天愛元年

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新元号『天愛』元年にスタート

白玉か

2021-08-01 16:33:16 | 日記

 伊勢物語第6段の「芥川」の条に、一緒になろうと無理やり連れ出してきた良家のお嬢さんが、土手の草叢にキラキラ光る物を見て、「あれは何ですか」と聞いたけれど、追手を巻くのに必死で「露です」なんて詰まらないことを教えなかった。逃げるうちにあばら家が見つかったので、そこを隠れ家にした。雷がバリバリ鳴る中、表を見張っているうちに、奥に匿ったその恋人が、一瞬の隙に鬼に食われて消えてしまった。それを嘆いて在原業平が作った歌が


白玉か何ぞと人の問ひし時 露と答へて消えなましものを

---だった。

 散歩道の畑の奥の方に、白い艶のある玉が光っているのが目に入った。畑で働いていたおばさんに、「あれは何ですか」と聞いた。瓢箪か、朝鮮朝顔くらいと思っていたのに、意外にも茄子だと言う。青紫か黒紫のしか知らなかったので、珍しくて、ぜひ写真を撮らせてくださいと断って、畦道を入り込んで写した。白磁器のように艷やかな白だった。味を尋ねると、普通のより柔らかいと言っていた。特別に珍しい物でなく、近所のスーパーでも売っているとの話だった。物知りは損である。知らないと、こんな物でも素人には新鮮な驚きを与えてくれる。

白玉を
茄子と答ふる
おうな有り
知らねば宝
知ればそれのみ








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