非がんの緩和ケアの重要性は、日々の臨床で実感していますが、がん以上に困難な点がいくつかあります。予後予測が困難であったり、不確実性が高いなかでどのように意思決定を行っていくかだったり。症状緩和のために薬剤の使い方も確立されたものがあまりないという部分もその1つです。
非がんでは呼吸苦症状が多いと様々な研究で報告がありますが、当院でもモルヒネやマイナートランキライザーなどを使用して呼吸苦緩和をはかることも多いです。
COPDの症状緩和において、モルヒネ・ベンゾをどのように安全に使用するかについて、以前調べたのでのせます。
<COPD患者の症状緩和について(モルヒネ・ベンゾジアゼピンをどのように安全に使用するか)>
•そもそも呼吸苦緩和に有効か?
Susan E LoweyのSys Rev(2013):低用量モルヒネの有用性+(有意差あり)
Simonのメタ分析(コクラン2010):癌・COPDでベンゾは有意差なし
•問題となる副作用(呼吸抑制・CO2ナルコーシスなど)は?
Susan E LoweyのSys Rev:ALS・がんでモヒ投与でPaCO2↑なし
Vozorisらの報告(Eur Respir J 2014):後ろ向きコホート。66歳以上の外来COPD患者が対象。新たにベンゾ処方の30日以内のアウトカムを調査。多変量で増悪・ER受診有意に↑、入院・死亡は有意差なし。
Magnusらの報告(BMJ 2014):前向きコホート。HOTしている2249人のCOPD患者が対象。年齢・性別・血ガス・BMI・PS・合併症・内服薬を調整して統計。入院:両者有意差なし。死亡率:ベンゾで有意差あり(HR:1.21)、モヒは低用量(30mg)では有意差なしだが、高用量では有意差あり(HR:1.21)。低用量のモヒとベンゾの併用は入院・死亡率とも有意差なし。
上記のような結果をみると、やはり低用量のモヒがfirst lineとなると考えていいのかなと思いました。ベンゾは効く人は効く印象ですが、副作用も考慮しながら患者さんを選んで少ない量で開始するのがよいのかなと個人的には感じました。
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