自粛生活の中、暇潰しにプライム・ビデオを観るとき、無料で名作を探すと、どうしても著作権が切れたような1940年代の作品となる。決してロリコン趣味ではないけれど、少し少女趣味の『若草物語』(1949年版)にした。何と言ってもエリザベス・テイラーが出ていた。小さい頃の外国女優と言えばマリリン・モンローかリズ・テイラーが双璧であった。モンローは美のアマゾネスといった圧倒感があって、憧れの対象とするには日本人の体躯的に荷が重すぎた。リズなら正統派美人でスクリーン越しに恋することができたが、近寄り難いのには変わりはなかった。日本で言えば、山本富士子みたいであった。若草の中であれだけ成熟しているのに、四姉妹の4女エイミー役とは意外だった。病弱で若くして亡くなってしまう可愛い(マーガレット・オブライエン)ベスが末っ子だとばかり思い込んでいた。次女ジョー役のジューン・アリスンが四姉妹を引っ張っていく勝ち気で、かつ脆いペーソスの溢れた役柄を巧みにこなし、物語に引き込まれた。このジョーにプロポーズしたのに頑なな彼女の性格により断られた隣家のぼんぼんローリーが後に、リズのエイミーと結婚する事になってしまうところが、この映画の一つの見せ場であった。実はジョーはこのぼんぼんの家庭教師をしていたジョン・ブルックに密かに思いを寄せていた。ところが皮肉なことにジョンは長女のベスに恋していた。決意を固め若草家を訪ねたジョンは、妹の手前渋るベスに強引にプロポーズし、ついに受け入れたベスと堅く抱擁を交わす。そこへ若草家に財政的援助をする近所のうるさ型の叔母が玄関ドアを開け、盛り上がったところを目撃する。ジョンは慌てて隠れ、残ったベスに叔母は叱りつけるような早口で、あんた達、何してんの!プロポーズされたの?受け入れたの!あんな男ダメじゃないの。あんたは金持ちと結婚して家計を助けなくちゃいけない立場よ。例え一緒になっても1銭も出して上げないからね!-と、まくし立てた。映画の叔母役の発音は極めて明瞭だったけれど、凄い早口で、聞き取れず、字幕からだいたいその様なことを言っていたようである。
この場面でベスが反抗したセリフが奇跡的に耳に残った。How dare you say such a thing! (よくもそんなことが言えたものね)。やったー。環境保護活動家トンベリさんのあの国連での名演説の決めゼリフに普通の会話で出合えた。やっぱり若い活動家らしく、若草物語から引用していたと知って、もの凄く興奮した。トンベリさんのサワリは;
People are suffering. People are dying. Entire ecosystems are collapsing. We are in the beginning of a mass extinction. And all you can talk about is money and fairtales of eternal economic groth. How dare you!
ーーー 人類と地球が滅びようとしているのに、あなた達はお金や経済成長の話ばかり、よくもそんな事が!
という声を無視して、先週末のNYダウは829ドルと大幅高の2万7111ドルと、お金と経済成長の話に没頭した。人類を脅かす新型コロナウイルスや失業の話はそっちのけ。グヂャクチャ言う奴は膝で押さえつけたり、抗議の爺ィなんかは撥ね飛ばしてやる勢いである。週明けのNY株式相場見通しは2月12日に記録した2万9551ドルの史上最高値に挑戦と言っている。これで日米のトランプ政権も安倍政権も今後4年間は安泰である。いやはや、大人の世界は深くて怖い。
朝方は曇りがちで薄日も頼り無げだったのに、午後はカーッと太陽が照りつけてきた。How dare Sun!
いたいけな
繁みの薄き
若草に
よくもかやうに
強日さすかな