諸行無常
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理(ことわり)をあらわす。
・・(祇園精舎の鐘の音は「世の中に不変はない」と言っているように聞こえる。沙羅双樹の花の色は、
盛んな者は必ず衰えることを表している。思い上がった者は長く続かない)
皆さんよくご存知の「平家物語」冒頭の言葉です。
ここに使われる「諸行無常」とは仏教で大変重要な言葉で「世の中のあらゆる物は移り変わる」という意味です。
私事ですが、私ももうすぐ40歳。
自分では変わらないつもりでも、鏡を見るとつくづく「歳をとったな~」と思うようになりました。
でもこれは大人ならどんな美人でも思い、悩むことでしょう。このように一般的には、世の中の移り変わりの激しさや、
人の死を嘆くときに使われる「諸行無常」ですが、先に書いたように本来は仏教の根本思想なのです。
出典は、浄土真宗では拝読しませんが「涅槃経」で
「諸行無常 是生滅法 生滅滅己 寂滅為楽」とあります。またこれを諸行無常偈と呼びます。
意味は(生滅の法は苦であるとされているが、生滅するから苦なのではない。
生滅する存在にもかかわらず、それを常住なものであると観るから苦が生じるのである。)
となり、この自分の煩悩によって生滅変化することが苦しく感じるのだということを忘れてはいけないそうです。
苦しい時には「早く終わらないかな」と思い、楽しい時には「ずっと続けば良いのに」と思い。子供の頃には
「早く大人になりたいな」と思い、歳を取ったら「若い時に戻りたい」と思う。
かと言って歳の割に若いと褒められたら有頂天になったりする。
その時々には気づかないうちに時間は流れ、いつの間にか昔が懐かしく思う。
確かにこの苦しみは、自分自身が思い作り上げている苦しみのような気がします。
もうすぐお盆です、私を残してくれたご先祖に感謝し、今を大事に生きたいものです。
伊東知幸