今日の朝の勉強会は、「レントゲン陰性だが、大腿骨近位部骨折が疑われる時どうするか?」という内容で行いました。在宅・施設などで転倒してしまい、大腿骨近位部骨折の可能性なども疑われる場合には、当院に来てもらい、レントゲンをとることがしばしばあります。最近もやはりありました。最初のレントゲンが陰性ではあるが、骨折も否定できないような状況の場合には次のステップとしてどうするかは悩ましいこともあります。特に当院では整形外科は週1回の非常勤なので、緊急の場合には他院へ紹介することとなるため、整形外科医へのコンサルトやリファーの閾値も多少高いものとなります。ということで、このテーマです。以下、概要を書きます。ちなみに、前提として、早期の診断が、予後に影響するということがあります。
★レントゲン
Pathak Gらの報告(Injury 1997):レントゲンに基づいた場合、10~15%が診断が遅れたり、見逃されたりする。
★身体診察(BMC Musculoskeletal Disorders 2013のSys Revから)
①Shin et al.1996:Pain on Log Roll Test
対象:レントゲンで陰性 Reference standard:6週間のレントゲンフォロー
感度100%(13/13) 特異度33%(2/6)
②Tiru et al.2002:Patellar-Pubic Percussion test
対象:レントゲンで陰性
Reference standard:レントゲン繰り返し、骨シンチ、CTもしくはMRI
感度96%(245/255) 特異度86%(30/35)
★レントゲン陰性だが、大腿骨近位部骨折が疑わしい場合、CTとMRIはどちらがよい?
①HA ChathaらのSys Rev(Journal of Orthopaedic Surgery 2011)
MRIがCTや骨シンチよりも、レントゲン陰性の大腿骨近位部骨折の早期診断において優れている。
②Hakkarinen DKらの報告(J Emerg Med 2012)
大腿骨近位部骨折と診断された235例のうち、24例がレントゲン陰性であった。18例(7.6%)がCTで診断( MRI なし)。4例がCTで陰性であったがMRIで陽性。(残り2例はMRIのみとCT ・MRIの両方で診断)
③Dunker Dらの報告(Emerg Radiol 2012)
24h以内のレントゲンが陰性であった患者でCTとった193例を後ろ向きに検討。フォローCT陰性84例のうち、フォローアップで手術が必要となったのは2例→手術が必要な骨折はほぼ除外できのではないかと。
★レントゲン・CT・MRIは読む人によって違いある?
Collin Dらの報告(Acta Radiol 2011):レントゲン陰性だが大腿骨頚部骨折が疑われた375例を対象に3人の医師の診断の一致率を調査⇒CT・MRIは高い一致率であった(Kappa値:0.85-0.97と0.93-0.97) ちなみにレントゲンは経験による影響あり。
早期診断という意味では、レントゲンは必ずしもあてにならないのかなと。そのようなときに、Patellar-Pubic Percussion test(恥骨に聴診器をおき、膝をたたいて音が聞こえるかを両下肢で判断。骨折あるとそちら側の下肢は聞こえない。)は参考になるかもしれませんね。より疑わしければMRIですが、なかなか閾値高いですよね。Dunker Dらの報告を考えると、CTも手術必要な骨折を見逃さないという意味ではよいのかもしれません。診断をつけることではなく、患者アウトカムにつながる検査かどうかの視点は重要と思います。実際、大腿骨近位部骨折の診断でCTが使われることは増えているというデータもありました。
しかし、結局のところ、正直、私たちの臨床ではどこまでやって、整形外科に紹介するのかは悩ましい部分があります・・・。
★レントゲン
Pathak Gらの報告(Injury 1997):レントゲンに基づいた場合、10~15%が診断が遅れたり、見逃されたりする。
★身体診察(BMC Musculoskeletal Disorders 2013のSys Revから)
①Shin et al.1996:Pain on Log Roll Test
対象:レントゲンで陰性 Reference standard:6週間のレントゲンフォロー
感度100%(13/13) 特異度33%(2/6)
②Tiru et al.2002:Patellar-Pubic Percussion test
対象:レントゲンで陰性
Reference standard:レントゲン繰り返し、骨シンチ、CTもしくはMRI
感度96%(245/255) 特異度86%(30/35)
★レントゲン陰性だが、大腿骨近位部骨折が疑わしい場合、CTとMRIはどちらがよい?
①HA ChathaらのSys Rev(Journal of Orthopaedic Surgery 2011)
MRIがCTや骨シンチよりも、レントゲン陰性の大腿骨近位部骨折の早期診断において優れている。
②Hakkarinen DKらの報告(J Emerg Med 2012)
大腿骨近位部骨折と診断された235例のうち、24例がレントゲン陰性であった。18例(7.6%)がCTで診断( MRI なし)。4例がCTで陰性であったがMRIで陽性。(残り2例はMRIのみとCT ・MRIの両方で診断)
③Dunker Dらの報告(Emerg Radiol 2012)
24h以内のレントゲンが陰性であった患者でCTとった193例を後ろ向きに検討。フォローCT陰性84例のうち、フォローアップで手術が必要となったのは2例→手術が必要な骨折はほぼ除外できのではないかと。
★レントゲン・CT・MRIは読む人によって違いある?
Collin Dらの報告(Acta Radiol 2011):レントゲン陰性だが大腿骨頚部骨折が疑われた375例を対象に3人の医師の診断の一致率を調査⇒CT・MRIは高い一致率であった(Kappa値:0.85-0.97と0.93-0.97) ちなみにレントゲンは経験による影響あり。
早期診断という意味では、レントゲンは必ずしもあてにならないのかなと。そのようなときに、Patellar-Pubic Percussion test(恥骨に聴診器をおき、膝をたたいて音が聞こえるかを両下肢で判断。骨折あるとそちら側の下肢は聞こえない。)は参考になるかもしれませんね。より疑わしければMRIですが、なかなか閾値高いですよね。Dunker Dらの報告を考えると、CTも手術必要な骨折を見逃さないという意味ではよいのかもしれません。診断をつけることではなく、患者アウトカムにつながる検査かどうかの視点は重要と思います。実際、大腿骨近位部骨折の診断でCTが使われることは増えているというデータもありました。
しかし、結局のところ、正直、私たちの臨床ではどこまでやって、整形外科に紹介するのかは悩ましい部分があります・・・。
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