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韓国、「大寒波」来年の輸出増加率、IMFはゼロ予測 今年の3%台後半から「激落」

2022-10-31 14:06:33 | 日記
勝又壽良のワールドビュー
好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

韓国、「大寒波」来年の輸出増加率、IMFはゼロ予測 今年の3%台後半から「激落」

2022年10月31日


  • 韓国経済ニュース時評アジア経済ニュース時評

   
韓国経済は、輸出が屋台骨を支える構造である。その頼みの輸出は、来年は増加率ゼロという厳しい見方が出てきた。

IMF(国際通貨基金)アジア太平洋局長の予測である。中国経済の不振や半導体市況の急落などが、輸出に大きな影響を与えるものと見られる。

『東亜日報』(10月26日付)は、「IMFアジア太平洋局長『物価は今年がピーク』」と題する記事を掲載した。

来年度の韓国輸出の伸び率が0%まで下がるだろうという国際通貨基金(IMF)の予測が出た。

(1)「IMFのクリシュナ・クリシュナ・スリニバーサン・アジア太平洋局長は25日、韓国銀行で「グローバル経済と韓国」をテーマに記者懇談会を開き、「来年度の韓国輸出は低迷すると予想される」としたうえで、このように話した。

スリニバーサン氏は、今年は3%台後半の韓国の輸出成長率は、来年度は0%に迫るだろうと見込んだ」

韓国は、輸出が支える経済である。

輸出増加率ゼロ%は、輸出企業へ大きな打撃になる。

雇用悪化から、内需へ負の影響を与える。

半導体市況は、来年前半までの急落は不可避である。

この間にしっかりと在庫調整が進めば、後半から回復の芽も期待されるとしているが不確かである。

中国は、韓国の最大輸出先だ。

「共同富裕論」で競争よりも平等実現という理念を言い始めた。経済実態の悪化をカムフラージュしているに過ぎない。

(2)「スリニバーサン氏は、「韓国は、世界の実体経済や金融市場環境から大きな影響を受けてきた」とし、

「交易条件のショックや米国の通貨緊縮などが、(否定的な)影響を与えている」と理由を説明した。

その上で、IMFは来年度の韓国の経済成長率の予測値を2.0%で、従来よりも0.9%ポイント下方修正したと説明した。

IMFは、来年の韓国成長率を2.9%から2%へと3分の1も引下げた。

これは、未だ甘いと見るべきだ。

輸出ゼロ%では、設備投資も延期されるし賃上げも小幅になろう。高金利下であることもマイナスだ。

(3)「スリニバーサン氏はさらに、「前月比消費者物価の上昇率は下がる傾向が出てきており、物価は今年にピークに達し、徐々に2024年頃は目標水準に戻るだろう」とし、「成長への影響は避けられないが、緊縮を通じて必ずインフレに真っ向から対応することが重要だ」と呼びかけた。

スリニバーサン氏は、さらに「政府負債が国内総生産(GDP)の55%水準まで増えたと理解しているが、中期的に財政政策の基準を定め、信頼を守っていくことが重要だ」とも勧告した」

物価は、今年がピークとしている。来年以降に低下すれば、それに応じて、金利引き下げも可能になる。ただ、引下げるときは「小幅」が原則である。設備投資は、金利が底であることを確認して再開されるであろう。

いずれにしても、韓国経済が厳しい局面にあることは確かである。

韓国政府は、80分間の景気対策会議をTVで公開して、国民に理解を求めるという「広報」を始めている。

『東亜日報』(10月31日付)は、「尹大統領主宰の非常経済会議『危機克服』の信頼を提供できなかった80分」と題する記事を掲載した

尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が昨日、龍山(ヨンサン)の大統領室の2階で主宰した第11回非常経済民生会議がテレビで生中継された。

これまでは大統領の冒頭発言が終われば非公開に転換されたが、今回は80分ほどの会議内容が丸ごと公開されたのだ。

グローバル経済危機の状況で、政府がどのような悩みを抱えており、経済に活力を吹き込むためにどのような対策を立てているのか、国民に率直に知らせようという趣旨だった。

(4)「今回の非常経済会議に注目が集まったのは、ただテレビでの生中継という形式のためだけではない。

経済の不確実性が日増しに大きくなる状況で、新政府がどのように危機を突破しようとしているのか、直接聞くことができる機会だった。

そのような点で、今回の生中継は初めての試みという点で多少意味があったかも知れないが、内容の面では少なからぬ残念さを残した。各省庁の政策を並べる水準に止まったためだ」

