昭和2年創業。福島屈指の有名店「牛乳屋食堂」
会津若松へ行くなら、郡山まで東北新幹線で一気に走り、磐越西線で向かうのが早いだろう。だが今回は、この店のラーメンを啜るために東武鉄道の特急「リバティ会津」と会津鉄道を乗り継ぎ、約4時間かけて芦ノ牧温泉駅までやってきた。県内屈指の有名店、昭和2年創業の「牛乳屋食堂」は、駅から歩いて1分の距離にある。
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店の歴史は屋号の通り牛乳屋から始まった。大正14年に国鉄会津線の敷設が決まると、馬車宿を営んでいた井上幸美さん・キヨノさん夫妻は、当時の終着駅だった上三寄駅(現・芦ノ牧温泉駅)のそばで牛乳の販売を開始した。昭和2年頃には鉄道が開通。ますます人が増えたため、今度は腹を満たす商売を考えたそうだ。
そこで、キヨノさんが隣に住んでいた中国人から本場の支那そばの作り方を教わり、提供を始めた。そんな経緯から「牛乳屋食堂」と呼ばれるようになり、現在も同じ屋号で親しまれている。キヨノさんの味は代々、嫁から嫁へと引き継ぐことにしていて、現在は3代目の節子さんが4代目の若女将とともに守っている。
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浅草を6時半に発つ朝一番の特急「リバティ会津101号」を利用し、会津田島でリレー号に乗車すれば、芦ノ牧温泉駅には10時40分に到着する。食堂は11時開店なので、記名台に名前を書いて待っていると、ご主人が「会津で一般的な中太麺と、オリジナルの手打ち極太麺の2種類があるけど、極太が人気」などと教えてくれた。
ラーメンは醤油、味噌のほか、人気No.1という「ミルクみそラーメン」や、10食限定の「塩レモンラーメン」、タンメン、ゴマ辛担々麺など様々。それぞれ中太麺と極太麺から選べ、極太麺は70円増しとなる。また、麺と人気を二分する会津名物「ソースカツ丼」や、それを玉子で綴じた「煮込みカツ丼」も提供している。
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さらに餃子やホルモン炒めなどの一品料理もあり、座敷席で宴会をすることも出来るそうだ。せっかく来たのだから、アレもコレも食べたいと悩んでいたら、ミニカツ丼と半ラーメンに、小鉢と牛乳が付いた「牛乳屋ミニセット(1050円)」を発見。こちらを極太麺でオーダーし、同行者の「ミルクみそラーメン(中太麺)」とシェアすることに。
まず、ご主人が「喜多方より会津のラーメンの方が旨い」と対抗心を燃やす、自慢のラーメンをひと口。スープは醤油清湯で、豚ガラ、鶏ガラに煮干しと野菜を加えて煮込んだもの。醤油のカエシは甘すぎず、香ばしさと若干の酸味を感じるスッキリとした飲み口だ。モチモチした極太麺は、食べ応え十分。スープとの相性も抜群である。
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お次は名物「ミルクみそラーメン」を。味噌に牛乳を加えたマイルドな飲み口のスープは、生クリームやチーズでコクを出しているが、重過ぎず後味が良い。コーンがたっぷりなのと、ニンニクがしっかりと効いているのが嬉しいところ。残ったスープに半ライス(170円)を加えて、リゾット風に締めるのがオススメだそうだ。
さて、お楽しみの「ソースカツ丼」へ。会津産のコシヒカリの上に、ソースに潜らせたボリュームある豚カツを乗せた逸品だ。赤身と脂身のバランス良い肩ロース肉を使っており、ジューシーな仕上がりで旨い。代々継ぎ足し使っているという秘伝のソースは、酸味と甘みのバランスが最高。また食べに来たくなる唯一無二の旨さである。
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なお、牛乳は郡山「酪王乳業」の牛乳に、店のラベルを貼ったオリジナル商品だ。オーダー時に白(通常の加工乳)、カフェオレ、フルーツオレから選ぶことが出来る。それから、食堂の向かいには牛乳屋の売店もあり、牛乳のほか、お持ち帰りラーメン、カツ丼のタレ、グッズを購入出来る。待ち時間に覗いてみると良いだろう。
<店舗データ>
【店名】 牛乳屋食堂
【住所】 福島県会津若松市大戸町上三寄香塩343
【最寄】 会津鉄道会津線「芦ノ牧温泉駅」徒歩2分