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韓国、2050年に高齢者世帯が全体の半数に。貧困問題に歯止めは?

2023-05-23 12:01:41 | 日記
韓国、2050年に高齢者世帯が全体の半数に。貧困問題に歯止めは?

海外の介護事情 社会問題 高齢者の一人暮らし

公開日 2022/06/30


世界一の長寿国である日本。1995年に高齢社会となり、2010年には世界に先駆けて65歳以上の高齢者の割合が人口の21%以上である「超高齢社会」になりましたが、それ以上のスピードで高齢化が進んでいる国があります。

それはお隣の国、韓国。2018年に高齢社会となった韓国は、2025年には超高齢社会に突入するという予測もあるのです。

さらに、今月28日には韓国の統計庁が「2050年には全世帯の半数が高齢者世帯となる」という推計を発表。特に単身の高齢者世帯が増える見込みだそうです。

Contents
  • 1 高齢者世帯が半数に
  • 2 さらに暮らしは苦しくなる?
高齢者世帯が半数に

今月28日、韓国の統計庁が「将来世帯推計 全国編 2020~2050年」を発表しました。

それによると、2020年時点での韓国の総世帯数は2073万1000世帯。
2039年には2387万世帯まで増えているものの、2040年から減少をはじめ、2050年には2284万9000世帯まで減るそうです。

ちなみに、韓国の総人口は2020年の2万5184人でピークを迎えて、現在は減少に転じています。

さらに、現在は30代以下の若者が多い単独世帯も、2050年には高齢者の単独世帯が最も割合が大きくなると見込まれています。

具体的には、65歳以上の高齢者の単独世帯は、2020年の161万8000世帯から2050年に467万1000世帯に。この30年の間で305万世帯も増えるそうです。

合わせて、韓国の全世帯のうち高齢者の単独世帯が占める割合は、2020年の7.8%から2050年には20.4%に増加。

夫婦で暮らしている場合を含めた「高齢者世帯」は、2020年の22.4%から2050年の49.8%まで増えるという予測が出ています。

さらに暮らしは苦しくなる?

「ひとり暮らしの高齢者が増える」という推計でさらに懸念されるのが、高齢者の貧困問題です。

韓国では公的年金の受給率が約50%と低く、半数の高齢者が年金の恩恵を受けていないのが実情。

日本よりも年金制度の開始が遅かったこともあり、受給面で浸透していないようです。

こうした状況となっている背景には、高齢者の多くが自分の子どもや親戚からの仕送りで生活費をまかなっている現状があるため。

しかし、過去よりも子どもが減っていたり若年層の就職も難しいこともあり、このような仕送りに頼ることも厳しくなっています。

さらに、韓国では結婚しない若者が増加。このような若者が高齢になったときに、誰かの仕送りに頼って生活することは難しいでしょう。

この記事の執筆者
いい介護 編集部

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韓国、日本へ「急接近」 経済連携強化が目的 自国衰退へ「ヘッジ狙う」

2023-05-22 10:34:50 | 日記
メルマガ465号 韓国、日本へ「急接近」 経済連携強化が目的 自国衰退へ「ヘッジ狙う」


2023年05月22日


  • 韓国経済ニュース時評日本経済ニュース時評
   
人民元安がウォン安要因へ
韓国が日本に期待する3点
日本半導体は飛躍期迎える
世界の機関投資家が日本へ

韓国ユン政権は、発足1年で冷え切った日韓関係の正常化にこぎ着けた。韓国は、保守政権ゆえに日本政府との話し合いが軌道に乗ったものだろう。

左派政権であれば、相変わらずの「日本罵倒」が続いていたに違いない。

現在の左派と日本では、考え方が180度も食い違っている。話し合いができる雰囲気でないのだ。

ユン政権は、経済を理解できる内閣だ。

文政権では、経済知識がほとんどゼロの「空想的社会主義」に酔っていた。

それが、政権交代に伴い一転して、韓国経済の将来が極めて不透明であることに気づかされたのだ。その不透明要因を挙げると、次のようになろう。

1)人口高齢化が日本より早いこと
2)米中対立激化で対中輸出が不透明なこと
3)中国経済の長期停滞が明らかになってきたこと
4)韓国半導体素材の4割が日本依存であること

