天愛元年

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新元号『天愛』元年にスタート

強権

2020-05-29 16:45:50 | 日記

 なんか昔は無知な人民をオブラートに包んで弄んでいたような気がするけれど、最近は権力者が剥き出しに支配力を振りかざす度合いが強くなってきた。トランプ米大統領は自分の思いを教宣する道具に使ってきたツイッターをシャットダウンしてやろうという構えを見せ始めたし、中国は香港の1国1制度化に舵を切りだした。ちょっとでも甘い所を見せると付け上がりやがるんで、ガツンといわしてやろうという、その筋の怖い人の道を選択したようである。
 本邦においては、原発溶融に巨大地震と津波や歴史的な風水害といった大惨事が発生するたびに、国民が恐れおののいて、時の政権にお情けを乞い、従順度が増していくものだから、政権は人民に媚びたりせず、図に乗って遠慮会釈をしなくなった。休業要請やステイホームでにっちもさっちも行かなくなった中小法人や個人事業者の救済のために設けた持続化給付金の運営を、経済産業省肝いりの幽霊法人に任せていたとは恐れ入る。天下に役所多しといえど、ここに限って各執務室のドアに施錠するという奇観の理由がこの辺りにもありそうである。そんな態勢だと、安倍首相が口癖にする「間髪入れずに」給付に結びつくのか疑問である。ご丁寧に「『持続化給付金』を装った詐欺にご注意ください」と呼び掛けているように、本物の給付手続きに手間取っているうちに、詐欺に遭いでもしたら踏んだり蹴ったりである。
 また、鳴り物入りの新型コロナウイルス感染症専門家会議については、議事録を作成していないとは、世間の常識と期待に乖離してくれるものである。専門家といっても肩書きは立派そうな人の集まりであっても、出てくる対策は「手洗いを励行しましょう」などと、小学生に先生が話し掛けるような内容なので、実際の討議の中身が恥ずかしくて外に曝したくないのかもしれない。それにしても随分、世間を舐めた態度とは言える。
 こうした姿勢が何年続こうとも、掛け替えのない唯一頼れる政権だと評価を落とさず、ひたすらすがってきたのだから、国民の忍耐力もけっこう強靭ではある。しかし、視点を国内に限定することはいつまでも許されない。中国、ロシア、韓国、北朝鮮に米国と、日本を取り巻く海外勢力が体制の強化と勢力の拡張に剥き出しの欲望を強めている折、少しでも隙を見せれば、国家が国民に示す強権を、海外勢力が弱小国に強いてくることは火を見るよりも明らかである。日本は先進国だ、技術国だと夜郎自大になっていても、マイナンバーカードによるオンライン給付申請や感染状況の集計、PCR検査にアベノマスク配布など、日本の行政・専門家の処理能力の程度が海外に知れ渡ってしまった今となっては、待ったなしの危機が迫っていると覚悟した方がいいと思われる。
 東京都下の区職員が緊急事態宣言下に営業していた飲食店の建物に「自粛しないと火をつけるぞ」と脅したような事件を見聞きするので、公務員の意識は大体そのようなものだと見当が付いて、或いはひょっとしてと想定はしていたけれど、町の菖蒲園が見頃になったのではと見に出掛けたら、やっぱり立ち入り禁止のロープがぐるっと張り巡らしてあった。天下の名城のほとりにある観光名所並みに、いつの間にか格上げされていた。毎年行くけれど、緊急事態下のスーパーほども混んだことがないのに、まあお節介で興醒めな事である。私有地にして足を踏み入れるべからず、的な張り紙を掲げる近所のオヤジに似て、一歩も関わりたくないので、小便も引っ掛けず黙って引き下がった。伊勢物語第9段の『唐衣』に倣って、各句の頭に「かきつばた」の文字を折り込んで詠んでみた。

(か) 頑なに
(き) 決まり押し付け
(つ) つかさ人
(ば) 花の周りに
(た) 立ちはだかれり