政府の非常経済会議が、テレビでの生中継されるほど緊迫感が迫っている証拠だ。

これは、「貴族労組」への過激な賃上げ闘争をけん制する意味もあろう。

貴族労組の高賃上げが、大企業の下請け単価の切下げとなって、中小企業経営を圧迫するからだ。

韓国の個人消費の対GDP比は、46%(2020年)と日本よりも10ポイント低いのが現実だ。

最近の韓国は、一部企業の賃金が日本を上回ったと自慢している。

それは一握りの企業だ。

何よりも、個人消費比率の低さがそれを証明している。

「パラサイト」を生んだ韓国、格差社会の妙なカラクリ

2022-10-31 13:50:32 | 日記
「パラサイト」を生んだ韓国、格差社会の妙なカラクリ


2020.07.03

空にも続きそうな上り坂。坂の両脇には低層の、同じくらいの背丈の建物がすき間なく並んでいて、傾斜に耐えて踏ん張っているようにも見える。

坂を上っていくと、半地下のあるアパートも目に留まった。

ひょいと主人公のギテク(ソン・ガンホ役)が現われそうな。映画に登場した「ウリスーパー」はそんな町にあった。

2020年2月に行われた第92回アカデミー賞で、非英語作品初の作品賞に輝き、脚本賞、国際長編映画賞、監督賞まで総なめにした韓国映画『パラサイト 半地下の家族』。

今や世界の映画となり、米国ではドラマ化も決まったとか。

もちろん、韓国でも19年5月の公開から観客動員数1000万人を突破する大ヒットとなり、人気のロケ地探訪コースまでお目見えしている。

"パラサイト一家"が住んだ町とは、どんな町なのだろう。訪ねてみた。

今回歩いたのは、「ウリスーパー」がある「阿峴洞(アヒョンドン)」。

最寄り駅はソウル市庁から地下鉄でひと駅、ソウル市の中心部にある。ちなみに「洞」は韓国語で町という意味だ。

映画ではウリスーパーとして登場した「テェジスーパー」

「ウリスーパー」は、ギテクの息子・ギウが同級生から家庭教師の話を持ちかけられた場所。悲劇はここから始まった。

娘のギジョンが桃を手に入れるのもこの店だ。

その桃を持ってギジョンが上る急階段もこのスーパーの近くにある。

余談だが、ギウに家庭教師の話を持ちかけた同級生は、最近人気のドラマ『梨泰院クラス』で主役を務めたパク・ソジュンが演じている。


最寄り駅からてくてく歩いて7~8分ほど。勾配の急な坂をえっちらおっちら上っていくと、坂のちょうど真ん中あたりに店が見えてきた。

ギジョンが上った急階段

正面に立つと、年季の入った看板といい、軒先に並べられている棚といい、なんともシュール。

韓国人の知り合いに聞くと、1970~80年代くらいの佇まいなのだそうだ。日本でいえば昭和の雰囲気といったところか。

本来のスーパーの名は「テェジ(豚)スーパー」だ。

韓国では豚はかわいらしいイメージで、さらにはオカネを運んでくれる縁起のよい動物。

商売を始めるときは豚の頭を飾って、お祝いに訪れた人々が豚の口にお札を入れて店開きを祝ったりする。

スーパーの横の壁には、『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞を受賞した時の写真が横断幕になってかけられていて、記念撮影ができる場所まで用意されていた。

横断幕には「パラサイト撮影場所」と書かれている
店主のイさんが言う。

「もう世界各国から観光客が来ましたよ。でも、日本からの観光客が一番多かったかな。今はコロナで来ませんけど。撮影は2週間ぐらいしていました。(道路の反対側を指して)不動産屋の横にテント張って、映画の監督さんってメガホン持って、大声出して、じっと座っているだけだと思ったら、ポン・ジュノ監督は歩き回る、歩き回る。いろいろ細かく指示だしていて、へえ、監督さんって動き回るんだなあ、なんて思って見ていました」

