Part.3 ビオゴジの色(1)
今日は「ビオゴジ スタンダードカラー」の全身の色を決めるにあって、「ビオゴジ」そのものの色を検討してみた話です。
■はっきりしない統一されていない黒
本物の「ビオゴジ」のスーツは限りなく黒に近いグレーだったそうです。
以前発売されたいくつかの書籍やムック本等に記載されていたものや、個人的に川北監督に教えていただいた事があるのでこれらを参考にして今回の配色を決めました。
映画の撮影開始当初はほとんど全身が黒で塗られていた劇中スーツなのですが、撮影が進むに連れて当然変化が出てきます。戦闘シーン等では各所に痛みが出ます。爆発や炎等ではもちろん、ビルを壊す、倒れる等の動きでも影響は出るのです。さらには強い照明に長時間当てられているだけでも変色は見られたのだそうです。傷等は修復されますが、その部分は色の違いでわかってしまうため、その部分だけ黒を重ねて塗られ、スケジュールに余裕がないため完全に乾く前にまた次の撮影に使われる事も多々あったそうです。ライティングのつながりや濡れたシーン等のためにも塗料が完全に乾く前に水をかけられた事も多かったらしく、それでまたシーンによっては、全身もしくは一部の色合いが全然違う状態に見えてしまっているのがわかります。
『ゴジラVSビオランテ』でのゴジラは、夜の暗いシーンか、全身が濡れているシーンが主です。濃密なストーリーの流れのせいか、明るい時間の濡れていないシーンが数える程しかないの事に気がついておられない方も多いのではないでしょうか。
今改めて映像を見直しても、明確に全身の色がはっきりと見え、統一した「黒」で表現されているゴジラではない事がわかるのです。
「スタンダードカラー」とはいえ、この全体像として「はっきりしない統一されていない黒」を表現すべく配色を検討しました。