する記事で『論語』を持ち出すのは違和感があるかもしれない。『論語』に「寡(すくな)きを患(うれ)えずして均(ひとし)からざるを患う」という言葉がある。その言葉をベースに、日本で「貧しきを憂えず、等しからざるを憂う」という言葉が作られた。現代的に解釈すると、「経済成長が足りないと騒ぐのではなく、不平等が存在することを心配すべきである」となる。『論語』の言葉はさらに続く。「富が平均すれば、貧しいこともなくなる。人心が安定すれば、国が傾くことはない」。人々が将来に不安を抱くことがなくなれば、間違いなく消費は増える。最近の経済学は“期待(expectation)”の要素を重視するようになっている。個人消費も所得水準だけでなく、将来に対する期待や気持ちで左右されるのである。孔子は「経世済民」(=経済)の本質を見抜いていた最初の人物かもかもしれない。現代的な言葉でいえば、「中産階級」の存在こそが経済発展の原動力なのである。

 

 働く人は二つの顔を持つ。一つは「労働者」としての顔であり、もう一つは「消費者」としての顔である。労働賃金を削減することは、消費を低迷させることになる。経済学のいう「合成の誤謬」である。企業にとって良いことが、経済全体にとって良い結果をもたらすものではない。金利や法人税引き下げで、企業は大きな利潤をあげ、巨額の利益を内部留保している。その一方で賃上げに反対している。こうした状況が続けば、「企業は栄え、経済は滅びる」ということさえ起こりかねない。

 

 新自由主義は競争こそが成長の原動力だと説く。富める者は限りなく富めば良いと勧める。金持ちこそ経済成長の原動力だと強弁する。そして貧富の格差は限界まで拡大した。だがアメリカが最も豊かで、黄金時代を享受したのは、限界所得税率が90%を超えていた1940年代と50年代である。アメリカが最も平等であった時代でもある。

 

 日本も世界で最も平等な社会だと言われた時代があった。それは日本が最も成長した時代でもある。豊かな社会は、健全な中産階級があって初めて可能なのである。働く人を軽視する社会が豊かになれるはずはない。

 

 日本が再び経済大国であると胸を張って言えるようになるには、経済政策と社会政策を根本的に見直し、日本をどんな社会にするのか明確なビジョンを語る必要がある。政権維持だけが目標で、常に詭弁を弄する政府に、それを期待するのは無理かもしれない。

 

 昨年の12月に亡くなられた三菱商事の槇原稔元社長は「日本の不況はコーポレート・ガバナンス不況だ」と書いておられたのを記憶している。まったく同感である。企業経営者の劣化とビジョンの欠如が日本経済の長期的低迷の背景にあるのは間違いない。経済を作るのは政府ではなく、企業家である。残念ながら、筆者は社会哲学やビジョンを語れる経営者は一人も知らない。

 

1971年国際基督教大学卒業、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)、東洋経済新報社編集委員を経て、フリー・ジャーナリスト。アメリカの政治、経済、文化問題について執筆。80~81年のフルブライト・ジャーナリスト。ハーバード大学ケネディ政治大学院研究員、ハワイの東西センター・ジェファーソン・フェロー、ワシントン大学(セントルイス)客員教授。東洋英和女学院大教授、同副学長を経て現職。国際基督教大、日本女子大、武蔵大、成蹊大非常勤講師。アメリカ政治思想、日米経済論、マクロ経済、金融論を担当。著書に『アメリカ保守革命』(中央公論新社)など。contact:nakaoka@pep.ne.jp