赤坂のレガシーを啜るのだ
東京メトロ千代田線・赤坂駅から歩いて2分ほど。赤坂みすじ通りで深夜4時まで営業する「赤坂ラーメン」へ。赤坂の町の名を冠したこの店は、1981年に創業した屋台から始まった。行列店として界隈で名を馳せると、ご主人の佐藤強氏は「TVチャンピオン」のラーメン職人選手権にも出場。その話題性もあって人気を博した。
1988年に「ストロングサトウ」名義で法人化すると、渋谷、駒沢、都立大学前、上高井戸、秋田、さらには台湾や韓国にもフランチャイズを展開した。しかし、盛者必衰の理で経営が悪化。1995年に破産し、事業は別会社へと譲渡され店舗も整理された。現在は赤坂の本店のみが残され、運営会社もチェンジしたそうだ。
以前は佐藤氏の立ち姿が写った大きな看板が店舗入口の上に掲出されていたが、いまは店内外ともリニューアル。スッキリと清潔感のある店舗に生まれ変わっている。私は随分ご無沙汰で、リニューアル後の訪問は初めてだ。「昔より味が落ちた」などの評判も聞くが、赤坂で深夜4時まで開いているのは、やはりありがたい。
麺メニューは塩豚骨の「赤坂ラーメン」と醤油豚骨の「赤坂小町」を主軸に、味噌豚骨、黒胡麻ラーメン、つけ麺などを提供。また「TVチャンピオン」で優勝した際のメニューで角煮が乗った「TVチャンピオンメン」も健在だ。ほかチャーハンに加え、餃子、唐揚げ、キムチ、焼肉、ピリ辛もやしナムルといったサイドメニューもある。
ちなみにナムルは以前はカンパ制だったのだが、いまは1皿70円と定額での提供に変わっていた。今回は主軸の「赤坂ラーメン」にチャーシューをトッピングし注文した。放送局が近いこともあり、店内にはタレントやスポーツ選手など有名人のサインをスキャンし縮小したパネルがいくつも飾られているので、待ち時間に眺めるのも楽しい。
厨房は2階にあるため、料理は専用の小型エレベーターで1階の客席に届くシステム。到着したのは、薄くスライスされたバラ肉チャーシューが丼からはみ出した豚骨ラーメンだ。スープはアツアツ。サラっとした飲み口で臭みの無い塩豚骨は、クセが無いので飲みやすい。そこに歯ごたえのある中太縮れ麺を合わせている。
トッピングは、やや獣臭の残るチャーシュー、刻みネギ、ホウレンソウ、海苔。決して不味くは無いのだが、すぐ近くに「麺屋 庄太」や「一刀屋」といった濃厚豚骨系店舗もあるので、これで1200円は少しお高めに感じてしまう。最後は卓上のニンニクペーストをスープに溶いて完食した。赤坂のレガシーを感じたい方はどうぞ。
<店舗データ>
【店名】 赤坂ラーメン 赤坂本店
【住所】 東京都港区赤坂3-13-5
【最寄】 東京メトロ千代田線「赤坂駅」徒歩2分
★2021年3月30日をもって閉店。
★跡地には「らぁめん 赤坂 みづ菜」が開店