撮影したのは2年前の18年5月。

スタッフがソウル市内からいくつも選んだ候補地のひとつだったそうだ。

映画にでてきたワンシーンとして描かれた絵。

小さいサイズは1000円、大きいサイズが2000円

イさんが阿峴洞に移り住んだのは45年前。店を構えたのは36年前からだという。

「当時(70~80年代)、このあたりは低い韓屋(ハノク、瓦屋根の平屋)ばかりだったのが、住宅不足とやらで韓屋を壊して連立住宅(ビラともよばれる低層アパート)に次々に代わっていきました。

半地下はこのあたりにもいっぱいありますよ。防空壕? そんな話は知らないけど、連立住宅を建てたときに駐車場として作ったのが、当時は車を持っている人なんて少ないでしょ。

だから、家主が役所の許可をとって部屋にしちゃったっていう話はたくさん聞きましたね。みんな古い建物ですよ。今は再開発を待っている状態です」

低層アパートの半地下

半地下ができた背景は諸説ある。

北朝鮮の工作員が韓国の大統領府「青瓦台」を奇襲した事件(1968年)が起き、当時の朴正熙大統領が来たる対北戦争に備えて防空壕として作らせたという説や、80年代の高度成長期に入りソウルに人が集中すると住宅不足が深刻となり、そのためにできた産物だ、とか。いずれも正確なところは分からないが、イさんの話は後者のようだ。



起伏の多いソウルでは、勾配のある一帯に韓屋が数珠のように連なって並ぶ町を「タルドンネ(月の町)」と呼んだ。なんとなくロマンチックな響きもあるが、月が上がってくると最初に見られるほど不便な高台にあって、建物が低いため月の光に煌々と照らされることを皮肉ってそう呼んだそうで、貧しい集落という意味合いがあった。
しかし、それも今は昔。韓屋は低層アパートへと代わり、それがさらに『ジャックと豆の木』のごとく、上へ上へと伸びて、ソウル市内は高層マンションやビルが建ち並ぶ町に刻々と変貌を遂げている。
阿峴洞の街並み
ここ「阿峴洞」も例外ではないそうで、
「10年前くらいに再開発の話が持ち上がって、ようやく現実化してきている」
そんなことをイさんは言っていた。
ソウルは韓国の全人口のおよそ5分の1の人が住んでいる、まさに一極集中都市。住宅不足が続いていることなども背景に、限られた土地から最大の利益を生み出すために、地主とディベロッパーによって再開発がどんどん進められているのが現実だ。
近くの不動産屋で話を聞いてみると、開発地区となっているここには2700戸ほどがあって、坂のてっぺんあたりの家でも、なんとひと坪1000万円くらいすると聞いてびっくり! いやあ、失礼ながら、タイムスリップしたような古い町並みに、いくら市内中心部とはいえ、そんなにするとは想像もしていなかった。  
「再開発を前に価格が2年前頃から急騰していて、今じゃ再開発を狙って投資したいという人はうじゃうじゃいますが、売り手がいない状態。このあたりの平均の坪単価は5000万ウォンから1億ウォン(約500万~1000万円)、もしくはそれ以上しますから、昔から住んでいる人は再開発をじっと待って、まとまったおカネはこどもたちに残して、自分たちは郊外へ引っ越す人が多いんです」(阿峴洞にある不動産屋)
半地下を借りている人はさまざまだが、若い層もけっこういるという。
「ここはオフィス街にも近い場所ですから、おカネをセーブしようと借りる人も多いし、映画にでてくるような家族が住めるような広い半地下はあまりありませんからね。このあたりの半地下はチョンセで5000万ウォン(約500万円)。政府からの貸し出し支援もでますが、ある程度の余裕がないと借りられませんね」(同)
ソウルにはいくつもの再開発地域がある。映画でギテク一家が内職していた「スカイピザ」のある鷲梁津
チョンセ(伝貰)は過去の金利が高かった頃に定着した韓国独特の賃貸システムで、つまりは保証金のようなもの。入居時に一括で支払えば管理費のみで月の家賃はなく、退去時には全額返金される。家主はこのチョンセを運用して収益を出す仕組みなのだ。ただ、金利が下がってきた最近はウォルセ(月貰)と呼ぶ月の家賃にシフトしているところも増えている。
「坂の向こう側はもう再開発が終わっていますよ。ここもあんな風に変る予定。映画では貧困の家族が住む町のロケ地になりましたけど、こう見えても実際は再開発が予定されているので、このあたりに家がある人たちはお金持ちなんですよ」(同)
そんなことを言われて、とりあえず、さらに坂をのぼってみた。
てっぺんが近づくに連れ、高層マンションがどんどん迫ってくる。のぼりきるとソウル駅も視野に入る一帯には高層マンションが林立していた。坂をそのまま下っていくと、建ち並ぶお店も図書館などもピッカピカ。たまたまなのか、マンションからはBMWやベンツなどの外車が立て続けに出て行った。
「ウリスーパー」のある町も、いずれはこんな姿に変わってしまうのだろう。てっぺんを境に広がった、まったく異なる風景を見ながら、ふと思った。
長い階段は韓国の格差社会を象徴しているといわれる(パラサイトの撮影場所、鍾路区)
ポン・ジュノ監督は「映画で『格差社会』を描いた」といわれたが、格差を生み出す「社会の妙なカラクリ」という現実に存在する仕組みをコメディやスリラーという側面から描こうとしたのかもしれないなあと。
ギテク一家の町のリアルな反転。
もう一度、映画を見なくては!
それにしても、米国ドラマでは「半地下」をどんな風に描くのだろう?
(文・写真:ノンフィクションライター 菅野朋子)



