天愛元年

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新元号『天愛』元年にスタート

便り

2022-02-08 15:09:18 | 日記

 行く川の水は絶えずして、しかも元の水にあらず。方丈記にあるように、時の勢いは止まることを知らないようである。日産自動車がエンジン開発を止めたと経済紙が報じているそうである。石炭蒸気機関から主役の座を奪ったガソリン機関が約150年に亘り移動手段の中枢に君臨してきたが、進化の先細りが顕著となり、開発の膨大な蓄積にもかかわらず、EVへの全面移行に舵を切らざるを得なくなったのか。何となく気配で察していたものの、こうした決断が表になると、いきなり金槌で後頭部を殴られ覚醒させられたようなショックを改めて受ける。
 和歌に長年興じてきたけれど、こんな古いものはとっとと配車すべきなのだろうか。何だか一生が虚しく感じる。物事の老朽化を嘆いている場合ではなく、自身の心身の老化の方が切実な問題である。北京五輪をTV観戦しながら、日本人選手が出ない間にさっと風呂に入り、立春を過ぎたとはいえまだ寒いので慌てて下着を着る。日本人選手の演技に興奮した後、トイレに行くとズボン下の前後を間違えて履いていることに気付いた。老化も甚だしい。宇野昌磨のフィギュアスケート男子ショートプログラムに見る鍛え抜かれた足腰と胸、肩の逞しさと比べると、嫌になる。それをまた鍵山優真が108点超えで上回るのだから、若さはいいものである。しかし、大丈夫。飛び散るのを避けるため、最近は座って小用を足すので、前後ろになっていても全然困らない。
 困るのは人事である。正月には年賀状の返事書きに往生したばかりである。4、5年前に、年末の喪中はがきを出す頃、年賀状廃止宣言状を思いつく限り出して、旧習を謝絶した。暫く根絶できたかと安心していたのに、はがき作成ソフトの住所録に残っているのか、ここ2年程、無視しにくそうなところからまた舞い込んでくるようになった。絶望感に打ちひしがれていたのに、今度は自分史を本にしたと送り付けるのが現れた。装丁や分厚さを絶賛した礼状を、砂を噛む思いですぐ出した。そしたら、全部読み終えたら忌憚のない感想を送ってくれとのショートメールが届いた。いやはや。
 もうこりごりである。娘の名前を発信人にして、父は2カ月前、高熱を出し、万一新型コロナを孫たちにうつしてはいけないと、車で家を出たまま帰ってきません。心配なので警察に相談しましたが、該当する行方不明者情報は届いていないとのことです。知らない土地で行き倒れているのではないかと不安で仕方ありません。もし、症状が悪化し、知り合いを頼ってお訪ねするようなことがありましたら、全快するまでの間、面倒を見てくださるよう切にお願い申し上げます、との挨拶状を作った。本当に天罰が下ったら困ると、疾しい気がしている。

寂しさに
堪えたる人の
またも有らむ
をちこち別の
雪の山里

 

 

【本歌】西行(『山家集』冬歌)

さびしさに 堪えたる人の 又もあれな
いほりならべん 冬の山ざと



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