春のお彼岸 まだまだ寒い季節が続きますが、「最近日が伸びたなあ」と思いませんか?それはそうですね、冬至から3か月も経とうとしているのですから。こんな季節の話も今回のテーマ「お彼岸」に大いに関係あります。 そもそも彼岸とは、我々の住む迷いの世界である「此岸」に対し、私たちがいつか往生する極楽浄土を「彼(か)の岸」と言い換えることで
す。それが現在のように先祖供養の行事として発展していった経緯をお話します。
お彼岸は春分の日と秋分の日を「中日」として、その前後3日を合わせた1週間をいいます。その春分、秋分の日は、太陽が真東から昇り、
真西に沈む日ですが、このことが「お彼岸」に大きな意味をもちます。 浄土三部経のうちの1つ「観無量寿経」というお経に、極楽浄土を想像するための16の修行が説かれています。その1つに、太陽が西に沈
む様子を眺めて、西方極楽浄土を望む「日想観」という修行があります。昔から極楽浄土は西の方向に存在すると考えられていました。
太陽が真西に沈む春分・秋分の頃には、彼岸に生まれた先祖にあらためて感謝をし、自分もいつかは彼岸に生まれたいと願って、
仏道修行に励む習慣が生まれたのです。 私たち日本人にとって、もっとも親しみ深い仏教行事となっているお彼岸ですが、不思議なことに、他の仏教国にお彼岸はありません。
一説には農業にもとづく日本独自の太陽崇拝「日の願」が「彼岸」と変わったとも言われています。 私たちは「日想観」などの修行は必要ありませんが、お彼岸期間中には先祖のお墓参りをして報恩感謝をし、法徳寺でも催される
「お彼岸法要」などに参加し仏教の信仰を深めていただきたいと思います。