前記の要因を並べれば、韓国経済が緊急事態にあることを告げている。

韓国左派が、日本に対して謝罪せよとか賠償金を払えと言っていられる状況でないのだ。

ユン政権は韓国にとって、過去を持ち出すよりも未来に焦点を合わせ、日本と協力することが死活的重要性を持つことに気づいたのだ。

この裏には、ユン氏が検察出身で証拠という「合理性追求」を職業としてきたことも大いに預かっている。

文・前大統領は、社会派弁護士出身ゆえに証拠より感情に訴えてきた面がある。感情論で反日論を展開したのだ。

人民元安がウォン安要因へ

韓国経済が、中国経済と「双子関係」にあることは、外国為替相場の相似性にも表れている。

最近、人民元相場は安値展開であるが、ウォン安を招いているのだ。韓国経済は、中国経済の動きに左右されるのである。

人民元安は、習政権が経済振興よりも安全保障重視へと大きく舵を切っている結果だ。

不動産バブル崩壊と3年間のゼロコロナ政策の後遺症が、年初来の景気回復の足取りを重くしている。

それが、4月以降さらに顕著になった。

普通の政権であれば、景気刺激策を取るはずだが、習氏はあべこべなことを始めている。

「反スパイ法」強化(実施は7月1日)で、スパイ取締り機関の国家安全省が、コンサルなどの外資系企業へ立ち入り調査を行い、関係書類を持ち出すし圧力を掛けているのだ。

これは、外資系企業への「嫌がらせ」であり、間接的に海外企業の中国進出へ拒否姿勢を見せているに等しいのだ。

地方政府は、必死になって外資系企業に対中進出を呼びかけているが、先の「嫌がらせ」行為が逆効果になっている。これでは、中国経済が成長軌道に復帰する可能性を押し潰すことになる。人民元売りが、激しくなるは当然であろう。

人民元相場は5月19日に、1米ドル=7人民元を割り込んでいる。

これが、ウォン安に繋がっているのだ。

ウォンは、人民元の「代理通貨」とも言われている。

人民元取引に代わって、ウォンを売買するという市場慣行があるほど。ウォンは、これほどまでに中国経済の影響を受けるという一例がここにあるのだ。

中国人民銀行(中央銀行)は5月19日夜、為替レートの大幅な変動を断固として抑制すると表明した。

発表文で、人民銀と外為規制当局が必要な場合は、投機を抑制するというのだ。

中国人民銀行が、こういう声明を発表するほどの緊急事態になっている証明であろう。 

市場は明らかに、中国経済の「変調」に気づいているから人民元売りに出ている。

この理由は、4月の経済指標からも読み取れる。

個人消費と設備投資が不振であった。

小売売上高は、前年同月比では18.4%増になった。

3月の10.6%増より拡大した。これは、前年同月が上海のロックダウンで混乱した反映である。前月比(季節調整済み)では0.5%増で2カ月連続して伸び率が縮小した。実態は、このように鈍化しているのだ。
 
1〜4月の固定資産投資は、前年同期比で4.7%増であり、1〜3月の5.1%増より縮小した。インフラ投資の恩恵を受けやすい国有企業は9.4%増だが、民間企業の投資は0.4%増にとどまった。 

民間の経済活動である小売売上高と固定資産投資が、ともに「微増」という事態が何を意味するかだ。

先行きの経済に対する期待が急速に低下すると、企業の設備投資と個人消費も急激に鈍化し、一気に厳しい不況に陥るのだ。こういうケースに留意すべきである。
 
ここで、中長期的に経済成長率が低下する場合、将来に対する経済成長率の期待値が「急低下」する事実を忘れてはならないのだ。

日本経済が、バブル崩壊(1990年)後に迎えた屈折点は、1993年からである。この間に、現実認識をするまでに3年も要した。この伝で言えば、中国の3年間のゼロコロナは、中国企業と国民に「バブル崩壊」という認識を頭に強く認識させたであろう。

ゼロコロナが、奇しくも冷却期間になったのだ。
韓国が日本に期待する3点
韓国は、こうした中国経済の実態から、経済面で中国依存を見直さざるを得ない局面に置かれている。左派は、経済的知見に乏しいので事情が飲み込めないのであろうが、右派は容易ならざる事態になっていることを自覚しているはずだ。

韓国経済界が、日本との関係修復に期待を掛けるのは、次の3項目である。

1)半導体
2)水素経済
3)観光客
これら、3点について見ておきたい。

韓国でいよいよ高まる「資金流出」への懸念…「日本への接近」のウラに隠された“思惑”

2023-05-20 18:24:54 | 日記
韓国でいよいよ高まる「資金流出」への懸念…「日本への接近」のウラに隠された“思惑”

