四国山地の真ん中で啜るラーメン
吉野川の清流を車窓に四国山地を駆け抜けるJR土讃線。特に阿波池田駅から土佐山田駅までの区間は秘境・大歩危小歩危峡をはじめ絶景を楽しむ事が出来る。今回はその四国山地のど真ん中、大豊町の国道32号沿いにある「大豊ラーメン」で昼食を。大田口駅と土佐穴内駅の中間地点に位置し、どちらの駅からも1.5キロほど。歩くと25分はかかる。
店の入口脇には育ち過ぎた観葉植物が繁り、その間から赤い暖簾と営業中の木札がわずかに覘いている。確かに「ラーメン」とは読めるが、屋号などは特に無し。注意せねば見落とす外観である。その上、店の周りには「刀剣・鎧・鐔」「高価買取」など飲食店らしからぬ単語が並ぶ。一瞬戸惑うだろうが、怯む事なかれ。
実はコチラのお店は、高知市の中心街・追手筋にある「古美術売買流通センター」が経営しており、その看板の主張がやや強めなだけなのだ。暖簾をくぐると、扉横に下がった風鈴の舌にはしっかり「大豊ラーメン」とある。店内はカウンター7席と4人掛け小上がり1卓の計11席。優しい女将さんが笑顔で迎えてくれる。
ラーメンはしょうゆ、みそ、塩のほか、あんかけ五目、鍋焼、高知の人気チェーン豚太郎テイストな「みそかつ」もラインナップ。一方で、唐揚げ、とんかつ、ギョーザの定食セットや、やきめし、焼そばも提供している。常連には「みそらーめん」が人気だそうだが、今回は「鍋焼ラーメン(1100円)」をオーダーした。
待つこと8分ほどで、土鍋の中でグツグツに煮えた一杯が到着した。高知県なので須崎名物の「鍋焼きラーメン」をイメージしていたのだが、どうやら少し違う模様。スープは鶏ガラベースだろうが、須崎の鍋焼きは親鳥の肉なのに対し、コチラでは豚バラがトッピングされる。加えてアサリ、小エビ、烏賊といった魚介類もスープに。
ほかキャベツ、もやし、タマネギ、ニラ、人参、小口ネギと野菜も多く、それぞれの出汁がスープに染み出し良い味に仕上がっている。麺は柔らかな中細ストレートで、その下にはスープの熱で固まった玉子も。最後は丼頂の梅干しを口に含みサッパリと完食。須崎流とは違うが、具沢山で旨い一杯だった。次回は「みそ」を啜ってみよう。
<店舗データ>
【店名】 大豊ラーメン(おおとよラーメン)
【住所】 高知県長岡郡大豊町磯谷74-1
【最寄】 JR土讃線「土佐穴内駅」徒歩25分