韓国の「製造業労働者の高齢化」は日本以上に速い

2022-10-31 13:28:27 | 日記
韓国経済 com

韓国経済を中心に北朝鮮・中国・台湾・日本そしてアメリカの経済状況を掲載するサイトです。

韓国の「製造業労働者の高齢化」は日本以上に速い

韓国の製造業労働者の平均年齢は43歳で、最近10年間で3.8歳高くなったと分析された。 

26日、全国経済人連合会(全経連)が2001年以後の韓国国内の製造業労働者の年齢別割合を分析した結果によれば、50歳以上の高齢労働者の割合は2001年の11.0%から2021年には31.9%となり、3倍近く大きくなった。

50代の割合が9.0%から23.9%へと最も大きくなり、60歳以上は2.0%から8.0%へと増加した。40代は25.4%から27.0%で若干増えた。

その反面、青年労働者(15~29歳)の割合は2001年の29.7%から2021年には14.8%と半分の水準に下がり、30代の労働者も33.9%から26.4%に減った。

韓国の製造業労働者の高齢化は、日本や米国より急速に進んでいると全経連は分析した。

一方、同じ期間に日本は41.6歳から43.1歳へと1.5歳高くなり、米国(44.1歳→44.2歳)はほとんど変化がなかった。

国際比較が可能な2011年以後について韓国・米国・日本の3カ国を分析した結果、韓国の製造業労働者の平均年齢は2011年の39.2歳から2021年には43.0歳となり、10年間で3.8歳高くなった。