真壁 昭夫(多摩大学特別招聘教授)

5/18(木) 7:02配信 

激しい輸出の落ち込み

 ここにきて、韓国経済の先行き懸念は一段と高まっている。  

一つの要因として、最大の輸出先である中国経済の持ち直しペースは緩慢なことがある。

韓国にとって最重要の輸出品目である、半導体の市況が世界的に厳しい状況に追い込まれている。 

 その結果、4月の輸出は前年同月比で14.2%減少した。 

 7か月連続での輸出減少だ。

  2022年3月に赤字に転落して以降、14か月連続で韓国の貿易収支も赤字だ。

 また、韓国国内では家計の債務問題への懸念が高まっている。

  韓国銀行(中央銀行)は家計の利払い負担増加などに配慮し、利上げを一時休止せざるを得なくなった。 

 輸出の減少、米韓の金利差拡大懸念などを背景に外国為替市場ではウォンの弱さも目立つ。 

 それは海外に資金が逃避していることを示唆する。

  そうした状況下、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は対日関係の修復を急いでいる。

 次世代半導体の製造体制確立に不可欠な、超高純度の部材や製造・検査装置の調達を円滑にすることもあると見られる。

  また、韓国は一段の資金流出に備えて、金融面でもわが国との関係を改善することが得策と考えているのかも知れない。

一段と厳しさ増す韓国経済の現状

 足許、韓国経済の減速、後退の懸念は一段と高まっている。 

 韓国にとって最も重要な輸出品目である半導体の価格下落は大きい。 

 2021年秋口以降、サムスン電子が世界最大のシェアを持つDRAMの価格下落は鮮明化した。 

 NAND型フラッシュメモリの価格も下落している。

  ゼロコロナの終了後、中国では個人消費の回復ペースが鈍い。

  そのため中国ではスマートホンの出荷台数が減少し、半導体需要は下押しされている。

  コロナ禍によるデジタル化の急加速の反動なども重なり、世界全体で半導体の需給は緩み在庫が積みあがっている。 

 その結果、4月、韓国の半導体輸出は前年同月比41.0%減少した。

 その状況下、韓国の設備投資も低迷している。 

 一因として、メモリ半導体価格の下落鮮明化によってSKハイニックスが設備投資を縮小したことは大きい。

  内需面では、ウィズコロナの経済運営を背景に動線が修復され、飲食、宿泊、交通などの分野でペントアップ・ディマンドが発生している。

  ただ、それが長く続くとは考えづらい。

  世界的な物価の上昇とウォン安の掛け算によるインフレの高止まりを背景に、徐々に韓国の個人消費は圧迫されるだろう。

  また、韓国ではソウルなど首都圏でのマンション価格が高騰した。 

 住む場所を確保するために借金に依存せざるを得ない人は増え、家計の債務問題は深刻化している。  

そうした状況に配慮し、韓国銀行は利上げを一時停止した。 

 インフレ率が2%の目標水準を上回る状況下、本来であれば韓国銀行は慎重に利上げを進めてインフレの鎮静化と通貨価値の安定を図るべきと考えられる。

  ただ、それが難しいほど韓国の内需はぜい弱なのだろう。 

 足許、EVなど自動車の輸出は増加してはいるが、輸出全体に歯止めがかかる状況にもなっていない。

対日関係の修復を急ぐ尹政権

 現在、尹政権はわが国との関係修復を急いでいる。

  3月、尹政権は元徴用工への賠償問題に関する解決案を発表した。

  約12年ぶりに日韓の首脳が両国を行きかう“シャトル外交”も再開された。 

 尹大統領はそうした恩恵を「国民が実感できるようにする」と発言している。 

 根底には、当面、韓国経済の状況は一段と悪くなるとの懸念の高まりがあるだろう。

 中国では、耐久財を中心に個人消費の停滞感が高まっている。 

 また、米国経済の動向が韓国に与える負の影響も増えるそうだ。

  足許、米国では中堅銀行の経営懸念が一段と高まっている。

  銀行株の下落圧力は高まり、預金流出にも拍車はかかりやすい。 

 一方、インフレを鎮静化するためにFRBが早期に利下げに動くことは考えづらい。

 資金繰りを確保するために米銀の融資態度は硬化すると予想される。

  それに伴い、米国の個人消費を支えてきた労働市場の改善ペースは追加的に鈍化する。

  米国の債務上限を巡る不透明感も個人消費を抑圧するだろう。 

