昨日の朝の勉強会は早坂先生が担当してくれました。眼脂や赤目などがある患者に、安易に抗菌薬の点眼が処方されてしまうことがあり、「それはどうなんだ?」という指摘を後期研修医などにすることがあります。今回はそのテーマについて調べてくれました。
1点として、細菌性結膜炎をより疑う状況はどのような時なのか? もう1点は、細菌性結膜炎だと考えた場合抗菌薬点眼をすぐ処方したほうがよいのか?という疑問です。
<結膜炎への抗菌薬点眼使用について>
【研究目的】細菌性結膜炎を強く示唆する要素/症状の組み合わせを抽出する
【setting/対象/期間】オランダにある25か所のhealth centerにて
1999-2002年の研究期間に結膜炎が疑われた(赤目、眼脂、瞼がくっつく等の症状を有する)成人184人を対象とした
★A rondomisesd controlled trial of management strategies for acute infective conjunctivitis in general practice.
BMJ.2006 July;333
P:細菌性結膜炎が疑われた1⁻57歳の患者
E:直ちに抗菌薬点眼を使用した群/3日様子をみてから必要に応じて使用した群
C:抗菌薬点眼を使用しない群(ただし実際は患者の希望+医師の判断で後日使用した群も含む)
O:重症度/症状改善度および改善までの期間など
⇒重症度有意差なし、症状改善度は直後使用群と待機的使用群で有意差なし、症状改善までの期間は直後使用群が他2群と比べて有意に短い(1日程度)
ちなみに3群とも約14日で症状改善がみられている。
★まとめ
・結膜炎様症状を呈する患者では、①早朝の眼脂(特に両目、瞼が接着するほど多量) ②痒み ③結膜炎の既往を確認
⇒早朝眼脂多量、痒みなし、結膜炎既往なし で細菌性の確立up
・抗菌薬を直ちに処方するのではなく、最低3日は待ち再評価してから処方してもよさそう
・細菌性結膜炎でも多くは2週間以内に軽快するため、必ずしも抗菌薬点眼が必要なわけではないか
ついつい安易に出してしまいがちな抗菌薬点眼ですが、ある程度適応を考えて使用することはやはり重要だなと再実感しました。理解を得るために患者や他のコメディカルにどのように説明していくかも重要ですよね。
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