経連は「このような傾向が続けば、韓国の製造業労働者の平均年齢が代表的な高齢化社会である日本を今年にも追い越して、2025年頃には米国より高くなるとみられる。

製造業の高齢化による人件費上昇など、労働費用増加のスピードが労働生産性向上のスピードより速い点が問題になりうる」と診断した。 

日本での高齢者社会対応を間違うと逆に先進国家レベルが低下する。

今は製造作業或いは軽作業などを無人化することが望まれる。

アルバイトや海外研修生の活用も間違った部分が多々ある。

岸田政権下では昔の低コスト人材で雇う方法が加速し、逆に賃金格差が拡大するとみる。

必要なところに必要な人材と言うのは無駄なところへの配置ではない。

出来るだけ無人化システムが可能なところは実施すべきで、そういう部分への投資は不可欠。

高齢者業務も改革が求められるほか、政府内或いは企業内でも議論すべき。

 例えば自動車産業等でEV化が加速すれば、多くの従業員は職を失うわけで、環境配慮した自動車産業の加速次第では、大きく変化する時代となる。

一方で開発技術が加速すれば、新たなクリーン技術で、様々な対応が可能となり、関連する産業の加速で必要な人員の確保が要求されることになる。

その分岐点にきていると考えれば、企業が投資する部分と、政府が投資する部分は、しっかりとしたロードマップが求められる。



中国「習近平」政権“瓦解”のサイン 権力基盤の脆さを露呈した「胡錦涛」途中退場の真相

2022-10-30 17:36:45 | 日記
中国「習近平」政権“瓦解”のサイン 権力基盤の脆さを露呈した「胡錦涛」途中退場の真相

10/30(日) 11:03配信

驕る者は久しからず(習近平総書記)
 10月22日の中国共産党大会閉幕式で起きた胡錦涛・前総書記の“強制退場劇”――。

その真相をめぐって様々な憶測が飛び交うなか、改めて映像を注意深く見てみると、いくつかの「新事実」に気付く。

それは異例の3期目へと突入した習近平政権の権力が薄氷の上に立つことを物語っていた。 

 注目を集めているのがシンガポールのチャンネル・ニュース・アジアが撮影した3分弱の中継映像だ。

そこには以下のような場面が映し出されている。 

 習近平総書記の隣に座る胡錦涛氏が目の前の机に置かれた書類を見ようとすると、左隣の栗戦書・全人代常務委員長が手を伸ばして書類を自分のもとに引き寄せる。

まるで胡氏の目に触れないようにしたかに見えるが、この間、栗氏はずっと胡氏に何かを囁いていた。

しかし胡氏は状況が理解できないのか、怪訝な表情を浮かべたままだ。 

「その後、習総書記の護衛官とおぼしき男性が胡氏のもとに歩み寄って退席を促します。しかし胡氏がなかなか動こうとしないので、党中央委員会総局の副局長も駆け寄り、腕を取られる形で胡氏はようやく立ち上がりました」(全国紙外信部デスク) 

 退席する際、胡氏は習氏に何かを語りかけ、その隣に座る李克強首相の肩にソッと手を置いて、会場をあとにした――。

苛立つ表情を見せる習総書記


 中国共産党ナンバー2の要職にある李首相だが、今回の党大会で最高指導部から退くことが固まっている。

 「かつて胡氏の“意中の後継候補”と見られていた李氏ですが、習氏との後継争いに敗れ、来春には完全引退する見通しです。

胡氏の手元にあった書類は赤い表紙のもので、中国では重要書類によく用いられることから、新指導部の人事が記載された書類だったとの情報がある。

そのため自分に近い李氏が引退することを事前に知らされていなかった胡氏が、新指導部メンバーを確認して“混乱”が起こるのを防ぐため、なかば無理やり退席させたという憶測が流れています」(同)

  一方で、映像をよく見ると意外な事実に気付くと話すのは、中国事情に詳しいシグマ・キャピタル代表取締役兼チーフエコノミストの田代秀敏氏である。

 「私が注目したのは、胡氏の退席までの間、習総書記が終始、苛ついたような表情を見せていたことです。

それはまるで、議事が予定通りに進行しないことに苛立っているように映ります。

また胡氏の書類を取り上げたように見える栗氏の表情にも慌てたような狼狽の色が浮かんでいる。

さらには退場したあとも胡氏の名札と茶碗はそのままにされ、閉幕式が終わるまで習氏の向かって右隣は空席のままという異様な光景が映し出されていた。

これらが意味するところは、胡氏の退席はあらかじめ計画されたものでなく、突発的なアクシデントだった可能性が高いということです」

習近平と胡錦涛「本当の関係」

 中国メディアは今回の件を「体調不良が原因」としているが、胡氏に健康不安説が浮上していたのは事実という。 

「昨年7月に北京の天安門広場で行われた共産党結党100周年記念式典に胡氏も出席しましたが、付き添いを必要とし、手が激しく震える場面なども目撃されています。

パーキンソン病やアルツハイマーを疑う声は以前からありました」(前出・外信部デスク) 

 ただし“たとえ病気だったとしても、前総書記にあんな仕打ちをするはずはない”といった声も根強い。

 「胡錦涛氏までの総書記はすべて鄧小平が指名することで正統性が担保されてきましたが、習総書記は各勢力の“妥協点”として総書記に選ばれた経緯があります。

そんな習氏にとって胡氏はあくまで前任の最高指導者に過ぎず、自分を引き上げてくれた恩人でも、無条件の忠誠を誓った相手でもありません。

党大会という5年に一度の最も重要な会議で議事進行の妨げとなるなら“丁重にお引き取りを願う”のも厭わない――そんな関係性にあります」(田代氏)

  田代氏が続ける。 

「一部で“胡氏を見せしめとして退席させた”との説が流布していますが、自分の権威を誇示するのが目的なら、最初から胡氏を党大会の雛壇に座らせないほうがインパクトがありました。

