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テレビっ子のひとり突っ込み

『図書館戦争』有川浩

2022-06-27 23:49:40 | 読書案内


コロナでテレワークになる以前は、会社帰りにただただなんとなく本屋に立ち寄るっていうのがライフワークのようなもの
だったので(本屋が開いてる時間に帰れればて感じでしたが)、よく平積みされてた有川浩さんの作品は名前は知ってはいた
けど、所詮ライトノベル的なやつだろうと思って敬遠してたもの。

けど「阪急電車」って作品が映画化されて、主演の中谷美紀がプロモーションでテレビに出て作品のことを紹介してたのに
興味を惹かれて、初めて有川浩作品を読んで虜になった。

この作品は、有川浩の3作品目くらいとして出会ったシリーズ。(もう、シリーズ推しとしてのご紹介です。)

タイトルからしてすごくめんどくさそうな作品だと思ってましたが、意外にもラブコメ要素たっぷりで、それでいて色んな
ことを考えさせられる、ちゃんと読めばすごくいい作品だと思います。


概要としては

物語の舞台となるのは、「メディア良化法」という人権を侵害する表現を規制するための法律というものが実効支配する
架空の時代。

法の施行に伴い、メディアへの監視権を持つメディア良化委員会が発足され、不適切とされたあらゆる創作物は、良化特務
機関(メディア良化隊)による検閲を受ける。

もちろん図書館もその標的となり、しばしばこの機関に勝手に不適切と認定された図書が焚書とされる。

しかし、図書館はこの弾圧に激しく抵抗。図書館法に則る公共図書館は、「図書館の自由に関する宣言」を元に「図書館の
自由法」を制定し、自主防衛のために図書隊を結成。

こうして、図書隊と良化特務機関との抗争に突入。


そんな感じのベースがあり、ヒロインであり本が大好きな主人公の笠原郁が、高3の時に立ち寄ったある本屋で、大好きな
本をメディア良化隊に奪われそうになるという危機に直面するが、その際にある図書隊員に救われたことがきっかけで、
憧れの王子様と同じように「理不尽な検閲から本を守りたい」と図書隊に入隊するところから物語が始まります。

入隊時の面接で、王子様に救われたことを熱く語る郁でしたが、その王子様がなんとその場にいた面接官で鬼教官と言わ
れる堂上篤で・・・。

堂上の周りの人たちの生暖かい気遣いにより、郁は堂上班に配属される。
そこで、色々な失敗や試練を乗り越え成長しつつ、王子様の正体が判明してラブコメ突入したりしなかったり、っていう
ようなお話です。


この作品、図書隊員たちはあくまでメディア良化隊からの検閲の防衛をする、っていうものなんですが、有川浩氏(表記
有川ひろに変わったんだっけ?)は元々自衛隊マニアなので、自衛隊の理念と「図書館の自由に関する宣言」とをすごく
うまく結びつけて作品を描いています。

なので、けっこう本格的に戦闘シーンが出てくるんですが、専守防衛とは何かっていうところから、自衛隊のこととか
結果的に日本が掲げている憲法9条っていうのを図らずもすごく考えさせられる作品になってます。


何年か前にもけっこう色々論争あった気がしますが(安倍政権になりたての頃だっけ、「集団的自衛権」の行使について
見直されたりしたの?)専守防衛について。けっこうこの言葉、色んな解釈があるなって、初めて考えさせられました。

専門家でもないし、こういうのちゃんと深く勉強してるわけではないのでほんとはあんまり言いたくないんですが、とり
あえずそ当時に考えたいくつか。


①敵に攻撃されても、盾的なもので防御するのみ。(相手を傷つけるような行為はしない。)
②敵に攻撃された際、自国の領域内で防戦する。(相手を傷つけるのはやむを得ない)
③敵に攻撃された際、領域内外に関わらず自国への被害を抑えるために戦う。
④攻撃は最大の防御。攻撃される気配を察知した場合は、自らそれを防ぐための攻撃を行う。


本気でどっかに攻撃されるなら、もうほんと結界的なシールドを国を覆う形で張り巡らせないと無理でしょう、ってこと
で①は楽観論でしかないかなと。

この作品では②の概念に基づいて防戦するんですが、それがほんともう理不尽にやられまくる・・・。そっから派生して
これもどうなの?って思っちゃう。

④もやり過ぎ感はあるけど、対北朝鮮で必要性が叫ばれてた迎撃ミサイルもちょっと進化を遂げていくうちに、近い形に
なっちゃうんじゃないかなと。

そんなようなことを時々考えながら読んでました。

ちなみに、「図書館の自由に関する宣言」っていうのは実際にあるものらしくって、作者の有川氏がそれを見て思いついて
書いた作品らしいです。


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図書館の自由に関する宣言


 図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することを、もっとも重要な
任務とする。この任務を果たすため、図書館は次のことを確認し実践する。

第1 図書館は資料収集の自由を有する。
第2 図書館は資料提供の自由を有する。
第3 図書館は利用者の秘密を守る。
第4 図書館はすべての検閲に反対する。

図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。

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この、最後の意味深な一文ですよね。きっと。



ちなみに、この作品読んでた当時、なんとなーく主人公の郁を綾瀬はるか、堂上教官を西島秀俊イメージで読んでたので
実際に映画化されたとき、岡田君(岡田准一)と榮倉奈々っていうキャスティングにすごく違和感ありましたが、映画見た
らそんな違和感もすぐに吹き飛びました。

とはいえ、「奥様は取り扱い注意」ってドラマで私の夢のキャスティングが叶って、全く関係ないドラマなんですが、
ちょっと嬉しかったです。

まー、原作にある身長差の設定がねー。そっからきっと探したんでしょうねと。

コメント (4)
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