細沼園のお茶飲み話

お茶の時間のひとときに、思いつくまま書きました。

オジいサン    京極夏彦

2011-08-16 23:42:38 | 読書メモ か行

《内容》

益子徳一、七十二歳、独身。定年後の人生を慎ましく送る独居老人の生真面目で平凡な日常を、そっとすくい上げて、覗いてみると――。可笑しくて、温かくて、すこしだけ切ない「老人小説」。       (紹介文より)

 

―――勉強しない者は物知らずのまま育つことになる。    人生にゆとり、ではなく知能にゆとりができるだけだ。

―――自分に厳しくするのは難しいものだ。

―――生き物としてこれだけ草臥れてしまってから生き急いだって仕方ない。ここまできたらのんびり進みたいと思うし、実際に鈍鈍と生きているのだけれど、気がつくとあっという間に過ぎている。優雅のゆの字もない。ただ時が目まぐるしく過ぎていくだけである。


ばんば憑き   宮部みゆき

2011-08-16 21:35:33 | 読書メモ ま行

《内容》

湯治旅の帰途、若夫婦が雨で足止めになった老女との相部屋を引き受けた。不機嫌な若妻をよそに、世話を焼く婿養子の夫に老女が語り出したのは、五十年前の忌まわしい出来事だった…。表題作「ばんば憑き」のほか、『日暮らし』の政五郎親分とおでこが謎を解き明かす「お文の影」、『あんじゅう』の青野利一郎と悪童三人組が奮闘する「討債鬼」など、宮部みゆきの江戸物を縦断する傑作全六編。     (紹介文より)

―――それは確かに、金は使いようで生き金にも死に金にもなりますからな。

―――人を舐めきった甲高い笑い声が、耳をふさいだ指の隙間をするりと通り抜けて、心の奥に突き刺さった。

―――分かれるけれど、消え失せはしない。亡き人びとはこの世を離れて、だからこそ永遠のものとなるのだから。