下館ラーメンで一番の行列店「さくらい食堂」
茨城県筑西市の中心・下館に昭和20年代から根付く「下館ラーメン」。濃いめの醤油スープで、鶏肉チャーシューを使用した個性的な一杯である。市の職員や民間の有志による「下館ラーメン学会」の公認店は2021年現在で12店舗あり、いずれも下館駅周辺にある。今回は、その中で最も長い行列を作る「さくらい食堂」へ。
お店は下館駅北口から徒歩10分ほど。稲荷町通りを北へ進み、県道7号線・田町交差点のひとつ手前を左折した路地にある。営業時間はちょっと早めの朝10時半から昼1時15分まで。味の評判を聞きつけ遠方から訪れる客も多く、休日ともなると開店時には既に行列が。軒先で1組1枚ずつ番号札を取って店の前で待つ仕組みだ。
店内は4人がけテーブル4卓に加え小上がりも。元々は地元密着店だったが、遠方からの客が増えて大変なのだろう。店内外に様々な注意書が貼られている。ティッシュの無駄使い禁止。小上がりはスピーディーに食事を。注文は水をお持ちしてから。スマホ通話は控えるべし。飲食中は新聞を読むな。番号札は持ち帰るな・・・
常識的な事が多いだけに、ご苦労が偲ばれる。特別なものでは「11時半から12時半の混雑時は子連れはご遠慮を」「隣の茨城銀行の駐車場をご好意で使えるが、使っていいのは7台分でスペースが決まっているので守るように」といったあたりか。麺メニューは主軸の「ラーメン」にトッピングを重ねていくスタイルだ。
追加出来るのはワンタン、チャーシュー、メンマ、ワカメ、野菜、ネギ、たまご、そして下館名物「とり皮」だ。ほかにワンタン入りの「タンメン」や、夏季限定「冷やし中華」も提供している。今回は「ワンタンメン(750円)」にネギ、とり皮(各100円)を乗せ注文。なお、常連は「とり皮」を「モツ」と呼んでおり、ダブルでオーダーする人も多い。
スープは鶏ガラと野菜を炊いて濃口醤油のカエシを重ねたもの。鶏の旨みたっぷりで、醤油の香りも強くコクがある。表面に浮かぶ油の量も多く、下館ラーメンの中ではコッテリの部類に入るだろう。これが人気の所以か。そこに合わせるのは盛昭軒謹製の中太縮れ麺。モッチリした食感でコシもあり、間違いのない組み合わせだ。
そこに、甘辛の「とり皮」を細切りにしてトッピング。またクニュっとした食感がたまらない。脂がスープと相まって絶品だ。追加したネギと掻き込むと旨さ倍増。嗚呼、とり皮はやっぱりダブルで注文すべきだったなぁ。そしてワンタンは皮が厚めで食べ応え十分。丼の頂に半玉乗せられた茹で卵は、下館では一般的な輪切りに。
ほか、ホウレン草、ナルト、海苔が乗る。ただのアッサリ系ではなく、ラーメンファンも納得の味。こりゃ行列も頷ける。注意書きの多さに緊張しながら啜ったが、特に怒られる事もなく平和に完食した。ちなみに混雑する土日は、閉店を待たずに「とり皮」が完売になる事もあるので、食べたい方は午前中に訪問するのが良いだろう。
<店舗データ>
【店名】 さくらい食堂
【住所】 茨城県筑西市丙270
【最寄】 JR水戸線ほか「下館駅」北口徒歩10分