雨雲レーダーを
見ると
西から
雨雲が
こちらに
流されて
来ているようで
ほどなく
雨になるようだ。
保険会社から通知が来てた。
生命保険の受取欄、
本人死亡の場合の保険金請求者に
法定相続人のうちの誰かを記入してくれと
記されている
ボールペンが止まる。
誰にすりゃいいんだ？
お袋か？（1親等）
認知症で入院してるんだから請求なんてできるわけもない。
妹か？（2親等）
甥か？（3親等）
伯母？（3親等）
従姉？（4親等）
通り雨
思いのほか激しく
通り雨
落ちた地面の土を跳ね上げる
俺の生命保険だろ？
誰にするにしても
それほど世話になっているわけでもない。
でも誰かを書かなきゃならないらしい。
たいした金額じゃないけれど、それでも。
なんだろうなあ…。
たぶん
俺のことを看取ってくれる人はいる。
俺はそいつにしたいんだけど
社会はそれを許しちゃくれないらしい。
通り雨
法定相続人の誰かを記入し
PCの向こうにある小窓のカーテンを上げると
雨は止んでいた。
ああ、そうだね。
心がざわついたのも
通り雨のせい、だったんだよ。
きっと。
