《内容》
妖術を操り、空を飛び、女人を寄せつけず独身を通した“希代の変人”細川政元。応仁の乱後の混迷した時代に、知略を尽くして「半将軍」の座をつかみ取る。信長に先立つこと70年、よく似た人生を送り、戦国時代の幕を開けた武将の、真の姿とは?政元の姉・洞勝院と、室町幕府を守ろうとする日野富子。女たちの戦国時代も華々しく幕を開ける。 (紹介文より)
―――たとえ迷おうとも、やはり踏み出せない一歩はあった。
―――不幸はいつしか心を萎れさせていく。人々は今、暗い心の裡に自ら鬼の姿を見出そうとしている。心が鬼を引き寄せるのだ。
―――手を伸ばせばすぐ触れることのできる近くにいながら、互いの間は月より遠く離れていた。
―――人は、人に支えられてこそ、人の上に立つことができる
―――一人で叶えられることには、限りがある
―――位を得て務めに励む者もいれば、位に驕って足元を見なくなる者もいた。人とは弱き心を持つ生き物であり、絶えず己と向き合ってこそ、真っ当な人となれる。