今回の退席ハプニングで、3期目の門出を祝うはずだった大会に“傷”が付いた格好になり、習総書記ら新指導部にとっては“大失態”だったと考えるほうが自然です」

ライバルが公然と“反旗”のポーズ

 実は田代氏が胡氏の退席よりも驚いたのは、映像の最後に映る「次の首相候補」との呼び声が高かった胡春華・副首相の姿だったという。 

「胡春華氏は16歳で北京大学に入学し、20歳で総代として卒業した“超”の付く秀才。

胡錦涛氏や李克強氏と同じく、党のエリート養成機関・共産主義青年団のトップを務め、すこし前まで“次の総書記の大本命”と目された人物です。

その彼が今回、ヒラの中央委員に降格されてしまった。

どのメディアも指摘していませんが、胡氏が会場をあとにする間際に映る胡春華氏は口を真一文字に結び、憮然とした表情で腕組みしています。

党の最も重要な行事である党大会の雛壇でこんな態度を示すのは前代未聞。

無言の“抗議のポーズ”ではないかと受け止められています」(田代氏)  

ライバルが公然と“反旗を翻す”様子が世界に流れ、「波乱の船出」の印象を強める結果となった今回の党大会。

つねに権力闘争を繰り返してきた中国共産党の歴史において「絶対安定」が実現したことはなく、退席騒動もまた、習近平の前途が多難に満ちたものであることを示唆している。 

デイリー新潮編集部
新潮社

支持率急落の韓国 経済が3重苦で大変

2022-10-30 17:12:56 | 日記
支持率急落の韓国 経済が3重苦で大変

8/22(月) 11:00配信

政争してる暇はない

尹大統領=CC BY /대한민국 대법원

 今年5月に発足したばかりの韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の支持率が急落の一途をたどっている。

6月第二週には53%と高水準にあったが、その後は下落を続けて、8月5日の韓国ギャラップ調査では24%と就任後の最低を更新した。

  歴代政権にとってレームダック(死に体)とみられてきた30%をも割り込む結果である。

一方で不支持率は66%に達した。

与党「国民の力」の支持率も34%と政権発足後初めて最大野党「共に民主党」の支持率(39%)を下回った。 

 支持率急落の最も大きな要因は、検事総長であった大統領が周りを親族や検察出身者で固めるといった人事の在り方と与党「国民の力」の李俊錫代表を解任する動きが起きるなど与党の内紛にある。

  もともと、尹大統領と李代表の折り合いは悪かった。

これに党内の性的接待疑惑に端を発する処分問題が尾を引いたようだ。

李氏が反尹錫悦を旗幟鮮明にすれば政権の危機は深まっていくであろう。

  しかし、そもそも政局の混乱を起こしている余裕がないほど、韓国経済は短期的にもインフレ亢進、成長率の低下、高級マンションを中心とした不動産価格の上昇など難題に直面している。 

