天愛元年

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新元号『天愛』元年にスタート

レンズ図鑑

2022-05-25 16:53:27 | 日記

 ちょっとケバい感じで真性の好みではないけれど、妖麗さが目について近づくと薫りが蠱惑的なため、花を摘んできて部屋に飾った。グーグルレンズで名前を調べると、アルストロメリア属の『ユリズイセン』と呼ばれるそうであった。むかし、簡単な植物図鑑3巻の古本とか沖縄の植物図鑑を買った覚えがあるけれど、照合が現物ならまだしも、記憶とでは到底正確を期し難いので、本棚の奥の列に眠っていて所在すら分からなくなっている。スマホをかざせば即答してくれるとは便利な世の中になったものである。かつて人間の努力の大半を占めていた記憶力が不要になり、理解力だけで世過ぎ出来るのだから、薄っぺらで気楽に生きてゆけて有り難い。
 『開運!なんでも鑑定団』のビデオを見ていて、良寛さんの書が出品された時、年相応になってから読もうと置いておいた本を引っ越しの際に手放したと思っていたのが、図鑑を探しているうちに見つかった。『良寛歌集』と『良寛の詩境』を読み始めるには歳は過ぎてしまったし、心も逸れてしまった。有名な「この里に 手鞠突きつつ 子供らと 遊ぶ春日は 暮れずとも好し」の歌は、漢詩の「日々日々又日々 間(しずかに)伴児童送此身 袖裏毬子両三箇 無能(の私は)飽酔太平春」に照応していることが分かった。世の中の変遷の早さも歌っている。
永らへむ ことや思ひし かくばかり 変はり果てぬる 世とは知らずて
かくばかり 憂き世と知らば 奥山の 草にも木にも ならましものを
―――やはり、草木をスマホで調べる世の変化の速さを予見していた。
 ロシアのウクライナ侵略戦争のように人非人な非道が罷り通るようになればなるほど、良寛さんのような無心と他者への気遣いが人間社会で大切なことが痛感させられる。ベランダと電線の間に蜘蛛が巣を張っていることに気付いた。若い時なら即、一刀両断にしてやっていた。ところが早期退職した後、マンション管理人の仕事に就いた時、奉公忠勤のため、薬剤を使って巣の発生を防御するとともに、蜘蛛という蜘蛛を見つけ次第、撲滅していた。2軒のマンションで6年働いたら背中、腰、腕など身体中のあちこちが痛み出し、退職せざるを得なくなった。今思い返すと、蜘蛛の祟りでないかと反省するようになり、家で蜘蛛を見つけても放免することにしている。ベランダに布団を干すときも、蜘蛛の巣の邪魔にならないよう、外に垂らし過ぎないよう気を遣っている。生あるもの悉皆兄弟である。

眼血走る
八岐大蛇
人を喰ふ
天の網蜘蛛
搦め捕らえよ

 

 

 



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