 中国経済の高度成長が限界を迎えた中で米国の個人消費の減少が鮮明となれば、世界的に景気後退の懸念は追加的に高まらざるを得ない。

  それは、外需依存度の高い韓国経済にとって大きな負の材料だ。 

 状況によっては、半導体市況がさらに悪化してサムスン電子などの業績悪化懸念が高まり、海外に流出する資金が一段と増える展開も想定される。 

 そうしたリスクに対応するために、尹政権はわが国との関係修復を急いでいる面はあるのだろう。

  韓国半導体産業が、次世代ロジック半導体の生産体制を確立するため、わが国の超高純度の半導体部材や製造装置の輸入促進は欠かせない。

  また、わが国との通貨スワップ協定は韓国経済がリーマンショックなどの厳しい状況を乗り切るために重要な役割を果たした。

  今後も尹政権は経済の下方リスクを抑えるために、対日関係の改善に取り組むだろう。

真壁 昭夫(多摩大学特別招聘教授)




麻薬中毒・銃器殺人…米国の若者たちの間で「絶望死」が急増

2023-05-20 17:28:17 | 日記
麻薬中毒・銃器殺人…米国の若者たちの間で「絶望死」が急増

絶望感・疎外感・はく奪感などが主な原因

2020年の1-19歳の亡率 10.7%上昇
2021年も8.3%と2年連続で増加

 米国では2年連続で19歳以下の死亡率が急増し、危機的な状況に陥ってい。麻薬中毒・殺人・自殺・交通事故の「4大要因」が同時に増加した結果だ。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は17日(現地時間)、バージニア州立大学研究チームの報告書を引用し、「2020年に米国の1-19歳の死亡率が2019年に比べて10.7%上昇したのに続き、2021年も8.3%(暫定値)増えた」と報道した。

米国で若年層の死亡率がこのように2年連続で大幅に増えたのは、1970年代以来、半世紀ぶりのことだ。

死因のうち、新型コロナウイルス感染症が占める割合は5分の1から10分の1程度だと研究チームでは説明している。

それよりも、若年層が社会的な害悪に染まらない場所を失い、絶望感・疎外感・はく奪感に襲われて死に至るケースの方がはるかに多いと分析している。

2019年の1年間に、米国では1-19歳の10万人あたり3.2人が銃器などによる殺人で死亡したが、2020年には4.2人、2021年には4.6人に急増した。2019年から2021年までの自殺は3.5人から3.8人に、交通事故による死亡は4.6人から

 特に麻薬を含む薬物中毒死は同期間で0.9人から2.2人へと2倍以上も増えた。

米国では若者たちもフェンタニルなど鎮静剤の違法使用を含め、麻薬・薬物に無防備にさらされている。

米国の保健関連非営利団体「カイザー・ファミリー財団(KFF)」によると、フェンタニルによる24歳以下の全米の死亡者は2019年の3683人から2021年には6531人へと2年間で77%増加したとのことだ。

昨年1年間の米国における成人を含む薬物過剰摂取の死亡者数は合計10万9680人(暫定値)を記録し、過去最多だった。

 ノーベル経済学賞を受賞したアンガス・ディートン米プリンストン大学教授は、1990年代後半から製造業の没落などで白人の中年層の間で薬物中毒死や自殺が急速に広がった現象を発見、これを「絶望死」と名付けた。

若年層を対象にした今回の研究でも、新型コロナウイルス流行時の登校やレジャー活動が制限され、麻薬や銃器などによる自己破壊的な死が感染症のように広がっていたことが明らかになった。

研究チームは「若年層のメンタルヘルス(精神的健康)問題に対して根本的な解決策を打ち出さない限り、このような傾向は続くだろう」と懸念している。

リュ・ジェミン記者

チョソン・ドットコム/朝鮮日報日本語版

高金利の長期化が懸念される韓国経済

2023-05-18 16:59:43 | 日記
高金利の長期化が懸念される韓国経済

2023年03月28日 立石宗一郎

韓国では、前政権による労働組合への支援が賃金上昇につながっており、インフレが長期化する懸念がある。インフレの長期化で高金利が続く場合、家計負担の増大を通じて、景気を下押しする恐れがある。

■急速な利上げが続いた韓国
韓国銀行(中央銀行)は、過去1年半にわたり利上げを続けてきた。本年2月末には政策金利と長期金利はそれぞれ2019年末の水準から約2%上昇し、アジア主要国のなかでは上昇幅が最も大きい国となった。

