今季一番の寒波とあれば樹氷見物の絶好の機会を逃してはいけない。かといって年寄りは無理をしてはいけないので、宮城蔵王側から雪上車に乗ることにした。蔵王権現由来の蔵王不動尊を経て、軽く吹雪く中、深雪を踏み分けがんがん進上するものの、楽ちん。岳樺、もみの木様の林にずっしり凍った雪がこびりつき、枝がしなっている。ずんずん奥に突き進むうちに、横殴りの雪弾が襲い、視界を塞いできた。そこにシベリア寒風に曝され、凝固し白骨化した樹の霊が佇立していた。
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ここまで来ると、歌を志す者としては松島は天麟院の西行像参拝を素通りすることはできない。雲水姿で全国行脚の途次、ここ松島を訪れたのは文治2(1186)年だったといわれている。江戸時代に崇敬者が西行石像を彫り、松島を観望する長老坂の松の下に安置した。大正期になって志篤く、国宝瑞巌寺の並びの天麟院に移設された。像の頭には、雪が吹き付けたわけではなく、心優しい人によって毛糸の帽子が被されてあった。
この奥に
何のお坐すか
知らねども
雪を踏み分け
めの白き肌
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