きのうはヤクルトが前年まで2年連続最下位からの蘇生優勝を果たした。きょうはオリックスも2年連続ビリからの死者蘇り優勝が決まりそうな予感がする。今夜の楽天 vs. ロッテ戦は、ロッテ先発の小島和哉投手は今季10勝のチーム勝ち頭で、球の切れと安定感が抜群なため打ち崩すのは難しいけれど、楽天先発の則本昂大投手はそれを上回る11勝を挙げているうえ、場の空気を気にせずシレっと好投するタイプのため、緊張感の点で有利に働きそうな気がする。まだまだクライマックス・シリーズが残るけれど、セ・パともにビリッケツ常連組同士の日本シリーズとなれば、長らく臥薪嘗胆の両チームファンが泣いて喜ぶ興味深い対決となりそうである。
卓球Tリーグの今季前半戦が終わり、12月下旬まで中断のため、暇なのでプライムビデオでBBC映画『夜の来訪者』を観た。20世紀初頭の、階級が厳存し、貧富の差が露骨だったイギリスが舞台。警察にも顔の利く高い公職の地位を持つ、成功した実業家の館に、グールと名乗る警部がアポなしで現れ、彼らの醜い秘密が一人ひとり暴かれていく泥沼劇である。グールが訪れた夜は、実業家の娘と、若き貴族男性との婚約の祝宴が催されていた。
富岡製糸場のように多くの女工を雇う男性実業家の工場で、賃上げを求めるストライキが起きる。首謀者と見なされた若く美しい女性エヴァを男が呼び、お前の処遇を改善するからストを止めさせろと持ち掛けた。だが、エヴァはみんな家賃も払えないようなぎりぎりの生活なので賃上げは譲れないと拒否する。その経営者は、無給のストを何週にも亘って続けていると食べていけなくなるので、皆すぐ戻ってくると頑なに応じなかった。予想通り女工たちは暫くして工場に姿を現したが、男はエヴァのみに首を命じ、失職させられた。
エヴァは苦労の末、ファッション・ストアに職を見付けることができた。が、その店を贔屓にする経営者の妻と娘が買い物に来、たまたま機嫌の悪かった娘の方が、店員のエヴァの接客態度が気に食わないと、店の責任者に辞めさせるよう要求し、従わせた。
再び無職となったエヴァは食べる物も宿もなくなり、いかがわしいバーに出入りするようになる。嫌らしい男に絡まれたエヴァを救ったのは娘の婚約者だった。親切で宿を提供したことから、勢いそこで一時的に囲う妾の関係になったものの、都合が悪くなると捨ててしまった。
今度はそのバーに実業家の年若の息子が現れ、酔っぱらった勢いで無理やり関係を結んだ。暫く付き合って、エヴァは妊娠してしまう。しかし、年若の息子には甲斐性がなく、見捨てられたように別れてしまった。
路頭に迷ったエヴァは慈善団体に援助を求めるが、その審査に当たったのが実業家の妻だった。エヴァが実業家の姓であるバーリング夫人と名乗ったり、すぐ撤回するなど、困窮の説明に曖昧な点があったため、審査を判定する妻は、子供の父親に頼りなさいと無情にも支援を拒絶した。
こうした経緯をエヴァは克明に日記に綴っていた。万策尽きたエヴァは消毒液を大量に飲み、自殺した。
日記を証拠にグール警部は、彼らの悪事を次々と暴き、本人に罪を認めさせた。しかし、グールは捜査令状を執行することもなく、追って捜査員が来るからと言い残して、去っていった。そのあと実業家が電話で警察に照会すると、グール警部は実在しなかった。
散歩の途中、いつもと違う場所で野良猫に出合った。ウエストポーチに常備のカリカリを上げた。次の日も同じような時間に行くとまた居た。1週間近く続いた日に、背中から「そんなことをしてはダメだろう」という声が掛かった。何の事かと振り向いたら、こちらに来なさいと、手招きされ、『無責任にエサを与えるな』の注意書きを読まされた。「糞など垂れ流され、近所の人は困っている」「あなたはこの辺りの人ではないだろう」「そんなことを続けていると、写真に撮られ、ネットに公開されることになるよ」などと、執拗に叱責が続いた。ササッとエサを片付けながら、また来ると面倒なことになるなと観念した。猫がこちらを向いたので、達者でな、と別れた。達者のはずがない。夜に一段と冷え込むようになったし、雨がよく降る。ただでさえ厳しいのに、栄養が無ければ猶更である。毎朝の神棚に無事の一言を付け加えるしかできない。そんなことは慈善団体を宰領する実業家の妻より空々しい。
夜の来訪者に脅え、来てほしくないと祈るばかりである。
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