横浜発・煮干しの名店「丿貫」が東京駅前に
三菱地所が中心となって再開発する、東京駅の日本橋口周辺エリア「TOKYO TORCH」。2021年6月に開業した地上38階のオフィスビル「常盤橋タワー」と、それを囲むように公園などが整備されている。また、完成すると麻布台ヒルズの330mを抜いて日本一となる高さ390mのビル「Torch Tower」も2027年に竣工予定だ。
アプローチとしては、前述の通りJR東京駅の日本橋口が至近であるほか、東京メトロ大手町駅のB9出口が直結。さらに三越前駅のB2出口、日本橋駅A1出口からも徒歩2~3分と便利だ。今後「Torch Tower」が完成すると、オフィスワーカーを中心にますます賑わいを見せるだろう。そうなると必要になるのがメシ屋である。
現在、常盤橋タワーの低層階「TOKYO TORCH Terrace」にはスペインバル、イタリアン、オイスターバー、フレンチ、クラフトビアレストラン、炉端焼き、焼き鳥など様々な飲食店が集っている。そんな中、地下1階に2024年11月15日にオープンしたのが、横浜発のセメント系煮干蕎麦の名店「丿貫東京(へちかんとうきょう)」だ。
株式会社simqが運営する「丿貫」は横浜福富町の本店をはじめ、横浜弘明寺、鳥取米子、横浜駅前、大阪布施、千葉木更津などに支店を展開。ここ常盤橋タワーの店舗もグループ直営店で、その名は轟いているものの都内への出店は初となる。店内はオープンキッチンを囲むようにカウンターに15席ほどと、テーブルで12席ほど。
麺メニューは「煮干蕎麦」と「牡蠣蕎麦」の2種があるほか、季節モノで「クリスマスチキンの和え蕎麦トリュフ添え」も提供していた。また味付きの替え玉=和え玉も「黒酢のあえ玉」「海老みそのあえ玉」の2種を揃えている。追加トッピングには低温調理の肉増し、鶉の味玉を用意。日本酒も充実しており一杯飲るのも良いだろう。
今回は「煮干蕎麦(1000円)」に「低温調理の肉増し(500円)」と「鶉の卵 3個(150円)」のフルトッピングで注文した。待つこと10分ほどで着丼。セメント色のスープは九十九島の平子煮干と伊吹いりこを主軸に炊いたもの。粘度はさほど高くはない。煮干し100%のアニマルオフなのだろうが、旨味の層が厚く物足りなさは皆無だ。
あえてややエグみを残したチューニングで、しっかりと煮干しマニアを納得させる味わいに仕上がっている。日本酒とのペアリングを意識したのか、塩味はやや強め。そこに菅野製麺所製の中細ストレート麺を合わせている。低加水でプツっと歯切れ良く、ハリがあって喉越しも良い。濃厚な煮干しスープとの相性は抜群である。
チャーシューは生ハム風のレアな豚肩ロース肉が4枚。薄切りだが大判で、塩味が強めのスープに対して味付け控えめなので、肉の旨味が引き立っている。鶉の味玉はタレが染みて良い味に。ほか刻み玉葱とトッピングはシンプルである。まだ胃袋に余裕があるので「黒酢のあえ玉(300円)」を追加トッピングすることに。
着丼時「味がついているので、まずはそのままで」との案内が。黒酢ということでツンとした酸味やニオイをやや警戒していたが、いざ啜ってみるとキツい感じは全くない。円やかさのあるタレで箸が止まらない。もちろんスープに浸けても美味。あっという間に麺もスープも完食した。次回は「牡蠣蕎麦」を啜りに来よう。
<店舗データ>
【店名】 丿貫東京(へちかんとうきょう)
【住所】 東京都千代田区大手町2-6-4
【最寄】 東京メトロ「大手町駅」B9出口直結