昭和20年創業の大衆食堂で「下館ラーメン」
茨城県筑西市の中心・下館に昭和20年代から根付く「下館ラーメン」。濃いめの醤油スープで、鶏肉チャーシューを使用した個性的な一杯である。豚肉が高価だった時代に、鶏を中心に作り上げた伝統の味だ。市の職員や民間の有志による「下館ラーメン学会」の公認店は2021年現在で12店舗あり、いずれも下館駅周辺にある。
その中では比較的、下館駅からは遠い「永盛食堂」へ。お店は下館駅から大人の足で20分と徒歩圏内ではあるが、真岡鐵道真岡線・下館二高前駅が最寄となる。先代は東京での修業を経て1945年に創業。下館ラーメンの元祖という意味で1949年創業の「筑波軒」を最古参とする事もあるが、実は永盛食堂の方が歴史は古い。
現在は2代目がお店を切り盛りしている。店内は、通常は4人がけテーブルが4卓あるが、コロナ禍で2卓に。さらに1人用の特別席には、餃子つまみテレビを見上げながらご機嫌な常連の姿が。まさにお手本のような大衆食堂。麺メニューはラーメン、みそラーメン、タンメン、ワンタンメン、ワンタンを用意。夏季には冷やし中華もある。
そして食堂なのでカツ丼、親子丼、チャーハン、野菜炒め定食、餃子なども提供している。ちなみに2代目のオススメは「カツ丼」だそうだ。今回は「ラーメン(650円)」を注文。スープは鶏ガラや野菜を炊いて濃口醤油のカエシを重ねたもの。脂少な目で、カエシのほのかな酸味もあり、スッキリと上品な飲み口に仕上がっている。
先代は自分で麺を打っていたそうだが、現在使用するのは下館の王道「盛昭軒」謹製の中細縮れ麺だ。トッピングには醤油ダレのしみた鶏チャーシューが2枚、輪切りの茹で卵、メンマ、青菜、ナルト、海苔が乗る。大衆食堂らしいアッサリした一杯、あっという間に完食した。ぜひレトロな建物や空気感も含めて楽しんで欲しい。
<店舗データ>
【店名】 永盛食堂(ながもりしょくどう)
【住所】 茨城県筑西市岡芹958
【最寄】 真岡鐵道真岡線「下館二高前駅」徒歩5分