goo blog サービス終了のお知らせ 

細沼園のお茶飲み話

お茶の時間のひとときに、思いつくまま書きました。

末裔    絲山秋子    

2011-08-17 22:42:24 | 読書メモ あ行

《内容》

家族であることとはいったい何なのか。父や伯父の持っていた教養、亡き妻との日々、全ては豊かな家族の思い出。懐かしさが胸にしみる著者初の長篇家族小説。    (紹介文より)

 

―――しかしながら、オヤジとじいさんの境目というのは一体どこにあるのか。オヤジが何を乗り越えればじいさんになるのだろう。                                  きれいなオヤジというのは珍しいが、きれいなじいさんというのはそこかしこにいるものだ    (中略)          つまり、じいさんというのは気の利いた存在だ。              それに引き替えオヤジというのは気の利かないことこの上ない。よかれと思って余計なことを言い、余計なことをするのがオヤジの身上と言ってもいい。頑固で傍若無人で怒っぽくて、脂ぎっててニンニクやホルモンや酒やタバコが大好きなのに陰では加齢臭を死ぬほど気にしていて、ひがみっぽくて卑屈で、威張っているくせに体力気力に自信がなくて、酒癖が悪くて酔っていなくてもしつこくて、だからみんなに嫌われる。

―――生きている人間は修正が利くが、死んだ人間のことなんか間違えて覚えていたらそのまんまじゃないか

―――やすらかには無理でも、すみやかに死んでいきたい。 


嫌な女   桂 望実

2011-08-17 21:07:41 | 読書メモ か行

《内容》

トラブルを重ねる夏子、その始末をする徹子。特別になりたい女と平凡を望む女。それでも―私は、彼女を嫌いになれなかった。“鉄の女”と“性悪女”を描く、桂望実二年ぶりの長編。   (紹介文より)

 

―――人は秩序立てて語ってくれないし、知りたいことは喋らないのに、関係ないことはよく喋った。

―――残念ながら落ちているのは、視力だけではない。肉体の機能のありとあらゆるところのネジが緩んでしまっていた


八月の犬は二度吠える   鴻上尚史

2011-08-17 19:41:12 | 読書メモ か行

《内容》

奇跡は起きなきゃダメなんです。悲劇の夏から24年たったひとつの恋のため、仲間を崩壊させた自分に死の床についた“かつての友人”が託したのは京都中を震撼させるはずだった極秘作戦の完遂――『八月の犬』で送ってくれ それだけが、俺の願いだ 俺な、ガンなんだ。あと半年って言われてる。僕、山室さんのこと、ずっと恨んでいたんです。長崎、許してくれ。俺は、俺は有希子ちゃんに……あんなに人を好きになったのは、あの時一回だけなんだ。       (紹介文より)

 

―――恥ずかしくて、哀しくて、腹立たしくて、その場にいられなかった。自分のしたことが恥ずかしく、自分が愛した人が自分を愛してくれないことが哀しく、それでも愛していることをやめられないことが腹立たしく

―――二十四年間、ずっと心の奥底に突き刺さっている。大人になって忘れたと思っていたのに。笑い話にできると思っていたのに。二十四年たっても、あの時の痛みと後悔はそのままの形で胸の奥にあった。

―――本当に深刻なことは言葉にできない。誰にも言えず、自分の中で抱え込むだけだ。


七人の敵がいる   加納朋子

2011-08-17 15:37:29 | 読書メモ か行

《内容》

PTA、学童、教師、夫に姑、我が子まで。上司より、取引先より手強いモンスターが次から次へと現れる!?困惑、当惑、そして笑いと涙の痛快PTAエンターテインメント!ワーキングママ、専業主婦に、育児パパ、そして未来の子持ち候補たち必読小説。   (紹介文より)

 

―――女とは、察して欲しい生き物なのだとつくづく思い知る、なんとまあ面倒くさい。本音を隠して、取り繕って。そして相手が自分の望む反応をしてくれないと、勝手に不機嫌になって。

―――甘い木の実にたどり着くためには、苦行のようにして山道を行かねばならないことがしばしばで、またそれが義務だったり強制だったりなんてことも普通で、木の実だってイガイガの棘に覆われていたりするものだから、なかなか美味しいとこ取りなんてわけにはいかないのだ。世の中そんなに甘くないのである。

―――同じ立場に立ってみなければわからないということというのは、確かにあるのだ。

―――いつだって、今すぐにできることなんて、笑っちゃうくらいにささやかなことでしかないので、きっと。


感染遊戯   誉田哲也

2011-08-17 13:36:13 | 読書メモ は行

《内容》

捜査一課殺人犯捜査係のガンテツこと勝俣健作が手がけた、製薬会社サラリーマンの殺人事件。息子の起こした殺人事件によって刑事の職を追われる直前、倉田修二がかかわることになった、二人の男女を襲った路上殺傷事件。姫川玲子班解体直前、殺人犯捜査第十係に所属していた葉山則之が担当した、世田谷の老人同士の小競り合い。事件の規模も様相もさまざまだが、共通している点が、ひとつあった。それは、被害者の個人情報を、犯人は何らかの手段で手に入れているらしきこと。事件の背後には何があるのか!?―。    (紹介文より)

 

 


ミッドナイト・ラン!   樋口明雄

2011-08-17 12:35:03 | 読書メモ は行

《内容》

きっかけは集団自殺だった。ネット心中を計画した5人の男女が、山中で実行間際、ヤクザに追われる少女を助けてしまう。だが山を下りると、無数のパトカーに包囲され―なぜか指名手配?どうせ、死ぬつもりだったんだ。今さら怖いモノなどあるものか。警察に追われ、ヤクザに撃ちまくられても、ひたすら突っ走る!生きているという真の意味を問うために―。  (紹介文より)    

 

―――人間ってさあ、ほら、いろんな岐路があると思うんだ。       その場その場でどの道を行くか、自分か、あるいは神様が決めているような気がするのよね。