施設診療していると、アルツハイマー型認知症(以下AD)に伴う初発てんかんに遭遇することがしばしばあります。ADや血管性認知症があると10倍ほどてんかん発作のリスクが高まるとの報告があります(Imfeld Pら,2013)。抗けいれん薬のデメリットも出やすいため(食事とれなくなるなんてことも時々・・・)、どのようなタイミングで投与開始するかは迷う場合もありますし、薬剤量なども悩ましいところです。最近もADのある施設の患者さんがてんかん発作で入院したのもあり、以前、ADのてんかんレビュー2つと高齢者てんかんレビュー1つをまとめたことがあるので、その内容を今日はご紹介させていただきます。
★ADてんかんレビュー2つと高齢者てんかんレビュー1つを中心に
①高齢者は若年者と比べて治療への反応はよい(6割が症状なしに)
②しかし、副作用で中止多い 65歳以上:64%vs65歳未満:33%
③新世代の抗痙攣薬のほうが、副作用少なくコントロール可能
(3つのRCTより、CBZよりGBP・LTGの方が)
④70歳以上では半量から開始が推奨
(Cameronらの観察研究で、血中濃度正常下限以下が有意に副作用少と痙攣コントロール良好と関連)
そもそもどのような人に開始したほうがよいかは不明・・・
★高齢者におけるQOLと抗痙攣薬について(Saetreら,2010)
65歳以上の新規てんかん患者に、CBZ・LTG投与⇒ともに健康関連QOLは40週時点で、有意な改善なし
★初発高齢者てんかんにおける再発のリスク(Kanitpongら,2013)
脳波で異常ありは多変量解析で有意差あり(non-specific abbormalityはOR:1.24, epileptiform discharge5.72)
ADのてんかん発作に関してはまだまだ不明な部分が多いようです。薬剤適応に関しても、予後以外に、療養の場や本人のQOLにどのように影響するかなど、多角的な面からの判断が必要かなと思います。
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