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肥宝館 -貧すれば丼する-

【宮城 岩出山】 いろは食堂 本店「特製いろはらあめん(1000円)」

岩出山の行列店の女将は伊達じゃない

宮城県北西部の大崎市岩出山町へ。自動車なら東北道・古川ICを降り江合川沿いに15分ほど。鉄道ならば、宮城県小牛田と山形県新庄を結ぶ「JR陸羽東線」でのアプローチとなる。町の中心部に跡を残す岩出山城は、戦国時代、仙台に転じる前の伊達政宗が在城したことで知られ、鳴子温泉峡と合わせて訪れる観光客も多い。

さて、その岩出山町に知る人ぞ知る名店があると聞いた。「いろは食堂」といって、ラーメンの旨さも然ることながら、とにかく女将さんの個性が強いとの話だ。その女将さんが居るのが岩出山の本店で、東北新幹線「古川駅」徒歩20分ほどの場所に支店もあるそうだ。怖いもの見たさも手伝って、今回は本店を目指すことに。

カーナビを頼りに店のある地点まで辿り着くも、古い町工場の様な木造の建物はあるが、看板や暖簾は無く、それらしい扉も無い。恐る恐る門をくぐり、窓から建物内をチラと覗くと、教室の様に40人ほどが席を埋め尽くしていた。驚きつつ「奥に進んでお待ち下さい」の注意書に従い中庭に廻れば、離れの軒先には更に10人程の列が。

並んで待っていると、女将さんがガラガラと引き戸を開け登場。「はい、次、なんに~ん?」「2人」「どうぞ~」といったやり取りを経て、少しずつ列が進み、いよいよ店内へ。お店は土間を改装したそうで、壁に古い農具などが掛かっているが、それより気になるのは、至る所に張られた北島三郎さんのポスターだ。10枚以上はある。

さて、肝心の麺メニューは「らあめん」と「特製いろはらあめん」の2種。特製は鷄チャーシューの替わりに、素揚げした大判の豚ロース肉がトッピングされる。ほか、1日限定5食の「カツ丼」やライス、お酒にビールも提供。今回は「特製」をオーダーした。ちなみに、様々な情報を元に店の掟をまとめると、概ね次の通りだ。

一、女将が呼ぶまでは勝手に店に入らない
一、女将が決めた座席からは動かない
一、女将が来るまで勝手に注文しない
一、注文し終えるまで水を取りに立たない
一、何があっても女将には逆らわない

掟を破ると強めの言葉で叱られるとあって店内には妙な緊張感が漂い、麺を啜る音と女将さんの声のみが響く。尤も、傍若無人で理不尽というワケではなく、ストロングスタイルな接客も味の内と楽しむ客が多い様だ。女将さんがホールを一人で取り仕切るためのテクニックなのかもしれない。さて、漬物が配膳されたら着丼も近い。

もちろん丼を運ぶのも女将さん。醤油色のスープは鶏ガラベースで、昆布や鰹節を使った魚介系の和出汁を重ねている。程よい酸味と甘みを感じる上品な飲み口だが、多めに注がれた鶏油がジャンク感を演出する。一方、麺は柔らかく茹で上げられた平打ち気味の細ストレート。シルキーな麺肌啜り心地が良く、コシもあり旨い。

大判の揚げたロース肉は、脂身に切れ目が入れてあり面白い形。筋がなく嚙み切り易く、味も良い。行列も納得の一杯である。なお、漬物は季節によって変わるようだが、この日は沢庵。薄味で大根の旨味をしっかり感じられる逸品である。最後は釣りの出ないように小銭を用意し、女将さんに「ぴったし、OK!」を頂けたら合格。

<店舗データ>

【店名】 いろは食堂 本店
【住所】 宮城県大崎市岩出山字二ノ構30-1
【最寄】 JR陸羽東線「岩出山駅」徒歩12分

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