 韓国の景気は、世界的な半導体需要の拡大を受けて緩やかな回復過程にあった。

しかし、先行きはウクライナでの戦争、欧米景気の下振れ、サプライチェーンの混乱などが重なって成長率の鈍化が予想されている。

IMFでは韓国の22年の成長率を2.3%と潜在成長率(韓国銀行の試算で2.5%程度)並みに低下すると予測している。 

 第一の不安材料は中国である。

米国のペロシ下院議長が訪韓した際に夏休みを理由に尹錫悦大統領との面会を断っているが、これは中国との緊密な経済関係を考慮したものと言われる。

いまや中国は韓国の貿易相手として最大の存在であり(輸出の25%、輸入の23%)、中国の歓心を買わなくてはならないからだ。 

 しかし、その中国はゼロコロナ政策の下で厳格なロックダウンなどの影響で景気が減速しており、これが韓国経済にも大きな影響を与えそうだ。

  加えて、尹政権は、保守派として前任の左派革新系の文在寅(ムン・ジェイン)政権とは対照的に、米国との同盟強化と北朝鮮への厳しい姿勢を打ち出している。

  つまり、中国に対しては一種の「政経分離」を図っていきたいと虫のいい願望を示していると言えよう。

果たして強面(こわもて)の習近平政権に通用するであろうか不安視されるところだ。 

 第二の不安材料は国内のインフレ亢進である。

韓国の消費者物価指数(CPI)上昇率(前年比)は4月が+4.8%、5月が+5.4%、6月が+6.0%と期を追って上昇率を高めている。

  6月の水準はアジア通貨危機で韓国ウォンが投機筋から狙い撃ちにされて暴落、その影響で物価が高騰した1998年以来24年ぶりの水準となっている。

エネルギー、食品価格のほか、電気・ガス・水道料金など軒並み高騰している。 

 こうした中、韓国銀行は21年8月以来利上げを実施してインフレ抑制に努めている。とくに7月13日の利上げはインフレが高進している最中にあって、上げ幅は初の0.5%という大幅なものとなった。

政策金利の水準は2.25%となった。

  韓国銀行の李総裁は、利上げの背景として物価上昇圧力の高まりを挙げているが、このほか、FRBの利上げを通じる米韓の政策金利逆転に伴う資本流出増大とウォン安阻止も狙いに含まれていよう。

  加えて、長期にわたる低金利が家計債務を中心に急増してマンションブームの過熱などを起こした金融不均衡の是正も背景にあるものとみられる。

ちなみに韓国ウォンは世界的なドル高の中で1ドル=1,300ウォンの安値圏で推移している。

  李総裁は国会の業務報告でインフレのピーク時期は秋口の10月頃としたうえで今後も利上げを継続する意向を示した。従って、利上げの進行が今後、国内需要の冷え込みをもたらすものと予想されている。 

 第三は中長期的な課題である少子高齢化の進展が始まっていることだ。

合計特殊出生率は、最近4年連続で1.0を下回ってきたが、21年は0.81と過去最低を更新した。

日本(1.34)、OECD平均(1.61 )を下回る世界の中でも最低水準の部類に属する。 

 晩婚化、子供の受験競争、住宅難などが少子化に影響を及ぼしている。

ちなみに21年の婚姻件数は20万件を割り込み、統計開始以来の最低水準となっている。

一方で出生数が死亡数を下回るという事態が20年に初めて起きた。

21年もこの自然減が5.7万人とさらに拡大している。  人口の減少は一般的に潜在成長力の低下をもたらすとともに社会福祉費用の増大につながると言われる。

とくに韓国の場合は公的年金制度が不十分であり、これを是正しないと高齢者の貧困問題が深刻になるとみられる。 

 ただでさえ貧富の格差が大きい韓国でさらに新たな貧困問題が拡大して社会不安を助長しかねない。 

 韓国の皆年金制度の導入は2006年と日本(1961年)より50年近く遅れている。

高齢者(65歳以上)の受給率は53%に過ぎない。

しかも男女格差が大きく、男性の72%に対して女性は38%に過ぎない。  専業主婦の加入が任意にとどまっている影響が大きい。

国民年金の受給額(月平均)も40万ウォン程度(4万円)と少ない。

これは国民年金の保険料率が9%(使用者4.5%、加入者4.5%)と公務員年金(同8%、8%)などとの「官民格差」が大きいことと平均加入年数も少ないためだ。

  これが韓国における相対的貧困率(可処分所得が中央値の半分未満である世帯人口が総人口に占める比率)が40%を越えるというOECD加盟国の中でも極めて高い(OECD平均は14%)状況を作り出している。

  IMFでも「韓国では高齢者の貧困問題に対応する年金制度の確立が必要である」と指摘している。 

 歴代政権は人気取りに結び付く補正予算の大盤振る舞いをしてきた。

とくに新型コロナ感染の拡大から補正予算編成は20年度が4回(総額70兆ウォン)、21年度が2回(総額50兆ウォン)、22年度が2回(総額79兆ウォン)と合計8回にわたっている。

  すでに一般政府の債務残高は967兆ウォン、GDP比47%に達している。 

 もちろん、感染症防止、景気対策も必要であるが、多額の財政支出を伴うであろう社会保障分野の中長期的な青写真を描いていくのが現政権の最大の責務であろう。

  さらには財閥一辺倒、輸出偏重の経済構造を変革していくこと、経済安全保障の観点からも中国への傾斜を見直すこと、など政権の課題は山積している。

韓国の政界も本来は政争に明け暮れてる暇はないはずだ。

俵 一郎 (国際金融専門家)