花水木の独り言

庭の大きなハナミズキの、白い蝶のような花びらや、真紅の葉に気持ちを託して・・徒然なるままにキーを打ちました。

望郷のバラード

2005-05-10 | Weblog

NHKスペシャル「望郷」を観ました。
新聞欄には「日本人とルーマニア人との交流をテーマに、極限下での友情と勇気、そして半世紀にわたる”思いを”ドキュメンタリーとドラマを交えて描く」
「捕虜の一人が演奏する”望郷のバラード”と言うバイオリン曲が重なるシーンに心がふるえた」とあり、感情移入しての一時間半でした。

平成元年日本兵だった渡辺氏の下に、ルーマニア兵だったアールヒップからの手紙が届くのです(粗末な紙に住所を書いて手渡していた)。しかし再会したのはその十数年後になっていたのです。二人は90歳を越えアールヒップは言葉も交わせない病床にありました。

あの過酷な時を共有して生き延びた二人に、奇跡が生まれたのでした。

この番組を観るキッカケは「望郷のバラード」でした。
高樹のぶ子著「百年の預言」を読んでいたからです。
1989年のルーマニア革命の導入部も執筆されていて、歴史書と言っても過言では無いと思うほどでした。
ウィーン在留の外交官とピアニストの恋愛を軸に、抑圧されたルーマニアの音楽家の亡命を絡め、百年前の楽曲の謎解きがラジオ放送され、暗号を含んだ音楽放送によって革命は成功するのです。

この亡命中の音楽家が肌身離さず持ち続けた楽譜こそが「百年後の愛しい羊たちへ」と書かれた「望郷のバラード」だったのです。

東欧在留の外交官 岡田真樹氏はポルンベスクの名作「BALADA」を
亡命者ベェレシュから「見ること叶わぬ貴方の祖国日本に何時の日か紹介してください」と懇願されました。
ルーマニアの首都ブカレストで、バイオリニスト天満敦子の演奏を聴いていた岡田氏は、アンコールでモンティの「チャルダッシュ」に総立ちで熱狂する聴衆を見て「この人にバラーダを初演してもらおう」と心に決めたのだと言います。

私は小説を読んだ直後にタケミツメモリアルホールに行く事ができました。アンコールはやはりチャルダッシュでした。