《内容》
日本初! 文系の天才博士が事件を解決! それでも地球は動いている。――こう語ったイタリアの科学者の名前を冠した大ヒットシリーズがある。ミステリーの主人公には、かように天才物理学者や、天才数学者がしばしば登場する。たしかに、理系の天才は見えやすい。しかしながら、天才は文系にも存在している。中世の修道院を舞台にしたミステリー『薔薇の名前』で知られる哲学者ウンベルト・エーコなど、その一人であろう。この物語は、そんな文系の天才が登場するミステリーである。物語の主人公・宇野辺叡古(うのべえーこ)は、東京帝国大学法科大学の教授である。大著『日本政治史之研究』で知られる彼は、法律・政治などの社会科学にとどまらず、語学・文学・史学など人文科学にも通じる”知の巨人”である。その知の巨人が、連続殺人事件に遭遇する。時代は明治。殺されたのは帝大の教授たち。事件の背景には、生まれたばかりの近代国家「日本」が抱えた悩ましい政治の火種があった (紹介文より)