月日の流れは速く、気づけば9月に入った。虫の声も賑やかである。
この半月は新盆の事もあり、とても慌ただしく過ぎて行った。私のストレスの原因は気ままな一人暮らしであったのが、母との同居になりリズムが狂ったせいだった。
うるさいくらいに話しかけてくるが、年を取ると行動範囲も狭くなるが同じように話題も少ない代り、反比例して同じ内容の話をする回数は増えるのと、大概噂話か自分の気に入らない事を話すので相手をするのは苦痛だった。
そんなある日、父が夢の中に出てきて長テーブルの斜め前の席に座り楽しそうに談笑して食事をしているのを見た。数人の人がいたが他の方の顔は分からない。
父は死んだはずだけど…と思い、手を触るととても暖かい。
おかしいな死んだはずなんだけど…。
デジカメで撮るとやはり姿は写って無かった。 そんなところで目が覚めた。
ノワタリさんにお話しすると、
「それは向こうでのお父さんの姿ですよ。楽しく過ごされてますよ。そして手が暖かいって言うのはいいですね。満足されてるのね。」と言われ、姿を見せられた事は涙が出るほど嬉しかった。でもノワタリさんがイタコ代わりに話してくださるので有難い。
後日、「中間報告だ。」と言う言葉が入った。
そして菩提寺の和尚の新盆のお経も10分足らずでさっさと帰られ、お布施稼ぎかと思いたくなるようなあっけない物だったが、そのかわりノワタリさんが遠隔で1時間近く丁寧に供養されたので、有難く思った。
その頃、母は実家が独身の男兄弟しかいないので先祖供養もきっちりできていない事や、途絶えてしまう事を大変気にしていたが、ノワタリさんにうちでも母が祀ればよいと勧められた。
初めは、実家と言えども他家であるので気にしていたが、
「神様、家のご先祖を先にすれば、問題ないわよ。」の言葉に背中を押され、嬉しそうにいそいそと仏具を買い準備を始めた。
丁度良い事に母屋の仏壇は私の方に移っていたので、母屋にすることにし、3代前からの先祖の戒名も母が持っており、以前ノワタリさんの目の前に姿を現された4代前のおチヨおばあさん夫婦の戒名は元墓の写真があったのでそれを拡大して書き留めた。
またこれもノワタリさんにお世話になった。
「おチヨさんが出て来られると思っていたら、とても古いご先祖が出てこられましたよ。それが始める時にいつも国常立命様にご挨拶するんですけど、その時にふっくらした顔の筒袖の着物の女性が出られまして、お辞儀をされました。大元ですかね~。お父さんもよしよしって言ってます。」と言われる。そんな着物は調べてみると、平安初期までらしいのでまた驚いた。それが8月21日の事であり、夜お礼を言っていると、
「あの~、黒い仏像はどうなりましたかね?」と言われる。
「ええ、お不動さんも毘沙門天さまもそれらしいのが無いので、見つかってませんので…。」
私が仏像を捜し始める少し前、横浜の従兄も恵比寿さんを探していたが該当するのが見つからなかったが、ノワタリさんのお友達の手をお借りして探すとすぐに見つかり、御魂入れをされた事を話された。
「じゃあ、私もお頼みします。」と言ってお頼みすると、翌日すぐに見つかり、連絡が入った。
「あの~、ありましたよ。一目見て、ピッタリのが、広隆寺の弥勒菩薩様のようなやさしいお顔をされた如意輪観音様です。でも予算がずっとオーバーしますけど。」と言われたが、お頼みした。
すると段取り良く翌日のお昼に届き、あまりの速さに驚いた。その晩 灯篭送りの為に妹家族が来て、妹も話が急展開で進んだので大変びっくりした。
またその翌日は朝仏様のお霊供を炊き、如意輪観音様に御魂入れをして頂き、母方の元墓にみんなでお参りに行き、夕方は送り火を焚き父を見送り、菩提寺へ灯篭送りに出かけた。
1日中次々とする事が多かったのでみんなその晩は疲れが出てしまいバッタリと休んでしまった。
妹達は翌日一緒に墓参りをし、その翌日の朝ゆっくりするまもなく慌ただしく帰って行った。やはり宮崎は高速が大分付いたといえども遠い。母方の先祖の事から灯篭送りまで3日くらいの間の事だった。
話は前後するが、仏像を求めるよう助言された時、これは私でなく一切母がお世話するように言われていた。
あの時点で見つかっていても、たぶん母は、
「家は代々お不動様を祀っているから、要らない。」と言って全くとり合わなかったと思うが、先祖が入った事で素直に喜んで受け入れた。これが絶妙のタイミングだったと思う。
「お母さんの最後の仕事ね。この如意輪観音様とご実家の先祖を拝んでいくうちに、寿命も延び、落ち着いて行かれますよ。このままではあなたも潰れるといけませんからね。穏やかになられますよ。」
今の状態では寄りかかられてしまい身動きもままならず、仕事以外外出する事を嫌い束縛し、私は引きこもりがちになっていたが、母が自分の事が出来るのを後5年と想定し、何かを始めたくなっていた。
仏事の事だけでなく、畳み込むようにいろんな事が起きて行った。
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