急ピッチな利上げの背景には、①資源高、②通貨安、③住宅価格高騰を背景としたインフレ率の急加速が挙げられる。世界的な資源高の影響により、電気・ガスやガソリンなどのエネルギー価格が上昇した。原油などの資源を輸入に依存する韓国では、輸入品目のなかで鉱物性燃料が最も高い割合を占めているため、資源高は輸入総額を大幅に増加させた。これにより2022年3月以降、貿易収支の赤字が定着したことから、韓国ウォンの対ドルレートは大きく下落し、幅広い輸入品の価格を押し上げた。この間、住宅価格は2022年4月まで前年同月比+10%超の高い伸びが続き、賃料の押し上げ要因となった。

もっとも、上記三つのインフレ圧力は徐々に低下しており、消費者物価指数は2022年7月の前年同月比+6.3%をピークに鈍化傾向にある。世界景気が減速するとともに資源価格の騰勢は弱まりつつあるほか、米国の利上げペースも鈍化しており、韓国ウォンに対する下落圧力は低下している。加えて、利上げを受けた住宅ローン金利の上昇で住宅需要は冷え込み、住宅価格も昨年7月をピークに下落に転じている。

先行きのインフレに対する懸念が低下したことを受けて、韓国銀行は本年2月の会合で政策金利を3.5%と、8会合ぶりに据え置いた。市場関係者の間では、今後も政策金利は据え置かれるとの見方が強まっている。

■賃金上昇により高インフレ長期化の懸念
ただし、韓国のインフレが沈静化に向かうかどうか不透明感が強い。エネルギー価格の落ち着きを背景にインフレ率は低下しているものの、食料やエネルギーを除いたコアインフレ率は+4%前後で高止まりしている。コアインフレ率が高い背景には、賃金の上昇が挙げられる。

韓国の尹政権は賃金設定を年功序列から業績主義への移行を呼び掛けるなど労働市場改革を進め、文前政権による極端な労働者寄りの政策を転換している。最低賃金は2023年に前年比+5.0%と前年(同+5.1%)と同程度の伸びに抑制された。しかし、前政権による労働組合への支援策の影響で、組合の交渉力が強まっており、賃金全体を押し上げている。労働者1人当たりの平均月給は、最低賃金引き上げの影響が小さい2021年と2022年でもそれぞれ同+4.6%、同+4.9%と続伸している。

前政権は、①非公認であった公務員の労働組合を承認、②失業者や解雇者の労働組合加入を認める改正労働組合法の施行などの政策を実施した。これを受け、労働組合の組織率は2010年代後半から上昇しており、現在では日本やドイツなどの先進国と遜色ない水準に達している。トラック運転手による全国規模のストライキが昨年2度も発生するなど、大規模なストライキが頻発している。労働組合組織率の高まりとともに、労使交渉の激しさは増しており、組合による賃上げ要求の力も高まっているとみられる。

労働組合の賃上げ要求は、高インフレで家計が苦しくなっていることを背景としているが、生産性の上昇を伴わない大幅賃上げは一段のインフレにつながる恐れがある。このような賃金・物価のスパイラル的な上昇が生じると、インフレの沈静化は容易ではなくなる。

■高金利が長期化する懸念
賃金上昇により高インフレが長引けば、政策金利の引き上げが再開される可能性がある。韓国銀行の李昌鏞総裁は、「政策金利引き下げのタイミングは、消費者物価上昇率が2%台へ低下する目途が立ったときに議論することが望ましい」との見解を示している。韓国銀行は、年末まで3%台のインフレが続くと予測しており、年内に利下げが実施される可能性は低い。米国でも利上げが継続される可能性がくすぶっていることもあり、韓国の高金利は来年以降も継続する懸念が浮上している。

これまでの急速な金利上昇で、住宅市場は大きな影響を受けている。1月の住宅取引件数は前年同月比▲42.8%と大幅に減少した。2月の住宅価格も同▲4.4%と低下しており、1999年8月以来となる23年ぶりの大幅な下落率となった。韓国の家計債務は2021年にGDP比99%と、OECD平均(63.7%)と比べても高い水準にある。その約6割を占める住宅ローンは、変動金利型が7割強を占めており、これまでの金利上昇に伴い家計の利払い負担は増大し、個人消費を押し下げる要因となっている。高金利が長期化すると、利払い負担が一段と増大することに加えて、住宅価格が大きく押し下げ、保有資産価値の下落で消費が手控えられる逆資産効果が生じる可能性もある。高金利の長期化が、韓国景気を大きく悪化させる可能性には注意が必要である。