Broken Flowers …はうはう河馬の脂肪遊戯

いらっしゃいませ。お独りさまで?どうぞお好きな席に。

2021-06-17(木)…知らない人、だ。

2021年06月17日 | 2021


お袋にPCで面会。
この病院は、コロナで直接会うことはできないので
PCで面会するという方法を取っている。

お袋に会うのは1ヶ月ぶり。
画面の向こう側、看護師さんに連れられてお袋が部屋に入ってきて
画面の向こう側の椅子に座る。

怪訝そうな顔して、画面に映る俺の顔を見るお袋。
やっぱり…というか
もう?…というか
お袋は、俺のことがわからなかった。

画面の向こうで看護師さんに
「誰?この人?知らない人、だ」
と言っているのが聞こえてきた。

「息子さんでしょ」
「息子さんだよ」
看護師さんがお袋に言うと
おずおずと、俺の名前を「?」付けでマイクにつぶやいた。

俺がわかったのだろうか
それとも、わからないまま、そのしのぎに息子として話をしたのか

お袋は、入院前と変わっていないように感じた。
感情が、剥き出しになっているようで、起伏が激しい。
「ここから出たい」
「帰りたい」
を頻繁に訴える。
その度、俺は
「病気を治さないとね」
「お医者さんや看護師さんの言うことをちゃんこきくんだよ」
と告げる。

集中力が持たないようで
お袋が、俺との会話をやめたがっているような表情をしだしたのがわかった。
しばらく話をして
また来るよと告げ、俺のほうから画面から消えた。

お袋を見送りたいと思ったが、
お袋が、「あんたが先に帰ってよ」と言ってきたから。

昔から、お袋は、何につけ
見送るほうが好きなんだよなあ。

病院の駐車場、空を見上げる。
晴れてるような、雨が降っているような、そんな天気。
ため息。