警笛が鳴る。
次の瞬間、床下で金属が巻き込まれながら車輪に切断されていく音。
軽く車体が上下していく。
急減速。
急停車。
え?
あ?
なに?
たまたま同じ車両に乗り合わせた顔も知らない同士が目を合わせ言葉を交わす。
事故?
止まったね。
下から音がしたよね。
と言いながら床に視線を落とす。
しばらくすると、声の上ずったアナウンスが流れた。
「ただいま、車両と接触いたしました。現場検証が終わるまで…云々」
救急車がサイレンを鳴らして来る様子は感じられなかったが、
気がつくと、レスキューや警察の人たちが来ているのが窓から見える。
80分遅れて静岡へ到着。
人身事故だったらしい。
■体重■
体重…81.3
体脂肪率…
内臓脂肪…
筋肉量…
基礎代謝量…
推定骨量…
昼食時、
うどんを持って来てくれたウェイトレスのおねーちゃんが
あろうことか、
お茶の入った湯飲みをひっくりかえしやがった。
おかげで俺のズボンはびちゃびちゃ。
思えば、
昨日から、歯は抜ける、
朝は、事故車両に乗り合わせる、
今度は、ズボンにお茶をかけられる
…ついてねぇのかも。
つーか、ついてねぇやな。
験直し
験直し
仏壇に線香でもあげっか。
ああ、僕らは車輪の下で生きてるんだね。