「台湾野球 世界で盛況」(読売新聞)かあ。今月12日に開幕し、15日の楽天モンキーズのサヨナラホームラン・シーンは私の目にも焼き付いている。もちろん無観客だけれど、観客席のデコイとか、応援チア・ダンサーとか、選手にとっても視聴者にとっても元気が出て、楽しめる工夫が凝らされている。日本の風習では前例踏襲、利権優先でがんじがらめとなっていて、他所でやっていて、ボスの了解を得て、利害調整にたっぷり時日を掛けてからでないと実施できない構造になっているから、新しい試みは望むべくもない。別に野球に限ったことでなく、政治、行政、経済、地域コミュニティーすべてにわたって硬直社会になって、周回遅れの真似しかできない。
韓国プロ野球も5月5日に開幕するらしい。両国とも、新型コロナウイルス感染の峠を越えた自信からくるものだろう。野球一つにとっても、いかに早く不自由から逃れ、楽しめるかは、彼我の医療技術知識レベルの格差が現実となって表れる。日本では新しい事態に対処するには、何でも海外の様子を窺うだけで、神風を祈るしか行動に移せない。医療行政、医療専門家、医療従事者は、努力の汗は流すけれど、知恵は一向に流れてこない。やってます、けれど、やれてません。クラスター潰しだと大見えを切って、その実、自然消滅を祈って検査等やるべきことを先送りし続け、政治、行政も総合判断ができず鵜呑みにし、非常事態宣言を先延ばしし、これで週内かゴールデンウイーク前に感染ピークを越していなければ、腹切りものである。信じ難いことに、コロナ感染死者数が感染源の中国と国境を接する韓国より日本が上回ったとの報道がある。誤報でしかあり得ない。万一、こんな馬鹿なことが実際ならば、汚い腹を見せてもらわなくて結構だが、関係者一同、総退陣は責任上免れまい。
自宅三昧の暇しのぎにプライムビデオで白黒のオールド映画『心の旅路』を見たら大当たりだった。「第1次大戦の後遺症で記憶喪失になった男」がポーラという踊り子に助けられる、という案内文を読んで、無理のある設定が途中で破綻して見続ける気を失くすだろうなと思っていた。ところが、フランス戦線での負傷で記憶障害を受け、治療リハビリのため知らぬ間に送られたイギリス中部の精神科病院から、第1次大戦終結を喜ぶ騒ぎのどさくさに抜け出し、踊り子に巡り合い、逃避行の間に結婚して3年が過ぎてからの展開が、もどかしくも切なく、飽きさせない構成になっていた。文筆の仕事を始め、1人で街に出た際に交通事故に遭い、その瞬間に元の記憶が戻った一方、3年間の記憶が飛んだ。なぜ事故現場にいるのか理解できず、仕方なく生家に帰り、遺産を相続し、事業に成功し、女性秘書を雇う。その秘書が元妻だったのだが、男は大実業家となり、英国国会議員に当選し、栄達の道を歩む過程で、体面上独り者で居られなくなり、2人は結ばれ、共同生活を始める。しかし、男にとっては初めての結婚であり、以前の結婚相手である自分を思い出してもらえない妻は苦悩する。これ以上はネタバレで伏せたいけれど、最後のキスシーンは、日本の芸能人だと実生活でも結婚にゴールインしてしまうことが有り勝ちなねちっこい物と異なり、映画史上最も美しいキスだった。この英国を舞台にした米メトロ・ゴールドウィン・メイヤー社製作のラブロマンスが羨ましいのは、公開が1942年であり、日本が一か八かの真珠湾攻撃を仕掛けたものの、ミッドウエー海戦の大敗を境に転げ落ちてゆく最中に、優雅に作られたことである。ちなみに同年公開の日本映画は『ハワイ・マレー沖海戦』『父ありき』『将軍と参謀と兵』(以上、日本映画雑誌協会ベスト1-3位)などであった。
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