天愛元年

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新元号『天愛』元年にスタート

鼠黐

2019-11-26 14:23:08 | 日記
 秋の味覚の代表の一つのブドウが店頭から目立たなくなるのと入れ替わりに、野生の葡萄様の実が公園などに鈴生りになってきた。しかし、味は似て非なる代物で、食用にはならない。トウネズミモチ(唐鼠黐)らしい。ネズミモチと言っても、餅を狙って鼠が出没するわけでなく、鼠でさえ食わない。それもそのはず、名前の由来は鼠の糞に似ているからという。散歩していて手の届く所に美味い物がぶら下がっているほど、世の中は甘くない。

 いのちにも まさりて惜しく ある物は
 見はてぬ夢の さむるなりけり
(古今和歌集・壬生忠岑)
 また経産省の夢詐欺かあ。ポスト5Gの技術開発支援で1100億円の基金開設やて。5Gが後手後手で先行技術を眺めながらゆっくり進める国内体制やのに、どうして6Gに手が届くのか。いつも百年先にどうなるか分からないオレオレ目標を掲げて、予算を獲得すればそれで計画は達成。後は天下御免の事業だと言い張り、予算を増額要求するだけ。深海熱水鉱床開発とか大深度地下開発とか適当な風呂敷を広げ、砂粒のようなお土産を拾い上げては架空の夢を広げる経産商法に、ナイーブな国民が手を叩いて喜ぶ姿が、毎年のように繰り広げられる。
 1年ほど前、同省の息のかかった法人が、カナダのガス田開発に800億円余り出資(その他約1500億円の債務保証)し、天然ガスを産出するに至ったけれど、液化する手立てがなく、日本に輸送できずに宝の持ち腐れだった、という間抜けた話が露見した。つい最近、同省が官邸に対してと同じくらい意思決定に大きな影響力を持つ東京電力が、日本原電の原発再稼働に向け2000億円強の金融支援を行うと発表した。こんなものは総括原価方式の電力料金のマネーローンダリングと呼んでよい。東電及び子会社の定款にある事業に出融資していけば、何にでも税金および電気料金をばら撒ける打出の小槌になる。
 政府予算概算要求近くになると、奇怪な夢事業計画が頻発するのが憂鬱である。後日、無駄遣いがバレて、その氷山の一角を会計検査院が指摘しても、屁とも思っていない。
 同じ風呂敷を広げるなら、1億総月旅行くらいの法螺を吹いてほしい。ロケット飛行に数日かけて月面に達しても、別に乙姫様が迎えてくれるわけでなく、絶叫マシーンのようなアトラクションがあるでなし、マウンテンバイクでも乗り回したい。でも、空気が薄く息が切れそうなので、モトクロスかハーレーダビッドソンにしたいという人向けに、月面に給油ステーションを完備すると打ち上げれば、経産省予算要求に支持が広がるのではないだろうか。
 会計検査院並みの付け足しながら、ご意見番で厳しいのが横綱審議委員会である。11月九州場所で横綱白鵬が対遠藤戦で強烈な張り手、かち上げを喰らわせたことについて、「見苦しい」「やり過ぎ」などと苦言を呈した。ついでに同じ格闘技であるボクシングについても、井上尚弥のパンチが強烈過ぎて相手を傷付けないように、グローブの表面に宅配便箱などに詰めるクッション用のプチプチを張り付けるよう指導、提言するそうである。いやはや、お手柔らかに。

夢にせよ 甘き眠りを 見逃さね
覚むれば虚し 偽りの恋



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