細沼園のお茶飲み話

お茶の時間のひとときに、思いつくまま書きました。

風が吹けば 加藤実秋

2010-08-18 23:22:40 | 読書メモ か行
《内容》
「身の丈サイズでゆるーくやっていきたいと思う反面、ダサいもの、価値観に一ミリでも合わないものは受け入れたくない」。矢部健太高校二年生、夏休み直前。そんな彼が…。84年にタイムスリップ「つっぱり」メンバー達とのひと夏のふれあい。
                 (紹介文より)

☆☆☆☆☆
―――歩みは頼りなく、行く先も定まらない。それでも健太たちは目の前の道を進んでいくしかない。思いも寄らない出来事や他人のさりげない言動で行き先が変わったり途切れてしまったりもする。でも大丈夫「なんにせよ自分で選んだ道に沿って起きている」

影法師  百田尚樹

2010-08-18 22:46:59 | 読書メモ は行
《内容》
光があるから影ができるのか。影があるから光が生まれるのか。ここに、時代小説でなければ、書けない男たちがいる。父の遺骸を前にして泣く自分に「武士の子なら泣くなっ」と怒鳴った幼い少年の姿。作法も知らぬまま、ただ刀を合わせて刎頚の契りを交わした十四の秋。それから―竹馬の友・磯貝彦四郎の不遇の死を知った国家老・名倉彰蔵は、その死の真相を追う。おまえに何が起きた。おまえは何をした。おれに何ができたのか。
              (紹介文より)

☆☆☆☆★
―――武士が剣を修行するのは、その精神に到達するためだと思う。技の良し悪しは本道ではない。真に剣の道を極めた時、おのずとまことの武士になっている。


―――自分の命は天に預けたものと思っていた。いつの日か召し上げられる時が来る、もし明日がその時なら天命に従うまでのことだ。みねと暮らした二年の日々は言葉に尽くせぬ幸せだった。もはや思い残すことはない。

スターバト・マーテル  篠田節子

2010-08-18 21:21:29 | 読書メモ さ行
《内容》
乳癌と診断されながらも、完治したように見えるなか、彩子は夫から勧められた会員制プールに通い始める。そこで声をかけられたのが、中学校時代の同級生・光洋だった。早熟で独特の雰囲気を放っていた男との思わぬ出会い。さらに夫の言葉が、時を隔てた再会に微妙な色合いを与えて…。表題作ほか1編を含む、悩める女性たちに贈る篠田流スパイシーな恋愛小説。
               (紹介文より)

☆☆☆☆★
―――いろいろあるけどさ、いくらひどくても一時のことなんだ。やがて青空が顔を出す。焦ってみたり、やけを起こして突っ走っても、ろくなことにならない

―――人生、足るを知れば悲観することなどなにもないのです。

田村はまだか  朝倉かすみ

2010-08-18 20:29:53 | 読書メモ あ行
《内容》
深夜のバー。小学校クラス会の三次会。四十歳になる男女五人が友を待つ。大雪で列車が遅れ、クラス会に間に合わなかった「田村」を待つ。待ちながら各人の脳裏に浮かぶのは、過去に触れ合った印象深き人物たち。今の自分がこうなったのは、誰の影響なのだろう―。それにつけても田村はまだか?来いよ、田村。人生にあきらめを覚え始めた世代のある一夜を、軽快な文体で描きながらも、ラストには怒涛の感動が待ち受ける傑作。
                 (紹介文より)

☆☆☆☆☆
―――誰か、とても暖かいひとの手で、こうして頭を撫でられながら眠りにつきたい夜が、あたしにだってあったりするのよ。

吉祥寺の朝日奈くん  中田永一

2010-08-18 20:20:23 | 読書メモ な行
《内容》
2009年最高の青春恋愛ストーリーが誕生! 僕たちは、永遠に残る愛の存在を信じられるのだろうか? 『百瀬、こっちを向いて』で読書界を騒然とさせた中田永一が贈る、これまでにない至高の恋愛小説。 山田真野。 上から読んでも、下から読んでも、ヤマダマヤ。 彼女はそれをいやがっていたが、僕には関係なかった。 最後までずっと「山田さん」と呼んでいたからだ。 東京・吉祥寺に住んでいる僕と、山田さんの、永遠の物語。 デビュー作『百瀬、こっちを向いて』が「本の雑誌」「ダ・ヴィンチ」の小説ランキングでベスト10入りした中田永一の青春小説集、第2弾!
                (紹介文より)

☆☆☆☆
―――床におちた花びらをつまみあげて、窓からてをのばし、外の風にのせた。

あんちゃん  北原亜以子

2010-08-18 18:19:52 | 読書メモ か行
《内容》
兄弟の深い絆、男女の運命の糸。江戸の空の下で再会した兄と弟。金儲けに明け暮れた弟に兄が振り上げたこぶしの真意とは。傑作短編を7作収録。心を暖める傑作時代小説集。
            (紹介文より)

☆☆☆☆☆
――― 人を恨んでいるとな、顔が歪んでしまうぞ。

小さな理由  森浩美

2010-08-18 17:59:21 | 読書メモ ま行
《内容》
私は破れた鯉のぼりを抱え、「おかあちゃん、僕んちには本物の鯉のぼりはないの」と涙をこぼしながら尋ねた。答えあぐねている母を尻目に、「ヒデ、鯉のぼりを上げるなんてのは立脈な男の子がいるうちがするもんだ。お前みたいな子のために上げる鯉のぼりは、うちにはねえ」伯母はそう言い切った。―父のいない家庭で育ち、苦労と我慢を重ねた主人公に、訪れたささやかな奇跡とは(「夜の鯉のぼり」より)。心に沁みる家族小説短編集。
               (紹介文より)

☆☆☆☆☆
―――人として生まれた訳で、鬼に生まれた訳ではない。でも、どこかで鬼になることを強いられる時があるんだ。

―――でも、人生というのは、気まぐれな神様が、見えない天秤の上に、良いことと悪いことの重りを載せてバランスを量っているのだろう。だから一方的に良いことだけの重りが増えるということはないのだ。

竜の涙 ばんざい屋の夜   柴田よしき

2010-08-18 17:36:00 | 読書メモ さ行
《内容》
東京・丸の内の片隅に、ぽつんと暖簾をかかげる小料理屋。少しさびしそうな美人女将の手料理をもとめて今宵もこころに疵を負った客が訪れる―。
              (紹介文より)

☆☆☆☆☆
―――いいか悪いか、わたしには言えない。でも、しくじらずに生きていくことは出来ないとわたしは思うの。だから人は祈るのね。祈ったり信じたりして・・・・霧が晴れる日を待つのね。

―――故郷の町で過ごした日々は、もう永遠に手の届かない遠い遠い夢のようなもの。

―――大事なことは、互いのことは何も知らない同士、ひとつずつ、知っていこうと努力する姿勢だ。
過去にこだわっても得られるものはない。

明日の空   貫井徳郎

2010-08-18 12:23:46 | 読書メモ な行
《内容》
親は日本人ながらアメリカで生まれ育った栄美は、高校3年にして初めて日本で暮らすことに。「日本は集団を重んじる社会。極力目立つな」と父に言われ不安だったが、クラスメイトは明るく親切で、栄美は新しい生活を楽しみ始める。だが一つ奇妙なことが。気になる男子と距離が縮まり、デートの約束をするようになるが、なぜかいつも横槍が入ってすれ違いになるのだ。一体どうして―?栄美は、すべてが終わったあとに真相を知ることになる。
            (紹介文より)

☆☆☆☆