のっけから強烈です。
自家用車のボンネットに宣伝カーのように箱が乗っかってて、そこに大きく書いてあります。
「田中角栄を殺す」(笑)
太平洋戦争中にニューギニアで戦ってて、そこで終戦を迎えたそうです。
とても怒っているんで、天皇に対しても不敬罪を働いたりして牢屋に入ったりしてますが、不思議と奥さんの理解を得られてます(笑)
行く先々に警察がマークしていて、もう顔見知りですらあるし。
訪問先で大概大騒ぎになるのですが、すぐに「警察を呼びなさい!」と逆切れしてます(簡単に手を出せない事を知っている、警察の人も
やりにくかろう)
他の遺族を伴って、昔の上官やら生き残ってる関係者を訪ねています。
テーマは、銃殺された兵士(2人)
軍からの通知は病死(だったかな?)になってたのですが、どうも違うようだぞ?と調べているのです。
銃殺されたのは20年9月って事は、日本は降伏した後。
脱走しようとしたのを捕まえたらしいのです。
確かに戦っている時に敵前逃亡したら銃殺モノでしょうが、戦争終わってたんですよね?…そうでんな。
軍法会議やったんですか?
…いや。
そりゃあんた、リンチや…
もうみんな、戦争の事忘れたいんやから、ほじくらんといてくれ!
みたいなすごい会話が。
そして話は当時の食糧事情へ。
食べるものは現地調達になってて(輸送船はみな沈められてる)肉は黒豚とか白豚とか食うてましたな?
上官は仕方なく?ウンウンしてます。
まさかあんたら、日本人食いよったんか?と詰め寄る主人公!
いや、黒豚しか食うてへん!(食べたんかいな?)
黒豚いうたらニューギニア人の事なんですが、これについては後日、異論を述べる元兵士もおりました。
「なに言うてまんのん?腹減らしてフラフラしてるわいらに捕まる間抜けな黒豚おりまっかいな?」
そりゃそうだな。
じゃあなにか?お前ら戦死したり病死した日本兵がそこら中に転がってる中、それを食うてたんか?
また詰め寄る主人公!
…(無言)
食うてたようです。
「野火」って事か。
その後、実際ニューギニアに渡って撮影が行われ、クライマックスとして実際従軍した集落も訪れたのですが、出国の際にインドネシアに
フィルムを没収されたのだそうで、とても残念です(どこかにあるんでしょうか?)
1987年にユーロスペース(同じビルの3階)で単館上映され、3ヶ月間連日立ち見だったとか。
本人は撮影後に別件で収監されてて(笑)裁判所で初めてこの映画を観たんだそうです。