シリーズでお届けしています「平成24年度当初予算を読む」のまとめをしたいと思います。
当初予算は対前年比27億9千万円、率にして13%増の242億8千万円と合併後最大の
積極型予算編成となったと、すでにお知らせしました。
ここで私が重要に思うのは、プライマリーバランスがマイナスに転じたということです。
※プライマリーバランスとは:基礎的財政収支。過去の債務に関わる元利払い以外の支出と、
公債発行などを除いた収入との収支のこと。簡単に表すなら債務を支払う額と公債を発行する収支。
元来は政府会計において使用されるごくではあるが、あえてここでは説明の為に一般会計に当てはめさせていただく。
市債(臨時財政対策債を除く)の発行額約41億4400万円に対して返済額は38億8000万円。
単年度でのマイナス額は約2億6400万円。
この財政運営について市長は記者からの質問に答える形で次のように述べていらっしゃいます。
「厳しい財政状況であっても課題解決を進める必要がある。
当市の施策の基本は総合計画であり、これは中長期的な視点で計画を立て中長期的な財政見通しを
もって計画したもの。現在のところ過疎債、合併特例債の起債が平成27年度で終了することになっている。
これも勘案する中で優先的に行う事業を積み上げた結果が24年度予算であり、
常に経済対策、景気対策は考えているが、投資的経費が前年度よりほぼ倍増できたことで、
地域の景気対策にもつながるのではないかと期待する。」
確かに「大田市過疎地域自立促進計画」も鑑みて、中期財政見通しを勘案しながら、
いま即座に進めていかねばならない大規模な投資をすることは大切なことであります。
特に東北大震災を受けての市民の安全・安心の確保に向けた事業は優先的事項だと思います。
昨年示された「中長期財政見通し」での24年度地方債の借入額は50億2000万円、償還額は33億6000万円。
実際の当初予算では借入金58億1400万円、償還額34億3300万円(普通会計ベース)
基金残高の予定額が70億3000万円だったのに対し、当初予算では69億3600万円と
極めて多くの市債発行と基金取り崩しからの財源がなされていると考えられます。
中長期財政見通しでは来年度もこのプライマリーバランスはマイナスになるとしています。
その後はプラスに転じ、一時期は増加する市債の残高も減少で推移するようです。
しかし、基金残高は減少の一途をたどり、枯渇する恐れも示唆しています。
ほんとうに必要なものを必要な時期につくること、行うことは当然の事と思いますが、
必要な目的だけに限らず、要望に応じて広く利活用することも考えて欲しいと思います。
学校体育館の改築等は生涯スポーツの場となるように、市民会館の改修については
優れた芸術・文化の鑑賞の場としての更なる提供と、核となった芸術・文化の振興を、
消防署については、県の中核施設となるような整備などなど。
プライマリーバランスがマイナスになったことを胸をはって説明できるようにお願いしたいものです。
そういう意味では、市長へのインタビューの最後の部分は「期待する」ではなく、
そうなるよう「努力する」と言って欲しかったと思います。
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