高校生の頃、知り合いに映画館の株主優待券というただ券を毎月もらっていたので、よく週末に映画館に通った。ある時、大好きなフェイ.ダナウエィ主演の「パリは霧に濡れて」というルネ.クレマン監督のサスペンス映画が見たくて、学校を早引きして帰った事があった。(最近、フロストxニクソンと言う映画でニクソンを演じアカデミー賞の候補になった懐かしのフランク.ランジェラが相手役だった)
翌日から、他のに替わってしまうから、その日しかない。隣のクラスのユキちゃんと校門の外で待ち合わせしたが、なかなかやって来ない。私はやせっぽちで顔色が良くないから、担任に「貧血でふらふらする。」と言ったら、即帰ってよいと許可をもらった。校門の前に待ち続けるわけにも行かず、先に映画館に入っていると、20分位して、ユキちゃんは慌ててやって来た。
先生の許可が下りず、保健室に行かされた。保健の先生から体温を測るよう体温計を渡され、丁度目の前にあった石油ストーブの上のやかんの湯気に先生の目を盗んで近づけ、温度が上がった所で渡し、「まあ~!熱があるみたいだからお帰んなさい。」との言葉を貰って出てきたと言った。その後、家にはそ知らぬ顔をして帰った。
サボった日はの午後からの授業は苦手な保健体育と家庭科だったと思う。私は、味をしめその授業の日数回サボって同じ事をした。後で、単位をもらえるかちょっと不安になった。家庭科の先生には睨まれていたし...
高校の家庭科の先生とは馬が合わず、不器用な私は裁縫など嫌いだった。中学の時、マフラーを編んだが、仕上がったものはフレアースカートのように波打っていた。調理実習などなく、一度、ジャンバースカートを縫ったが、材料費が無駄になるだけで気に入ったものは出来なかった。(これは私のせいだから、仕方ない)
ある時、先生は私達に「家庭科の授業の必要性を良き家庭人になる為に...」と説教を始めた。その後それに対して「こんな事は家庭のしつけだから、普段していたら問題ない。」と反論した。中学のクラスメイトの数人は包丁裁きもうまく、手際よく調理をしていたし、自分で小物を作っていた。
その後、ユミコちゃんが「お手伝いさんをやとえばいいわ。」と明るく言い放った。
クラスの中はざわめき、みんな目が点になった。先生の顔が引きつり、「この中で何人の人がお手伝いさんをやとえるでしょうか」と怒り出した。その後の時間ずっとお手伝いさんの話にすり替わり小言で終わった。
確かに一人暮らしを始めると、誰もしてくれないから調理もする。必要になれば、家事は出来るし、お金の管理も出来る。高校での家庭科の授業が役立ったかと言えば、ちょっと、首をかしげる。
しかし、そう言ったユミコちゃんと私は家庭人に成れなかった。その頃から、うすうすそんな気がしていたけれど。
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